2019年6月29日土曜日

バッチ笠作り



本日と明日の二日間、安房の農家では「バッチ笠作り」の実演を行っています。

「バッチ笠」とは、安房地域で作られていたハチクの皮を使った雨用の笠です。
下総の農家では似たような名前の「ボッチ笠作り」が実演・体験で行われますが、こちらは下総地域で作られていたイグサを編み込んだ笠のことです。
名前は似ていますが、「バッチ笠」は雨が当たるとバチバチと音がすることからバッチ笠と呼ばれ、「ボッチ笠」は笠の頭頂部分に突起(下総地域では「ぼっち」と呼ばれます)があることからボッチ笠と呼ばれています。


バッチ笠は竹で作られた骨組みにハチクの皮をあて、表裏から竹ひごで皮を挟み、木綿糸を渦巻き状に縫って作ります。
きっちりと竹ひごを抑えながら糸で縫い付けていく・・・と思いきや、雨天で手元が暗いこともあり職員は針に糸を通すことに苦戦していました。年齢だけは一番若い私が微力ながら糸を通す手伝いをし、縫い付ける作業へと移りました。
本日の実演では竹ひごを2周ほど縫い付けるところまで。
明日も続きが行われますので、ぜひご見学ください。(は)


2019年6月27日木曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、安房の農家、下総の農家まで足を伸ばしました。


●ハンゲショウ(半夏生)の葉が白くなり始めました。半夏とは夏至(6月22日)から数えて11日目(7月2日)をいいますが、少し早いようです。半化粧というのが合っているのかもしれません。

●独特の匂いであまり好まれていませんが、ドクダミの花が満開です。白い花弁のように見える部分は総苞片といい、花は中央の黄色い部分です。

●他に、今が見頃のものとしては、オカトラノオ、ホタルブクロ、ビョウヤナギ、ウツボグサなどです。

●ヤマユリ、ネムノキ、チダケサシなどはまだ開花するには時間がかかりそうです。

●ハゼノキは、果実からロウがとれるので、和ロウソクに関連して植えてあるのでしょうか?

●ラッカセイの発芽の状態を初めて見ました。枯れているものが見られませんので、発芽率は良いようです。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。6月21日(金)の観察に基づいています。(風)

2019年6月25日火曜日

匠の技~樽作り(実演)~


6月23日(日)は、商家の町並みの木工所で「樽作り」の実演を行いました。祖父の代から樽屋を営んでいる萩原先生に実演をして頂きました。普段は、大小さまざまな樽・桶の製作や修理を行っているそうです。
 
樽は蓋で閉じる容器、桶は蓋が閉じられていない容器の違いがあります。材料である板材は一枚として同じものはなく、ふぞろいの板材の比率をそろえて、まとめると教えて頂きました。
 
本日は房総のむらで使っている樽・桶の修理を実演してもらいました。

竹でタガを編む(左)とタガをしめる(右)様子
 

まずは樽・桶の形状に合わせて、4~5mほどの竹でタガを編みます。写真ではほぼ編み上がる段階ですが、それまではリズミカルに上半身を使い手元で輪を作り、手際よく竹ひごを編んでいました。編み上がったら道具を使いタガを桶に嵌めていきます。

余分なタガを切る(左)とそのとき使用する道具(右)

 
次にタガを嵌め終わると余分なタガを道具で切ります。タガは横一直線に嵌めてあるのでそれに合わせて斜めに切ります。切った後は、見てもわからないようになっていました。

 
桶の修理完成(左)と先生が小さい竹タガの輪をつけている様子(右)

最後は、タガの嵌り具合を確認して完成します。一番大変そうだったのは、タガを嵌める際に両手でタガを力一杯引っ張る作業でした。サイズが合わなければ、タガをある程度まで分解してまた編み直し、引っ張ることを繰り返していました。

先生の胸元で手ぬぐいをまとめているのは、小さい竹タガの輪になります。小さい竹タガの輪は、実演の合間に先生から直接編み方を教えてもらいストラップにすることができます。この日も見学していた3人の方が実際に作成し持ち帰りました。非常に貴重な体験ができたと喜んでもらいました!!!

