2017年10月31日火曜日

柿の秋-上総の農家にて-


上総の農家の屋敷前には十数本の柿の木の他、梅や梨(ピンポン玉程度の大きさまでは育つのですが、それ以上大きくなる前に落ちてしまいます)などが植えられています。

今年はこの柿が当たり年で、枝もたわわに実っています。

良く実の付く果樹の手入れ方法については、体験「わざ指南道場-果樹の手入れコース-」で12月3日(梅)、年明け1月8日(柿)に、実際に枝を剪定しながら学ぶことができます。(フ)

2017年10月28日土曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の田んぼ、竹林の坂、上総の農家からおまつり広場を通り抜け、下総の田んぼ、水車小屋を巡り下総の農家まで足を伸ばし、帰りには武家屋敷、堀割を経由して戻りました。


●野菊のシロヨメナとシラヤマギクが見頃です。例年より遅く、下草刈りが始まったお掛けで、今年は多くの野草の観察が出来ました。

●稲刈り後の田んぼでは、タデ、ヒメクグ、ハハコグサ、イヌガラシ、スカシタゴボウ、トキンソウ、コニシキソウ、フタバムグラなどの野草が元気です。

●樹木の果実がきれいです。サワフタギ、ガマズミ、コムラサキ、シロダモ、ニシキギ、マユミなどです。

●タウコギ、アメリカセンダングサ、シロノセンダングサ、コセンダングサは、いずれもキク科センダングサ属です。それぞれ似ていますが、よく見ると違いが判ります。
 例えば
 ○タウコギとアメリカセンダングサは、筒状の花の周りに総苞片が放射状に付いています。
 ○シロノセンダングサは、白い花びらが目立ちます。
 ○コセンダングサには花びらがありません。
 などです。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。10月20日(金)の観察に基づいています。 (風) 

2017年10月27日金曜日

霜降(二十四節気)霎時施(七十二候)10月28日~11月1日 台風来ても落語会

 「霎時施」は、「しぐれときどきほどこす」と読むそうです。「霎時」だけでは「しょうじ」と読み、ちょっとの間、暫時降ったり止んだりする雨という意味で、七十二候では秋冬に降る短い雨、時雨(しぐれ)が時々降るという意味だそうです。
そんな時候ですが、22日の日曜日は、時雨どこではありません台風の大雨でした。土砂降りの「商家の町並み」です。
 「房総のむら」の落語会「房総座」は、平成18年に今回出演の柳家三之助さんの高座から始まりました。三之助さんは、銚子市出身で、柳家小三治一門、当時はまだ「二ツ目」でしたが、その後「真打」に昇進、そして小三治師匠は「人間国宝」になったわけです。それから、もう10年も続いている「房総座」です。三之助師匠も、「房総のむら」では初めてという、台風の雨風でガラス戸がガタガタ鳴る「総屋」二階での「房総座」となりました。「まくら」では、手ぬぐいや扇子など、落語の小道具の使い方を紹介してくれました。写真は、扇子を「煙管(きせる)」に見立てているところです。ほんとに、「煙管」に見えるからすごいですよね。

