2018年3月30日金曜日

春分(二十四節気)雷乃発声(七十二候)3月31日~4月4日 春爛漫 桜に桃に野の花も 「祝言の料理」

 「春分」の七十二候末候は、「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」で、遠くで雷の音がなり始める頃です。ここ数日は天気も安定し雨の予報はなく、気温も20度を超え少し体を動かすと汗ばむくらいです。「房総のむら」の桜は、早くも”ソメイヨシノ”がほぼ満開を迎え、まさに”春爛漫です。今咲いている館内の桜を紹介します。「商家の町並み」です(写真:上左)。「稲荷境内」の桜です(写真:上右)。「商家の町並み」の”瓦屋根”越しに見た桜です(写真:中左)。「武家屋敷」の桜です(写真:中右)。「上総の農家」の菜の花と桜です(写真:下左)。「堀割」の桜と柳です(写真:下右)。
 続いて、「風土記の丘」の桜です。日本一の方墳「岩屋古墳」墳頂の桜です(写真:上左)。「龍角寺101号墳」の埴輪と桜です(写真:上右)。「古墳広場」の古墳の墳丘裾にある山桜です。館内で一番素晴らしいといわれています(写真:中左)。重要文化財「旧学習院初等科正堂」と桜です(写真:中右)。「風土記の丘」の町道に被る桜です(写真:下左)。重要文化財「旧御子神家住宅」と桜です(写真:下右)。
「おまつり広場」ほぼ中央の桜です(写真:上左)。こちらは一本の木ではありませんが、あたかも樹冠を大きく広げた一本の木のようです。お隣の「茶店」の下では、ゆっくりと花見です(写真:上右)。「茶店」の”ヤエベニシダレ”です(写真:中)。「おまつり広場」の”ジュウガツザクラ”です(写真:下左)。「下総の農家」の”コウメザクラ”です(写真:下右)。
 ”ソメイヨシノ”は遠くから見ると白っぽく見えます(写真:上)。”オオシマザクラ”は、緑の葉も鮮やかです(写真:中)。”ヤマザクラ”の葉は、やや茶色を帯びています(写真:下)。
 ”ハナモモ”もかなり咲いてきました。「安房の農家」の畑横の”ハナモモ”です(写真:上左)。「上総の農家」の梅畑の赤白の花が咲く”ハナモモ”です(写真:上右)。「下総の農家」の”ハナモモ”です(写真:中左)。「商家の町並み」「瀬戸物の店」の横の”ハナモモ”です(写真:中右)。「上総の農家」の梅林の”ハナモモ”です(写真:下左)。”蝶”も随分飛び回っていますが、”ハナモモ”でひと休みです(写真:下右)。
 「商家の町並み」「めし屋」の「祝言の料理」の展示です。江戸時代までは、料理を作りもてなすことができたのは限られた裕福な家だけだったようですが、千葉県でも明治以降昭和30年代頃までは多くの家で婚礼が行われるようになりました。そこでふるまわれた”本膳”を用いた料理は、郷土色豊かな料理でした。展示は、千葉県印旛郡栄町龍角寺で昭和20年代に”もてなしの料理を作る仕事を頼まれた「料理番」”と呼ばれる方のお話をもとに再現したもので、当時の家々で行われた”祝言”の様子がうかがえます。
①”祝言”の時には、あらかじめ「料理番」が”蓬莱山”を作って式の間”床の間”に飾っておきます。”蓬莱山”は、米を一升山盛りにし、この上に”半紙で折った鶴”と、”聖護院大根を半分に切り墨でこけら(甲羅)を書き、頭と手足は里芋でかたどった亀”を飾ります。