 

次回の「樽作り」実演は9月22日(日)と1・2・3月に行います。また、竹のタガのキーホルダー作りの体験も行っています。ぜひお越しください。詳しくは房総のむらホームページで日程をご確認ください。(い)

 


 
 
 
 


 




 

第40回房総座 田辺鶴瑛【講談】

 
 6月23日(日)に第40回房総座を開催いたしました。
 
 例年皆さまに『落語会』としてお楽しみいただいている房総座ですが、今回は講釈師である田辺鶴瑛氏をお招きして『講談』を上演いたしました。
 田辺氏は平成2年に 田辺一鶴に入門され、真打に昇進後、現在は「介護講談」などの独自の演目を含め幅広くご活躍されています。

田辺 鶴瑛 氏

  一席目は古典作品より『本能寺』、攻め入る敵の様子や有名な敦盛の場面、甲冑装束や武器の描写が踊るように出てきました。難しい言い回しに、師匠ご自身も鎧について色々と調べたとのこと。
 二席目は新作より『オリンピック 高橋尚子物語』が上演され、こちらも開会式の場面では参加国名を一息で並びたて、会場から拍手が起こりました。さらに、小出監督と高橋選手との絆や、シモン選手との駆け引きは、まるで映像を見ているかのように語られました。
公演の様子
 講談特有の張り扇と釈台による小気味よい音と調子は新鮮で、来場者の方々にも楽しんでいただけたのではないかと思います。
 
 次回の房総座は10月27日(日)に柳家三之助落語会を予定しています。
 
 ぜひ、秋が深まる頃の房総のむらで、江戸情緒ある話芸をご堪能ください。 (ち)


 
 
 
 

2019年6月23日日曜日

ばらっぱ饅頭作り


蒸かし立てのばらっぱ饅頭

下総の農家でばらっぱ饅頭作りの体験を行いました。
ばらっぱ饅頭は、北総地域で夏のお祭りやお盆などのハレの日に食べられていたごちそうです。あんを包んだ饅頭をサルトリイバラの葉っぱに乗せて蒸(ふ)かしたことから「ばらっぱ饅頭」と呼ばれています。
饅頭を乗せるサルトリイバラは房総のむら内にも自生している身近なつる性植物で、西日本では柏餅のカシワの葉の代わりに使う地域もあるそうです。

生地であんをくるみ、蒸し器に並べる

体験では生地をこね、あんをくるんで蒸し器に並べた後、かまどで饅頭を蒸かします。
材料の小麦粉と味噌は房総のむらで作ったもので、小麦粉がきちんと膨らむか心配していましたが、午前・午後の体験ともに無事に美味しい饅頭ができあがりました。


今年度のばらっぱ饅頭作りは今回のみとなりますので、参加されたい!という方は来年度お待ちしております。(は)

手の中に入る樽?~ミニ樽のキーホルダー作り~

6月22日(土)は、雨が時おり降る中、商家の町並みの木工所で「ミニ樽のキーホルダー」を作る体験を行いました。

樽は板材を「たが」で結束した丸い筒の形をした容器です。「たが」とは竹の皮のひごを編んだもので容器を外側から締める紐の役割をします。

房総のむらでは、樽の技術を応用し、ミニチュアのキーホルダーを作ります。

①まず、細くて柔らかい竹ひごを編んで「たが」を作ります。

この回は二人の方に体験して頂きました
 ②次に、長さ3㎝ほどの樽形を形どった木に〝鏨(たがね)〟を使って「たが」をしっかりとはめます。とても慎重にお二人とも少しづつかなづちで叩いていました。


たがを鏨(たがね)ではめる様子

③「たが」の位置を確認して余分な木の部分を切り落とします。普段のこぎりを使うことがないにも関わらず一生懸命切っていました。


のこぎりで余分な木を切る様子

④樽に紐をぶら下げる金具を取り付けて完成です。何種類かある色の中から、自分の好きな色の紐を選んで取り付けます。



世界で一つだけのミニ樽キーホルダー完成!!!

体験した方にお話しを聞くとお子さんが小さかった時に一度来ていたそうです。お子さんも大きくなり今度は自分で体験したいということで来ていただきました。
終わった後、通りを歩いている途中、立ち止まりお互いのキーホルダーを見せ合い話している後ろ姿が印象的でした。次はあなただけのミニ樽キーホルダーを作ってみてはいかがでしょうか?