 台風雨でしたが、「商家の町並み」「鍛冶屋」では「農具作り」の実演がありました。「ふいご」で風を送り、炭を真っ赤に熾(おこ)し、鉄材も真っ赤に焼いて、様々な農具を作ります。ダイナミックな「野鍛冶」の技です。指導者は、君津市の鈴木啓支さんです。写真は、「鍬」先を作っているところです。今回は、「柄」をつける作業も教えていただきました。「柄」もいろいろな形があり、刃先との角度を使う人に合わせて調整するそうです。詳細は、「風土記の丘資料館」で開催中の企画展「農具」をご覧ください。
 台風が去った今週です。「下総の農家」の庭に干された収穫した「綿」です。「綿」から「糸」を紡むため、干した後で「綿繰り」で種を抜きます。
 同じ「下総の農家」「機小屋」の前に干された「糸」です。「糸」を草木で染めて乾燥させているところです。写真の「糸」の薄い紺色は、藍の「生葉」と「乾燥葉」で染めたものです。一度ではなく数回、染めることで色が濃くなっていきます。
 そして、織り上げるわけですが、こちらは、「達人講座」の「下総の農家」「機織りコース」です。体験者の方は、これまでも何度も「機織り」を経験している熟練者の方で、上下に開いた経糸(たていと)の間に緯糸(よこいと)になる糸を通すための「杼(ひ)」の潜らせ方やその緯糸を揃える「筬(おさ)」の抑え方も手慣れたものです。経糸は、藍染めの糸に「あかね」や「くず」で染めた糸を挟みで縦縞柄にして一反(12~13m)を織り上げるます。
この季節の平日には、小学生の方々が学校、学年単位で来館します。写真は、「下総の農家」で館の職員から茅葺の農家の建物の説明を受けていう所です。目の前には「コマ」や「竹馬」などの「昔のおもちゃ」もありますが、まずは勉強です。子どもさんたちは、農家だけではなく、「商家の町並み」の店などでも、どこにどんなものがあるか”探検”しながら、電気・ガスが使われる前の”昔のくらし”を学びます。
 久しぶりに雨が上がって、「農村歌舞伎舞台」前の「お祭り広場」では、大勢の小学生がお弁当を広げていました。お弁当を食べる場所として、雨の日には、「総屋」の二階など空いている部屋を使用していただいていますが、やはり、青空の下で食べるお弁当はおいしいと思います。子どもさん達からの「お礼」にも、「お祭り広場」でお弁当を食べたことがよく書かれています。

2017年10月24日火曜日

第39回房総のむら写生コンクール審査結果








応募総数 291点(小学生の部:109点、中学生の部:166点、一般の部:16点)
館長賞 1点
友の会会長賞 1点
審査員特別賞 1点
金賞 7点
銀賞 16点
入選 36点

館長賞

中村政敏
(八街市)
「船乗り場」








友の会会長賞
野地翔陽
(八街市立八街中学校3年)
「嵐の中を駆け回る雷龍」










審査員特別賞
山田康介
(船橋市立船橋中学校1年)「今は無き本堂」










小学生の部
金賞
中野維斗(成田市立吾妻小学校1年)「むらにりゅうがきた」





向井心葉(栄町立安食台小学校3年)「楽しかったどんど焼き」



h  穗坂空悠(市原市立養老小学校4年)「雨をふらせたりゅう」
銀賞
新垣 凜(栄町立安食小学校1年)「ゆうやけのりゅう」
山口真穂(市川市立平田小学校1年)「あめをふらせた「りゅう」」

岩澤凜歩(成田市立美郷台小学校3年)「むかしの家」

江頭結那(栄町立安食台小学校4年)「商家(佐倉堂)」

山中天莉(成田市立神宮寺小学校6年)「房総のむらの門」
入選
富山晴香(成田市立吾妻小学校1年)「むかしのもん」
細山慶多(印西市立木刈小学校2年)「カミナリ龍」
山本眞叶(印西市立木刈小学校2年)「こわいりゅう」
遠山陽向(成田市立久住小学校3年)「龍の滝」
坂巻真樹瑠(栄町立竜角寺台小学校3年)「かずさの農家」
中井心愛(成田市立吾妻小学校3年)「のう家の家から見た門」
吉川日和(成田市立美郷台小学校3年)「にぎやかな山と沼」
渡辺 雫(栄町立安食台小学校3年)「みずうみにうつるりゅう」
石原宗眞(栄町立安食台小学校4年)「北印旛沼とペリカン」
髙見 志(栄町立安食台小学校4年)「水の龍」
道本殊羽(印西市立木刈小学校4年)「龍角寺」
勝 心音(成田市立神宮寺小学校5年)「緑に囲まれた昔の門」
田川美優(成田市立吾妻小学校5年)「なかよし」
日暮亮太(栄町立安食小学校5年)「水車小屋」
深野翔南太(栄町立安食台小学校6年)「昔の暮らし」
堀部颯眞(市原市立養老小学校6年)「三つの寺にまつられたりゅう」