  ②お嫁さんが婚家に入ると、まず”お茶とお菓子”を出します(写真:上左)。戦前は、八重桜の蕾を塩漬けしておいたものに湯を注いだ”桜湯”を出したそうです。お菓子は、主に饅頭だったようです。③次に、「落ち着き」として、”赤飯”と”きんぴらごぼう”、”豆腐の吸い物”が出されます(写真:上右)。これには、”酒宴の腹ごしらえ”としての意味もあるそうです。④その後に蛤の吸い物がでます(写真:下左)。夫婦が仲良くなるようにと、一つの椀に二つの蛤を互い違いに組んで入れてあります。しかし、客はここではこの”吸い物”を食べてはいけないそうです。⑤”仲人”の采配で、子どもが扮する”雄蝶雌蝶”が”三三九度”の銚子を回し、杯を酌み交わして式は終了となり、”鮒の腹合わせ”(写真:下右)を”床も間”に飾ります。本当は”鯉”を使うようですが、この地域では”鮒”を使うことが多かったそうです。”腹合わせ”が出たら宴会となり、客はようやく”蛤の吸い物”を口にすることができます。
⑥この後、大皿に5品(または7・9・10111315品でもよい)の料理を盛った「口取り」が出されます。”尾頭付魚の焼き物”や”羊羹”、”きんとん”、”蓮”などです(写真:上左)。”尾頭付”は”小鯛”が正式とされるそうですが、高価だったので”イシモチ”や”ホウボウ”などが使われたそうです。次は、「皿盛り」です。”刺身”の膳です(写真:上右)。そのほかに、茶わん蒸し鮒のピン焼き天ぷら鯉こくも出されました(写真:下左)。”鮒のピン焼き”は、”祝言の料理”の中で最高の料理とされ、”小鮒”を背から二枚に裂いて串を打ち砂糖と醤油で味をつけながら炭火で焼くものです。「料理番」の家では、このために大きな四角い”七輪”を当家に持参して料理をしたそうです。そんなもっとも重要な料理ですから、「房総のむら」では、川魚料理で指導いただいている「髙城良平」さんに料理していただきました。”太巻き寿司”は、三切れまたは五切れを盛りつけたそうです(写真:下右)。
これらの料理が出る合間に、途中で「一の折り」が、大きな家では「二の折り」も出されたそうです。「一の折り」は、奥に”鯛の尾頭付”、”海老”、手前中央に”かまぼこ”、”伊達巻”、”錦巻”、”白豆のきんとん”、”羊羹”などが詰められています(写真:左)。⑨宴がお開きになる時には、「本膳」が出されます。”白飯”、”鮒のたたき汁”に”たくあん”や”白菜の漬物”が付きます(写真:右)。この後で、最後に”お茶”が出て終わりになります。  展示をご覧になっていた方が、「すごい料理ですね」「随分上手に作ってありますね。本物みたい」と。そこで、皿の上の生きている”鮒”を示しながら「3日間の”祝言の料理”のために実際に作った本物の料理です」と説明しますと、「すごい、料理サンプルだと思った」と感心してました。
 「下総の農家」では”豆”も花(写真:下左=サヤエンドウ、右=ソラマメ)が咲き、少しづつ大きくなってきましたので、つる性の豆には”手”を付けました(写真:上)。
 「房総のむら」の春の”山野草”です。小さな”センボンヤリ”です(写真:上左)。暗紫色の”ミツバアケビ”も小さな花です(写真:上右)。”ミツバツチグリ”は館内のあちこちで見られます(写真:中左)。”ヤマブキ”も咲き始めました(写真:中右)。”カタクリ”も花が増えてきました(写真:下左)。そして、なんと早くも”ニリンソウ”です(写真:下右)。
 ”ホトケノザ”です(写真:上左)、”タチツボスミレ”(写真:上右)、”ヒメオドリコソウ”もあちこちで見られます。最後に”ワラビ”(写真:下左)、”ゼンマイ”(写真:下中)、そして、”タンポポ”の綿毛(写真:下右)です。道端散策路、林の中などの山野草を大事にしていますので、ご協力ください。