次回の「ミニ樽のキーホルダー」作りは7月15日(月祝)に行います。空いていればその日にできる当日の体験となりますので、ぜひお越しください。(詳しくは房総のむらのホームページで日程をご確認ください。)(い)


2019年6月21日金曜日

夏の風物詩~水ようかん~



6月15日(土)、16日(日)の2日間、商家:菓子の店では「水羊羹」作りの体験を行いました。

まだ梅雨入りしたばかりですが、たびたび暑い日がありますね。

暑くなってくると「水羊羹」が食べたくなりませんか?つるんとした食感でほどよい甘みがある夏にぴったりの和菓子だと思います。

もともと「羊羹」とは、中国の食べ物で、羊肉を使った汁物だったそうです。日本に伝わった当初もしばらくは豆や葛粉などが入った汁物を羊羹としていたようです。

江戸時代以降、貴重品とされた砂糖が庶民の手に届くようになると徐々に甘いお菓子へと姿を変えたとのことです。

日本人にとって、和菓子の代表格である羊羹がもともとは甘くなかったというのは驚きですよね。



そんな「羊羹」を応用したものが「水羊羹」です。


体験の指導をしてくださったのは、おなじみ匝瑳市「鶴泉堂」の大川功修(おおかわよしのぶ)先生です。大川先生の演目は大変人気で、いつも満員となっております。

今回は基本的なこし餡の「水羊羹」と、ちょっと変わり種「コーヒー水羊羹」の2種類を作りました。


左が水羊羹 右がコーヒー水羊羹

見た目も爽やかで美味しそうです!!

大川先生曰く、果物を使った水羊羹も美味しいとのことです。寒天は酸に弱いので、固まりにくいというデメリットはありますが・・・

「水羊羹」は和菓子の中でも比較的簡単に作ることができます。材料も入手しやすいので、自宅で作るという方もいるのではないでしょうか。そんな方は、変わり種にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


次の大川先生による和菓子作り体験は10月14日(月)の「竿物(さおもの)菓子講習会」です。
竿物菓子とは、細長い羊羹のような形をしたお菓子のことです。昨年度は「羊羹」と「浮島」という蒸し菓子を作りました。

上から羊羹、ゆず浮島、柿浮島


ご興味のある方はぜひご参加ください!!(細)







2019年6月20日木曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の田んぼ、竹林の坂、上総の農家・畑、武家屋敷、資料館連絡通路の周辺を観察しました。


●沢山生えているオカトラノオの花が咲き始めました。

●ハンゲショウにツボミが出来てきたので、ツボミの傍らの葉が白く変化して、地味な花びらの代わりを始めます。

●上総の田んぼの周りでは、小さな野草が沢山見られます。極小のツメクサとノミノツヅリの花は良く似ています。ツメクサ(爪草)はその葉が鳥の爪の形に似ているといわれています。

●ムラサキシキブの花は、今年は当たり年のようで、どの木にも沢山のツボミが有ります。

●今月の16日に予定されている自然観察会のテーマ「アヤメとショウブ」に関しては、上総のため池にハナショウブが一輪とショウブ(ショウブ科)の葉がありました。(今年はショウブの花を確認できませんでした。)

●上総の農家のサカキの花が咲きました。良い香りがします。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。6月14日(金)の観察に基づいています。(風)

2019年6月12日水曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の田んぼ、竹林の坂、上総の農家、武家屋敷前、資料館連絡通路の周辺を観察しました。

●上総の田んぼでは、あぜ道まわりを観察しました。クララが咲き始め、あぜの上にはミゾカクシが増えてきて花も咲きました。トキワハゼ、コモチマンネングサ、シロツメクサ、ハハコグサ、スズメノテッポウ、イヌガラシなど小さな花が咲いています。

●竹林の坂では、ヒメコウゾとヤマグワの果実が色づいてきました。

●カラスビシャクは、葉の基部や葉柄にムカゴ(珠芽)を付け、これで増えます。

●カキの木は、雌花と雄花が別々です。雌花の萼片は雄花の萼片よりはるかに大きいので区別できます。

●シロツメクサは、多数の花が集まって球形になります。花は受精すると垂れ下がります。

●外来のアカバナユウゲショウが増えてきました。一輪だけ白花が混ざっていました。

●マツヨイグサの花がしぼむと黄色から濃い橙赤色になります。(同じ仲間のメマツヨイグサは黄色。オオマツヨイグサは橙赤色。コマツヨイグサは橙色になります。)

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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。6月7日(金)の観察に基づいています。 (風)


※自然観察会のお知らせ
 自然ガイドボランティアでは、月に一回、土日のいずれかを利用して来館者を対象とした「自然観察会」を開催しています。
 6月は下記の予定で行いますので、興味のある方是非ご参加下さい。

○日時 : 6月16日(日)午後1時30分から1時間程度(雨天中止)

○集合場所 : 総屋前

○今月のテーマ : 「アヤメとショウブ」

○参加費 : 無料(むらの入場券必要)

