2019年3月25日月曜日

春分(二十四節気)桜始開(七十二候)3月26日~30日 ”桜開花宣言” ”祝言の料理”で”祝言”(昭和の婚礼再現) イモの植え付け アケビ・フデリンドウ スプリングエフェメラル(カタクリ・ニリンソウ)

 七十二候は「桜始開(さくらはじめてさく)」です。東京では、21日「春分の日」に例年より5日早く“桜の開花宣言”がありました。「房総のむら」でも22日には数輪の”桜”の花を確認し、24日には「房総のむら」の”桜開花の標準木”としている「総屋」前の”桜”でも五輪の花を確認しましたので、”桜の開花宣言”です。「房総のむら」では、ほぼ七十二候「桜始開」とおりですね。
 「房総のむら」で一番最初に”ソメイヨシノ(染井吉野)”の開花を確認したのは、「農村歌舞伎舞台」近くの木でした。その後、「上総の農家」「風土記の丘」「商家の町並み」「管理棟」などでも開花を確認しています。どの木もまだまだ数輪程度ですが、このままの気候ならばおそらく週末には満開に近くなるものと思われます。”ソメイヨシノ”に続いては、”オオヤマザクラ(大山桜)や”オオシマザクラ(大島桜)”なども咲き出すと思います。さくらまつり」は4月6日・7日ですが、30日・31日にもイベントを開催します。今年の花見は、「房総のむら」でお楽しみください。
 前回、「風土記の丘資料館」の”コヒガン(小彼岸)”(写真:右下)の開花は紹介しましたが、その翌日にすぐ近くの”ベニシダレ(紅枝垂)”も開花しました(写真:左、上右)。どちらも花びらが小さな”桜”です。一日遅れて咲いた”ベニシダレ”はピンクが濃い”花で早くも見頃を迎えましたが、”コヒガン”はまだ木の上の方だけに白い花が咲いたところです。
 最後の”梅”の開花です。「下総の農家」の”ユスラウメ(梅桃)”も咲き出しました(写真:上)。”梅”の花に比べると花はとても小さく、実も”梅”というよりは”サクランボ”といった感じです。隣の”コウメザクラ(小梅桜)”も咲き始めました(写真:下)。どちらも小さな花ですが、花びらがしっかりしていて白の輪郭、濃いピンク色の輪郭がはっきりしています。
 「商家の町並み」「めし屋」の「祝言の料理」の展示については、既に当ブログで紹介されていますので、”祝言”のなかでの”料理”の順番などについて紹介します。現在結婚式は、式場やホテルなどで行うのが当たり前になってきていますが、明治以降昭和30年代頃までは”婚礼”は各家で行われていました。そこでふるまわれた”本膳”を用いた料理は、郷土色豊かな料理でした。展示した料理は、千葉県印旛郡栄町龍角寺で昭和20年代に”もてなしの料理を作る仕事を頼まれた「料理番」”と呼ばれる方のお話をもとに再現したもので、当時の家々で行われた”祝言”の様子がうかがえます。では、祝言の様子を料理で見ていきましょう。まず”祝言”の時には、あらかじめ「料理番」が”蓬莱山”を作って式の間”床の間”に飾っておきます。”蓬莱山”は、米を一升山盛りにし、この上に”半紙で折った鶴”と、”聖護院大根を半分に切り墨でこけら(甲羅)を書き、頭と手足は里芋でかたどった亀”を飾ります(写真:⓪)。
 ”仲人さん”に連れられてやってきた”花嫁さん”は、新しい家に嫁ぐためにそれまでのことをすべて祓うために、頭上に”三度笠”がかかげられ、小さな”松明”が焚かれ上を越えて、婚家の敷居を跨いで入ります(写真:下左)。そして、この後、ここまで履いてきた”草履”から婚家が準備した”下駄”を履きます。ちょっとした儀式ですが、新しい家に嫁ぐ、お嫁さんを迎えるにあたっての当時の考え方の一端を知ることができるような感じがします。なお、白黒の写真は、今回の”祝言”の再現実演にかかわった「房総のむら」職員と関係者です。昔の”祝言”では、”写真屋”さんがやってきて、こんな感じの写真が撮られていたのだと思います。
 さて、”お嫁さん”が床の間の前に座ると、まず”お茶とお菓子”を出します(写真:①)。戦前は、”八重桜の蕾”を塩漬けしておいたものに湯を注いだ”桜湯”を出したそうです。お菓子は、主に饅頭だったようです。次に、「落ち着き」として、”赤飯”と”きんぴらごぼう”、”豆腐の吸い物”が出されます(写真:②)。これには、”酒宴の腹ごしらえ”としての意味もあるそうです。その後に、”蛤の吸い物”がでます(写真:③)。夫婦が仲良くなるようにと、一つの椀に二つの蛤を互い違いに組んで入れてあります。しかし、客はここではこの”吸い物”を食べてはいけないそうです。そして、”仲人”の采配で、子どもが扮する”オチョメチョ(雄蝶雌蝶)”が”三三九度”(写真:④)を行い、銚子を回し杯を酌み交わして式は終了となり、ここで”鮒の腹合わせ”(写真:⑤)を”床も間”に飾ります。本当は”鯉”を使うようですが、この地域では”鮒”を使うことが多かったそうです。”腹合わせ”が出たら宴会となり、客はようやく”蛤の吸い物”を口にすることができます。その後、写真の⑥~⑨の料理が次々に出されます。これらの料理が出る合間に、途中で「一の折り」が、大きな家では「二の折り」も出されたそうです。「一の折り」は、奥に”鯛の尾頭付”、”海老”、手前中央に”かまぼこ”、”伊達巻”、”錦巻”、”白豆のきんとん”、”羊羹”などが詰められています(写真:⑪)。宴がお開きになる時には、「本膳」が出されます。”白飯”、”鮒のたたき汁”に”たくあん”や”白菜の漬物”が付きます(写真:⑩)。最後に”お嫁さん”が入れた”お茶”(写真:⑫)がふるまわれて”お開き”となり、”新婦の仲人”などは婚家に人たちに見送られ”お土産”を持って帰ります。