中学生の部
金賞

二宮 舞(八街市立八街中学校3年)「龍」













銀賞

中村綸花(栄町立栄中学校1年)「村を助けた龍」

齋藤有里(習志野市立第五中学校2年)「古色の街並み」

川畑栄美(八街市立八街中学校3年)「THE・龍」

土屋 遥(八街市立八街中学校3年)「子ども龍」

山本直輝(八街市立八街中学校3年)「双龍」
入選
加藤美咲(栄町立栄中学校1年)「雨降らしの龍」
寺川真菜(栄町立栄中学校1年)「のどかな風景」
相田ことみ(八街市立八街中学校3年)「龍」
飯田 萌(八街市立八街中学校3年)「吠える龍」
川上愛理菜(八街市立八街中学校3年)「龍」
小坂はる(八街市立八街中学校3年)「休息」
佐合祐羽(印西市立西の原中学校3年)「夕焼けの印旛沼」
崎竜也(八街市立八街中学校3年)「ひょうきんな龍」
杉田 碧(八街市立八街中学校3年)「龍」
寺嶋柚希(八街市立八街中学校3年)「天海を漂う龍」
藤原萌桃花(八街市立八街中学校3年)「空で舞う龍」
村井結泉(八街市立八街中学校3年)「龍」
森迫日菜(八街市立八街中学校3年)「龍」
吉村幸恵(八街市立八街中学校3年)「龍」

一般の部
金賞

鎌形 昇(香取市)「ある日の北印旛郡」
篠原重男(鎌ケ谷市)「秋の気配」

良知章男(佐倉市)「むらの新緑」
銀賞

大矢 智(酒々井町)「農家への道」

小野 昭(八千代市)「千葉県議会議事堂」

鎌形 昇(香取市)「のどかなネギの植え付け」

神崎 昴(栄町)「ふさや」

神崎雅男(香取市)「おまつり広場風景」

鈴木安子(旭市)「生命力パワーが伝わる」



 入選
飯島 順(富里市)「初夏の旧学習院正堂」
大川 修(匝瑳市)「晩秋」
神崎雅男(香取市)「下総の農家」
鈴木俊秀(船橋市)「上総の農家」
鈴木安子(旭市)「昇り流」
良知章男(佐倉市)「岩屋古墳 緑風」


2017年10月22日日曜日

霜降(二十四節気)霜始降(七十二候)10月23日~27日 冷たい雨で秋も深まる 

 二十四節気は「霜降」、七十二候は「霜始降(しもはじめてふる)」で、霜が始めて見られる季節になります。冷たい雨の日が続き、枯葉も舞い落ち、なにやら晩秋の気配も感じますが、紅葉はまだ先ですし、房総ではまだ「霜が降る」時期ではないようです。
「風土記の丘エリア」で、「アケビ」を見つけました。口が開いてから時間が経ったようで、鳥がついばんだ様子です。
 この、実が何だかわかりますか。春から初夏にかけて咲く花は「こんにゃく」ような葉の間から真上に向かって咲き、花弁の先端が「ヘビ」が頭を持ち上げたように内側に折れる少し不気味な形で、茎の部分が「ヘビ」のような紫褐色のまだらの模様があることから、名づけられた「マムシグサ」の実です。赤い実が、「ヘビ」の「うろこ」のように見えるのは私だけでしょうか。 
 こちらは、「旧学習院初等科正堂」近くの「イチョウ」の木の「ギンナン」です。足元にはたくさんの落ちた「ギンナン」があり、上を見上げたら「ギンナン」がまさに「鈴なり」状態でした。
 「房総のむら」では、時々、このようにカメラの放列ができることがあります。多くは、「鳥」を追いかけているカメラです。この日は「キビタキ」を狙っているのだそうです。「鳥」が来ると、カメラマン全員が“一斉”にシャッターを切ります。鳥がいなくなると、“一斉”にカメラをのぞき込んで映像を確認します。全員が同じ行動をとるのがおかしかったです。これからは、「渡り鳥」を狙ったカメラマンが増えると思います。 
 今回紹介する「房総のむら」の体験の指導者は、「商家の町並み」「細工の店」の体験「篠笛作り」「篠笛講習会(演奏)」の指導者で、「佐原の山車」で「佐原囃子」の笛も吹く赤坂明さんです。この日は、何年も陰干した「篠竹」に、「指孔(ゆびあな)」と「唄口(うたくち)」をつける「篠笛作り」の指導です。この後に「篠笛の演奏」の練習となります。こんな体験も、日本遺産「北総四都市江戸紀行」のガイダンス施設、「佐原」の歴史的な町並みを参考にした「商家の町並」がある「房総のむら」ならではの体験です。
 「房総のむら」では、訪日外国人の方に「SNS」を利用した「房総のむら」の情報発信を促進するため、情報発信していただいた訪日外国人の方への記念品のプレゼントを始めました。写真のお二人は、オーストラリアからおいでになった方で、「ハネムーン」で日本に来たそうです。記念品は、「房総のむら」で作ったものから選んでいただきますが、お二人は「浮世絵」を選びました。
「ハネムーン」で「房総のむら」に来ていただけるとは嬉しいことです。Congratulation」「Have a nace trip