2019年6月9日日曜日

手揉み茶



6月8日(土)、9日(日)の2日間 商家:お茶の店で「本格煎茶作り」の体験をおこないました。

手揉み茶は、蒸し、葉打ち、回転揉み、玉解き、中上げ、もみきり、中揉み、仕上げ揉み、乾燥の9工程の作業をおこないます。当館の「本格煎茶作り」体験は蒸しを省略し、葉打ちからおこなっています。


 

体験を指導してくださった先生は、茨城県「さしま茶手揉み保存会」のみなさんです。焙炉(ほいろ)の上で丁寧に茶葉を揉む様子は、一見簡単そうに見えますが、実はとても難しく、重労働なのです。今回参加された方は、長時間前屈みで揉むので、腰が辛いとおっしゃっていました・・・

5月末の異様な暑さとは打って変わって、近頃は寒い日が続いていますので、こんな寒い日は美味しいお茶を飲んでほっとしたいですよね?

美味しい煎茶の入れ方のコツは、"低温で入れる"ことです。お茶の苦みのもとであるカテキンやカフェインは高温で出やすくなります。逆に低温で入れると苦みが出にくくなるため、うま味や甘みが強く感じられるそうです。
カフェインが苦手な方や、就寝前などには温めのお茶がいいかもしれません。
ご自宅でお茶を楽しむ際の参考になれば幸いです!

「本格煎茶作り」体験は来年3月にも実施予定です。お茶が好きな方、ぜひご参加ください!!(細)












2019年6月7日金曜日

本格鍛冶体験

本日は、「鉄の小物作り」の体験がありました。
ふいごを使って火をおこし、軟鉄を熱してS字状のフックを作りました。
製作状況

体験した方にお話しを聞くと房総のむらのホームページを調べてやってきて下さったとのこと。自分で鍛冶のことを調べていて道具や作業に興味があったからと話されていました。
できた鉄のフックは初めてとは思えないほどお上手でした!!!
鉄を打っている様子
次の「鉄の小物作り」は明日6月8日(土)と8月を除いて毎月行います。ぜひお越しください。
(詳しくは房総のむらホームページで日程をご確認ください。)
(い)

「端午の節供祝い膳」の展示

端午の節供祝い膳
左上「からなます」、左下「太巻き寿司」、右上「煮しめ」、右下「吸い物」、右端「柏餅」

安房の農家では6月7日・8日と「端午の節供祝い膳」の展示を行っています。
「6月に端午の節供?」と思われる方もいると思いますが、安房の農家での端午の節供は旧暦で行っており、令和元年6月7日は旧暦5月5日にあたります。

端午の節供は男の子の行事のイメージがありますが、元々は女性が田植え前に身を清めるため、菖蒲などを飾って忌み籠りをする女性の行事だったといわれています。
また、香りの強い菖蒲や蓬などを飾ることは、5月を悪い月として薬草で邪気を払う中国の行事から影響を受けたともいわれています。
武士の時代になると菖蒲が「尚武(武道を重んじること)」と同音であることから邪気払いとして菖蒲を頭につけていたものが菖蒲の兜となり、さらに、本物の兜を飾るようになったことから次第に男の子の行事へとなりました。

端午の節供祝い膳では、安房地方の初節供の祝い膳を再現しています。
展示品はレプリカではなく本物ですが、ご見学の際は食べないようにお願いします!(は)

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の田んぼ、竹林の坂、上総の農家、むらの架け橋、武家屋敷の周辺を観察しました。
  植物の名札設置を行いながらの観察でした。


●ブタナの花が盛んに咲いています。古墳広場は、一面この花で覆い尽くされています。

●ドクダミの花が咲き始め、オカトラノオにはツボミが膨らみこれからの主役となりそうです。

●春に咲くアザミは、ノアザミ(アザミ属)だけといわれています。
 同じ時期にキツネアザミも咲きます。アザミと名が付いていますが、こちらはキツネアザミ属で、本来のアザミとは別種です。

●アジサイが咲き始めました。

●上総の畑では、ジャガイモ(男爵)の果実が観察できました。ジャガイモの食べる部分は地下茎が芋になった部分です。地上にできた果実を食べると食中毒をおこす恐れがあります。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。5月31日(金)の観察に基づいています。 (風)



※自然観察会のお知らせ
 自然ガイドボランティアでは、月に一回、土日のいずれかを利用して来館者を対象とした「自然観察会」を開催しています。
 6月は下記の予定で行いますので、興味のある方是非ご参加下さい。

○日時 : 6月16日(日)午後1時30分から1時間程度(雨天中止)

○集合場所 : 総屋前

○今月のテーマ : 「アヤメとショウブ」

○参加費 : 無料(むらの入場券必要)