 「商家の町並み」「めし屋」で、このような意味のある「祝言の料理」の再現展示をしていることから、当時の”祝言”のようすも再現したいと以前から考えておりましたが、ようやく実現できました。料理が昭和20年代の再現ですから、当然”衣裳”も昭和期のものです。ご協力いただいたのは、当館の「まつり」の時に「時代衣裳の変身体験」に協力していただいているテレビ・映画のロケ等の衣裳も担当している「東京衣裳」さんです。いかがですか、「房総のむら」の「商家の町並み」や「農家」にはぴったりの”衣裳”だと思いますが、新郎新婦もまんざらではないようす。新しいデザインの着物もいいですが、古い着物もいいですね。「東京衣裳」さんの話では、「昔の白黒写真では、”角隠し”は白く見えるが色が付いている。そして、今のものと比べると幅が狭い」そうです。仲人として「今日の日を忘れないで、お幸せに」
 「上総の農家」では、”ジャガイモ(馬鈴薯)”の植え付けです。”ジャガイモ”は、”芽”がどちらにもあるように縦に半分に切ります。切り口には消毒のために”灰”をつけます。50cmほどの間隔で少し窪めた畑に植え付けます。”種芋”の間に”肥料”を施して完了です。6月には”ジャガイモ”の収穫体験の予定です。今年の出来はどうでしょうか。楽しみにしていてください。
 そして、こちらは”サツマイモ(薩摩芋)”の植え付けの準備です。”サツマイモ”も”ジャガイモ”と同じように”種芋”を植えて育てるかと思うと違います。”サツマイモ”は”種芋”からのびた”芽”を大きくしたものを採取してそれを”苗”として植えるのです。そのために、”サツマイモ”の”種芋”から長い”苗”を取るために”芽”が出やすいように”ベット”を作っているのです。それが「上総の農家」と「下総の農家」に”ワラ”で囲われた大きな箱状のものです。中には”落ち葉”と”ワラ”がたくさん詰めら、そこに”糠(米ぬか)”と水を加えながら足で踏んで固めていきます。この状態で少し置いておくと醗酵してきて”苗床”の温度が上がってきます。そこに、”種芋”となる”サツマイモ”を入れて、”苗”が伸びてきたらそれを切り取って畑に植えるわけです。
 「風土記の丘資料館」近くの”ハクモクレン(白木蓮)”が花を大きく開きました(写真:上、中)。しかし、ここ数日の風であっという間に変色し、大きな花びらも散り始めています。既に咲いた”コブシ(辛夷)”も今が盛りです(写真:下)。早い木では、葉の緑も目立つようになってきました(写真:下右)
 ”アケビ”の花も咲き始めところです(写真:上)。”アケビ”も”雄花”と”雌花”があるようですが、写真上左の”アケビ(通草)”の左上の白い花びらの中央に濃紫色の塊があるのは”雄花”のようです(写真:上左)。写真上右は”ミツバアケビ(三葉通草)”ですが、濃紫色の花びらの中央に円柱状の”雌しべ”がありますので”雌花”のようです(写真:上右)。満開になった”トサミズキ(土佐水木)”が遠くから見ると霞がかかったように淡い黄色がとても目立ちます(写真:下左)。一方”ユキヤナギ(雪柳)”は、はっきりした純白が一際目を引きます(写真:下右)。
 「風土記の丘資料館」近くで、一本だけですが”フデリンドウ(筆竜胆)”が咲きました(写真:上左)。すぐ近くの土手にはオレンジ色が鮮やかな”クサボケ(草木瓜)”も咲き始めました(写真:上右)。「旧御子神家住宅」近くの白色が鮮明な”ニリンソウ(二輪草)”です(写真:中左)。「風土記の丘エリア」には”ツツジ(躑躅)”もたくさんありますが、一輪だけ花が咲いていました(写真:中右)。館内のあちこちで”ウラシマソウ(浦島草)”が葉を大きく広げ”釣り糸”も伸ばしています(写真:下左)。「商家の町並み」では、白い”ハナニラ(花韮)”が咲き始めました(写真:下右)。
 ”スミレ(菫)”の仲間も咲き始めています。ここ数日で花がかなり増えてきています。薄い紫色の花びらは、”タチツボスミレ(立坪菫)”でしょうか(写真:左)。花びらの紫色が濃いのは、”ニオイタチツボスミレ(匂い立坪菫)でしょうか(写真:右)。花弁がまとまっていて、中心の白い部分がはっきりしています(写真:上右)。花の後ろの”距”も少し太めです(写真:上中)。
 「房総のむら」の”カタクリ(片栗)”はまだ咲きませんので、隣の「ドラムの里」の”カタクリ”です。残念なことに成長が早かった「房総のむら」の”カタクリ”は、数株”盗掘”されてしまいました。整備された里山の中で咲く”カタクリ”だから綺麗なのだと思います。博物館内の大事に育てている植物や生き物などは、”写真に撮る”だけにして、持ち帰らないでください。

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