2018年3月24日土曜日

春分(二十四節気)桜始開(七十二候)3月26日~30日 「桜開花宣言」、「コースター」「打掛試着」「金箔の七宝」体験

 七十二候は、「桜始開(さくらはじめてひらく)」です。早咲きの桜は、既に咲き始めたことは前回紹介しましたが、”暦”どおりに”ソメイヨシノ”も咲きました。「房総のむら」も開花宣言です。
   ”ソメイヨシノ”の開花を確認したのは2・3日前でしたが、23日には多くの木で5輪以上の花の開花を確認しました。「農村歌舞伎舞台」付近ではかなり開いていますが、「総屋」前の木は少し遅いようです(写真:左)。暖かい日が続きそうですので、日ごとに花も増えていくと思います。
 一番早く咲いた「風土記の丘資料館」裏の”一重のベニシダレザクラ”は、もう見頃です(写真:上)。近くの”コヒガンザクラモ”も少し小さな花ですが、木の下のほうまで花が咲いてきました(写真:下)。
 「房総のむら」で咲く梅で、唯一紹介が遅れていた「下総の農家」の”ユスラウメ”も咲き出しました。樹高は低く花も小さ目で、どこか桜の花に似た白色の花です。これで、「房総のむら」で今年確認した”梅の花”はすべて紹介できました。
「農村歌舞伎舞台」のある「おまつり広場」の”ハナモモ”です。休憩施設の瓦屋根の上に、大きく広がっています。こちらも今が見頃でしょうか。花は、純白で八重咲きです。裏から見ると、”淡緑色の額”が鮮やかで印象に残ります。
 館内のあちこちに咲く”コブシ”がほぼ満開です(写真:上左)。花びらもかなり広がってきました。咲き始めの頃は”コブシ”との違いがはっきりしなかった”モクレン”も、今は大きな花が”凛”として上を向いています(写真:上右)。「風土記の丘資料館」横、手前から”ユキヤナギ”、”モクレン”、”トサミズキ”です。前回も紹介しましたが、それぞれの花が今が盛りのようなのでまたのせました(写真:中左)。「上総の農家」の”ジンチョウゲ”です(写真:中右)。写真下段の花は、館内のあちこちで見られる花です。左から”タチツボスミレ”、”シャガ”、”ハナニラ”、”クサボケ”です。春の花が、一斉に咲き出しました。
 ”カタクリ”も咲き出しました。これまでも増殖活動をしてきていますが、なかなか増えません。見かけたら、写真に”とる”だけにしておいてください。お願いします。
 「啓蟄 菜虫化蝶(3月11日~)」にはのせることのできなかった、今年”羽化”した”蝶”です。「下総の農家」の畑に”モンシロチョウ”が飛んでいました。しばらくすると、畑で休んでくれました。「上総の農家」でも、菜の花畑のまわりを飛び回っている”モンシロチョウ”がいました。こちらも休んだところで、写真にとることができました。ちなみに、「昆虫談話会」さんによると、この蝶は”雌”だそうです。”前翅”の付け根が、半分灰色がかっていることが特徴のようです。
 「商家の町並み」「木工所」の「木挽きの技」の体験です。”木挽き(こびき)”とは、木材を”大鋸(おが)”で挽き切ることです。大きな鋸(前挽大鋸、木挽鋸)だけで太い”原木”から”材木”を挽きだす仕事で、製材が機械化されるまでは村々に専門の職人もいました。”鋸”には、”木目”に沿って切る”縦引き鋸”(写真:中右)と、”木目”に対して直角に切る”横引き鋸”(写真:中左)があります。「木工所」では、”縦挽き”用の”前挽大鋸”で、実際に丸太を挽いてもらいます(写真:左)。こんな体験ができるのも、”大鋸”がある「房総のむら」ならではのことだと思います。「葛飾北斎」の「富嶽三十六景」「遠江山中」に描かれた”大鋸”を挽いている絵を参考に並べました(写真:右)。”材木”の上に乗って”大鋸”を挽く男と、”材木”の下から背をそらせて”大鋸”を挽く男が描かれています。