2017年10月17日火曜日

寒露(二十四節気)蟋蟀在戸(七十二候)10月18日~22日 もくずがに料理

七十二候は「蟋蟀在戸」(きりぎりすとにあり)、「きりぎりす」が戸のあたりで鳴く頃だそうです。清少納言:枕草子「虫は鈴虫。ひぐらし。蝶。松虫。きりぎりす。、、」、小林一茶「すず風や 力いっぱい きりぎりす」、太宰治「きりぎりす」など文学作品にもしばしば登場し、「きりぎりす」は日本人に親しまれた秋の虫です。最近は、あまり見かけないかもしれませんが、「房総のむら」ならば「在戸」も見られるかもしれません。写真は、鮮やかな真っ赤な色に見とれてしまった「下総の農家」に干してあった「日光唐辛子」です。 
 こちらは、「下総の農家」「安房の農家」の畑の「綿」です。左が「茶綿」、右が白い「綿」です。「ボール」がはじけて、「綿」がきれいな状態のうちに摘みとります。この後、体験することもできますが、「種を抜いて」、「木綿糸を作り」、そして「草木を利用して糸に色を付け」、その糸を使って「機織りでストールやコースターなどを織り」上げます。 
 年に一度の実演・体験「もくずがに料理」です。「もくずがに」は、海で生まれて川を上る蟹です。甲羅は大きくて10センチ、脚をひらいた長さは20センチほどです。脚やハサミの肉もおいしいようですが、海のカニのように太い肉がつまっているわけではなく、よく食べられるのが甲羅の中の「かに味噌」です。房総の清流はきれいで、そこでとれた「もくずがに料理」は、昔から食された房総の「郷土料理」です。料理の指導者は、大多喜町の高梨喜一郎さんです。 
「もくずがに」の食べ方はいろいろあるようですが、体験では「かに飯」と「かに汁(かにごし)」を自分たちで作って食べていただきました。「日本の上海蟹」とも呼ばれるだけあって、海の蟹より濃厚な味です。また、甲羅に「かに味噌」と「味噌」を混ぜて詰めて焼いた「味噌焼き」は、お酒の「あて」やご飯にのせて食べたら最高です。「もくずがに料理」の体験は、繁殖期に海に下る前の、この季節だけの体験です。 

「竹の皮のぞうり」です。竹の皮(たけのこを包んでいる茶色の皮)を使って、ぞうりを作ります。体験では、「わらぞうり」と同じように、縄ない、鼻緒を作り、「ぞうり編み台」を使って、水に漬けてやわらかくした竹の皮を編み込む一連の作業を行います。特徴は、「竹の皮」ですから、なんといっても水に強いことです。そして、「わらぞうり」の硬い感じではない、柔らない感じの「ぞうり」です。最近は、フローリング床でのスリッパ用としての利用者も増えているそうです。 
「房総のむら」ではおなじみの、「商家の町並み」「本・瓦版の店」の「摺り」の体験です。「摺師」松崎啓三郎さんの指導で、「摺り」の体験です。二色目の摺りなので、一回目の墨絵と重なるように「見当」を合わせ、版木に乗せる顔料、糊、その量、そして、色を乗せるためにおさえる「馬楝(ばれん)」の使い方の指導を受けます。「見当」を合わせることが一番大事とのことです。 
「左官の技」の体験です。土が塗られはじめた壁を内側から見たところです。伝統的な土壁の芯になる「木舞(こまい)」がわかると思います。家の木組みの空いているスペースには、そのままでは土をのせることはできませんので、柱と柱、貫と貫の間に竹を細かく格子状に編んだ「木舞」が必要になるわけです。そこに土をつけることで、壁をつくっていきます。水と藁を含んだドロドロの土を塗り、乾くのを待って次の工程に進んでいきます。