 「商家の町並み」「畳の店」の「畳のコースター作り」の体験です。”畳表”に、お好みの柄の”縁”を張り付けて、”コースター”や”小物置き”を作ります。お母さんも一緒になって、”畳表”に張る”絵柄”や”向き”を考えていました(写真:左)。”コースター”の大きさは、”畳の目”が8目(もく)分のほぼ正方形(約12cm×12cm)です(写真:右上)。「さくらまつり」では、”畳のストラップ”(約4cm×4cm)作りができます(写真:右下)。”縁”には、写真のような”桜柄”はいかがでしょうか。
 こちらは、「下総の農家」「機小屋(はたごや)」の「コースター」作りの体験です。”草木染め”の糸を使って”木綿のコースター”(10cm×10cm)を織ります。お母さんが楽しそうに織っていますが、実は体験者は娘さんなんだそうです。でも、残念なことに、身長が少し足りなかった(約145cm以上)ようで、椅子に座って自分の足での踏み込みができないのでお母さんに代わってもらったそうです。”機織り(はたおり)”は、自分でペダルを踏んで”経糸(たていと)”を上下に分け、その間を”緯糸(よこいと)”が通るように拡げ、その”経糸”の間に”杼(ひ)”につないだ緯糸を通し、通った”緯糸”を”筬(おさ)”で手前に打ち、”経糸”と”緯糸”を組み込む作業を繰り返していきます。ということで、娘さんは”筬”で”緯糸”を打ち込む作業をしています。お母さんと娘さんの共同作業で、上手に”コースター”ができました。もう少し大きくなったら、また「房総のむら」に来て、自分で”機織り”を体験してください。
 そして、「武家屋敷」の「打掛試着」の体験は、身長が120cm以上の女性の方の体験になります。ほぼぴったり。試着できてよかったです。試着したところで、お母さんが写真を撮っていましたので、お願いして撮影させていただきました(写真:左)。決まっていますね。座ったままのポーズが長くなって、足がしびれませんでしたか。ごめんなさい。立ち上がったところでご両親と一緒に、もう一枚撮らせていただきました(写真:右)。日本の文化にも大変興味を持っているようで、いろいろ勉強もしているようでした。製作体験ではありませんので、形には残りませんが写真でこの体験を”思い出”にしてください。
 「商家の町並み」「瀬戸物の店」の「七宝焼」の体験です。でも、なんか普通の”七宝”と違うような気がしませんか?そうなんです、今回は特別に”金箔”を使った”七宝焼”(金箔の書き割りによる七宝)なのです。指導は、「馬場智与子」さんです(写真:上左)。「馬場」さんの作品作りを見ていると、”下書きのない金箔”の上に”竹くし”で”さらさら”と”書き割り(絵を描く)”していきます。金箔の豪華さはもちろんですが、下地の金箔をのせない部分を作り出すことで、見事な作品を作り出します(写真:上右)。その「馬場」さんの指導で、銅板を切って”金箔”を貼り、そこに絵を描き焼き上げたら完成です。お二人は、ペアーでキーホルダーに仕上げました(写真:下左)。”豪華な金箔”ですので、なるべく”金箔”を残した作品にしたそうです。お二人は、電車とバスで来てくれたそうですが、”七宝焼き”に時間がかかり、館内の見学時間が足りなくなったようです。でも、閉館後も古墳群を見ていきたいとのことでした。”金箔の七宝”が、いい”思い出”になるといいですね。

2018年3月23日金曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の田んぼ、上総の農家からむらの架け橋を渡り、安房の農家、下総の農家、おまつり広場を巡りました。


●資料館横のコヒガン(桜)は高い所の枝にチラホラと咲いています。そのすぐ近くと茶屋前にあるベニシダレはツボミがきれいに膨らんでいます。
 ソメイヨシノのツボミもだいぶ膨らんで、開花が近い状態です。ジュウガツザクラは相変わらず沢山花を付けています。

●安房の農家のヒュウガミズキが咲き出し、同じ庭のトサミズキ、武家屋敷横のトサミズキも見頃です。

●真冬の堅い冬芽が芽吹き始め、みずみずしい色を見せています。

●ヒサカキの花も開花しました。ヒサカキは雌雄別々の木で、雄花の中心は黄色、雌花の中心は緑色をしています。花は独特の香りを放っています。

●上総の農家横のシュンランは花柄が伸び出しました。下総の農家のシュンランは十数個の花が咲いています。

●安房の農家横にコマチダケが有ります。葉は羽状に付き、根は横に這わず垂直になり稈(幹)は株立ち状になります。
 稈の断面は中実(中空ではない)なのが特徴です。
 若竹が外側に、老竹が内側になるので別名「孝行竹」と言われています。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。3月16日(金)の観察に基づいています。 (風)

2018年3月20日火曜日

春分(二十四節気)雀始巣(七十二候)3月21日~25日 桜咲き、白に黄色の春の花、そして枯葉色の林に緑鮮やか

 「房総のむら」でも”桜”が咲き始めました。開花一号は、「風土記の丘資料館」の”ベニシダレザクラ”(写真)と”コヒガンザクラ”です。「武家屋敷」から「風土記の丘資料館」に歩いて行くと、「資料館」の手前の「復元竪穴住居」に向かう所に2本の桜の木が並んでいます。桜の開花情報は、「房総のむら」ホームページの「さくら情報」をご覧ください。”桜の開花”は昨年よりも1週間から10日近く早いようで、4月の7日・8日の「さくらまつり」には???と、心配にはなります。でも、”ソメイヨシノ”の開花はまだです。昨年のように、これから再び寒くなればと期待?もするのですが、、、
 二十四節気は、「春分」となります。まだまだ、朝が明けるのが遅いと思っているのですが、もう”昼と夜の時間”が同じになるのですね。そして、七十二候は「雀始巣(すずめはじめてすくう)」です。それで”雀”を探していたら、「管理棟(千葉県会議事場を再現)」横の”コブシ”に”雀”がとまっていました(写真:上左)。この”コブシ”の木の上部はまだ”蕾”ですが、下の方で朝は開いていなかった”花”が夕方には開きました(写真:下左)。館内のあちこちで”コブシ”が咲いています(写真:上右)。”コブシ”と”モクレン”の違いがよく分かりませんでしたが、”花弁が6枚”、”花の下に葉が1枚”、そして”花があちこちを向いている”のが”コブシ”だそうです(写真:下右)
 「風土記の丘資料館」横の”モクレン”です。”花弁が9枚”で”上を向いて咲いて”います。”モクレン”の方が”コブシ”よりも少し早く咲くようですが、「房総のむら」では、ほぼ同時に咲いたようです。
 「風土記の丘資料館」横、”モクレン”の近くの前回も紹介した”トサミズキ”です。前回はまだ花が咲いたところといった状態でしたが、あっという間に満開です。木全体が”淡い黄色の霞”にでも包まれたようです。
 ”春の白と黄色の花”です。「上総の農家」の畑の”菜の花”も花が増えてきました。隣の園路の”レンギョウ”も咲き始めました(写真:上右)。「風土記の丘資料館」横の”モクレン”の下には”ユキヤナギ”です(写真:下左)。ということで、「風土記の丘資料館」横で、手前から黄色の”レンギョ”、白の”モクレン”、そして淡黄色の”トサミズキ”です(写真:下右)。
 「下総の農家」近くで、早くも”ウラシマソウ”を発見しました(写真:上左)。少し早すぎはしませんか?「商家の町並み」「鍛冶屋」の裏の”ミツマタ”です(写真:上右)。館内のあちことで咲いていますが、「旧平野家住宅」近くの”ウグイスカグラ”です(写真:下左)。「下総の農家」の”セイヨウズイセン”に変わった花が咲いていました(写真:下中)。前回、「おまつり広場」の園路の”セイヨウズイセン”を紹介した時には咲いていなかった”スノウフレーク”が、”スイセン”の後ろに急に咲き出しました(写真:下右)。とにかく、ここ数日で、急に花が咲き出しました。
 「武家屋敷」から「風土記の丘資料館」に続く林の中の、現在の状況です(写真:上左)。枯葉で埋め尽くされた地表面に、所々に鮮やかな”緑色の葉”が群生しています。「災いよけ」で紹介した「水車小屋」近くの「鹿島人形」が”いる”辺りの様子です(写真:下左)。こちらにも鮮やかな”緑色の葉”が茂っています。葉は、”水仙の葉”のように”すーと”と伸びています(写真:右上)。この葉は、夏の終わりに花が咲く”キツネノカミソリ”の葉です(写真:下右、昨年8月26日撮影)。花が咲いた時には葉がありませんが、今頃葉が出て夏には葉が枯れ、その後に花が咲くのです。「房総のむら」の林の中は”枯葉色一色”ですが、その中に鮮やかな”緑の葉”が目立ちます。もうすぐ他の植物も芽を出して”枯葉色”が”緑色”に変わると、遠くからではわかりにくくなってしまう”今だけの風景”です。
 そしてこちらは、”ヒガンバナ”です。”ヒガンバナ”も同じように、花が咲いた時には葉がありません(写真:右、昨年9月16日撮影)。”ヒガンバナ”は、花が終わった後に、晩秋になると”ロゼット状”に細い葉を出します(写真:左)。”キツネノカミソリ”よりも緑が濃くつやがあります。現在は深い緑色をしていますが、もう少したつと枯れてしまい、秋が近づくまで地表には何もなくなります。そして、時期が来ると枝も葉もない花茎が地上に出てきて、あの真っ赤な”ヒガンバナ”が咲くわけです。「房総のむら」のあちこちで見ることができますが、林の中ではなくある程度日当たりがよい場所ですね。
 こちらの体験は、「わざ指南道場」の「竹垣作りコース」の様子です。体験は、”梅の香りがほのか”にする「武家屋敷」の「梅林」近くの園路で行われました。指導は、「果樹の手入れコース」「庭木の手入れコース」も指導していただいている「宮﨑 弘」さんです。「宮﨑」さんの指導のおかげで、「むらの梅」もきれいに咲き、”インスタ映”する景観です。「竹垣作りコース」では、竹の伐採時期や枝の払い方、そして使い方を学びながら(写真:上右)、”シュロ縄”で竹を結んで(写真:中左)”生け垣作り”をします。今回は、初心者の方々が”四つ目垣”(写真:下左手前)を、経験者の方々が”金閣寺垣”(写真:下右)を竹垣を作りました。”竹垣作り”に使われる”縄の縛り方”が、”男結び(イボ結び)”です。雨風にさらされてもほどけ難い、滑りやすい竹をしっかり密着できる”結び方”です。皆さん、何度も繰り返し、しっかり覚えていました。しっかり縛ることができるので、いろいろな場面で使える縛り方ですね。体験者の方々が閉館時間近くまで頑張っていただき、きれいな”四つ目垣”と”金閣寺垣”ができました。ありがとうございました。
 「商家の町並み」「小間物の店」の「組紐の作品展」です。こちらは、「むらの達人講座」の中の「佐久間さち子」さん指導の「組紐丸台・高台コース」で、”達人の皆さん”が組み上げた”組紐”の作品の展示です。”丸台”や”高台”を使って作った、”丸打紐”や”平打紐”です。”帯締”などのほか、”組紐”を結んで”飾り結び”にしたり、バックやキーホルダーにした作品も展示されていました。見事なものです。さすが、”達人”の方々の作品です。

2018年3月15日木曜日

啓蟄(二十四節気)菜虫化蝶(七十二候)3月16日~20日 ”Spring has come” 「もちびやり」「牡丹餅」「紙漉き」「土器野焼き」

 二十四節気「啓蟄」の次候は、「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」です。”蝶”の季節にはまだ少し早いと思っていたのですが、「旧御子神家住宅」で”サンシュユ”を見ている時に、”ひらひら”と落ちてきた黒いものが地面に着くと真ん中で割れて中から”水色の線”が鮮やか見えました。”ルリタテハ”です。でも、やっぱり「菜虫化蝶」には早いと思ったので、「房総のむら」の”虫の観察会”でもお世話になっている「千葉県昆虫談話会」さんに確認したところ、”ルリタテハ”は”成虫で越冬”するとのことで、納得しました。今年初の”てふてふ(ちょうちょう)”でした。”ルリタテハ”を撮影した翌日はさらに暖かい日で、”アカタテハ”のほか”キチョウ”か”モンキチョウ”かわかりませんでしたが淡黄色の蝶なども確認できました。暖かい陽気に誘われて”蝶”も活動を始めたようで、「房総のむら」にも”春が来た”ようです。
 「房総のむら」に隣接する「ドラムの里」の”河津桜”の花は2月から咲き始めていますが、ここ数日でかなり開いてきています。大きな幅広の”花びら”が隣の”花びら”と重なり合っています(写真:上左)。暖かい日には、桜の木の下にシートを広げる方もいらっしゃいます(写真:下右 )。まだ、寒い日もありますが、着実に春の足音が聞こえてきました。「房総のむら」の”桜の開花状況”の詳細は、「房総のむら」HPの「さくら情報」をご覧ください。
  「武家屋敷」隣の”梅林の梅””です。これまで紹介できなかった梅が咲き出しました。一本の木に”白い花”と”赤い花”が咲きます。ほとんどが”白い花”の中に枝単位で”赤い花”が咲いています(写真:上左)が、中には”白”と”赤”の花が交互に咲いたり(写真:中左)、一枝だけ”赤い花”だったり(写真:中中央)、また一輪だけ”赤い花”が咲いたりしています(写真:中右)。そして、一つの花で何枚かの花弁だけが”赤い””白赤の花”もあります(写真:下)。面白い梅の花です。
 「房総のむら」の”水仙”です。「下総の農家」の水田ある斜面の”セイヨウズイセン”も、かなり咲いてきました(写真:上左)。「安房の農家」の八重咲きの”ニホンズイセン”も盛りを迎えています(写真:上右)。「おまつり広場」横の「茶店」から続く園路の”セイヨウズイセン”です(写真:下段)。”水仙”からも、ほんのりと甘い香りがします。
 「旧御子神家住宅」の”サンシュユ”の花です(写真:上左)。住宅の外には”アセビ”も咲いています(写真:上右)。”ロウバイ”が終わった「風土記の丘 資料館」の近くには”トサミズキ”が咲き出しました(写真:中左)。「武家屋敷」の梅林近くの園路の”トサミズキ”には花の横に実もぶら下がったままです(写真:中中央)。「下総の農家」では、”シュンラン”も咲いています(写真:下右)。”トサミズキ”は、「安房の農家」でも咲いています。”フキノトウ”は、やはり春を感じるのでのせました。「大寒 款冬華(ふきのはなさく)1月20日~」で蕾を確認してから2か月ほどたち、花も咲き大きくなってきました。”雌花”でしょうか。”フキノトウ”は、やはり春を感じるのでのせました(写真:下)。
 二十四節気「雨水」七十二候「霞始靆」で、香取郡多古町の「女おびしゃ」を紹介しましたが、これは「安房地方」の”おびしゃ”の事例です。南房総市旧三芳村山名地区で行われる、”モチビヤリ”の食事を再現しています。”ヒヤリ”とは”日遣り”のことで、村の人たちが集まって飲食して時を過ごすことのようです。本格的な農作業が始まる前に地区の人々が集まって、その年の様々な取り決めをした後で、皆で飲み食いをするそうです。
 「商家の町並み」「菓子の店」では「牡丹餅(ぼたもち)」作りの体験です。お菓子作りの指導者は、いつもの八日市場市「鶴泉堂」の「大川功修」さんです。”牡丹餅”と”御萩(おはぎ)”の違いについては、春は”牡丹餅”、秋は”御萩”とか、”こし餡”と”つぶ餡”の違いとか諸説があるそうですが定説はないそうです。今回は、普通の”牡丹餅”のほかに、”きな粉”でくるんだ餅(”空也餅”と呼ぶ地域もあるそうです)と、”白ゴマ”で包んだ餅の三種類をつくっていただきました。”餡”の”牡丹餅”は、半つぶしにした餅米を”こし餡”で包みます(写真:下右下)。”きな粉”の餅は、”つぶ餡”を餅米の真ん中に入れます(写真:下右中)。白ゴマの餅は、”白い小豆”の”つぶ餡”を入れています(写真:下右上)。”白い小豆”は、あまり流通していないものだそうで、食べるとあっさりした感じでした。なお、お菓子屋さんでは、「小豆」は”アズキ”とは読まないで”ショウズ”と読むのだそうです。「大川」さんには、今回もいろいろ教えていただきました。体験者の皆さん、上手に”牡丹餅”ができましたか。「房総のむら」で学んで、ご自宅で実践ですね。お彼岸には、是非ご自分で”牡丹餅”を作ってください。
「商家の町並み」「紙の店」の「紙漉き」です。「紙の原料作り」は、大寒(二十四節気)鶏始乳(七十二候)で紹介しました。今回は、その”楮の皮から作った和紙の原料”を使って「紙漉き」体験です。原料の入った”水槽(フネ)”から”竹簾”を挟んだ”木枠”で原料の水を汲み、”竹簾”に紙の原料を付着させ、不要な水を捨てるという一連の作業を繰り返して紙の繊維の層を厚くしていきます(写真:上左)。まず、ひと汲み目はすぐに流して”竹簾”の上に薄い繊維の層(紙の表面)を作ります。その後は、原料の水を汲み入れ、波をたてるように揺すり、繊維が絡み合いながら”竹簾”の上に乗るようにして丈夫な紙にしていきます。紙の厚さは、”竹簾”の透け具合で判断し、適当な暑さになったら水を払います(写真:上右)。この後、”木枠”から”竹簾”を外し、”竹簾”にできた”和紙”を剥がして乾燥させれば完成です。試しに”木枠”の半分に和紙の原料が乗らないようにして漉いてもらった様子を見ると、粘り気のある紙の繊維が絡み合って薄い層そうになっていることがわかると思います(写真:下右)。
 このように、紙の繊維がうまく漉けるのは、”トロロアオイ”の根から溶け出した粘り気のある液体が、紙の繊維を沈むのを防いで水槽の中に浮遊させているからなんです。写真の花を覚えていますか、写真は、9月9日に「紙の店」の前で撮影したものです。この花が咲いている木が、”トロロアオイ”です。
 「紙漉き」の体験では、”はがき”(写真:左)や”半紙”(写真:右)サイズの”和紙”を作ります。”はがきサイズ”の和紙では、4月7日・8日の「さくらまつり」の「紙の店」の体験「桜色の葉書作り」の試作品を漉いていました(写真:下左)。葉書ですから、”少し厚手”で”桜色”に淡いピンク色の和紙です。普通の和紙は真っ白というよりは少しくすんだ感じの色になりますが、”半紙サイズ”も”遊び”で原料の中に細かな”楮の皮”をいれて漉きました(写真:下右)。ちょっと民芸調ですかね。こんなことができるのも、”手漉き和紙”ならではのことですね。是非、ご自分で”和紙”を漉いてみてください。
 「風土記の丘」の「ミニチュア土器・土偶作り」です。1か月ほど前に形を作り文様をつけて乾燥させておいた土器を、”野焼き”しました。発掘調査で出土する本物の土器と比べると小さ目の土器や土偶を作って、”窯”ではなく当時のように焚火を大きくしたような”野焼き”で焼きました。なかなか上手に出来上がったようです。でも、中には焼いている最中に割れたものもありました。”陶芸”では粘土の中の空気を出すことが重要ですが、こちらも同じようですね。火の中から取り出してもかなり温度が上がっていますので、土器の温度が下がるまでそのままにしておきます。その間、火の中に入れてあった”サツマイモ”を食べながら待ちました。”陶芸”で作るものとは違った、趣のある”焼き物”が出来上がりました。