2019年1月30日水曜日

房総のむらを守る~消防訓練・AED訓練~



文化財防火デー(126日)にちなみ、毎年1月下旬に消防訓練を実施しています。今年は130日(木)に栄町消防署の指導を受け、職員約40人が参加して行いました。
来館者の方々には、訓練予告、訓練開始、訓練終了を日本語・英語・中国語で告知し、協力を仰ぎました。
午前10時に火災発生、「火事だー」、直ちに訓練の館内放送が入り、むらの自衛消防隊が発動。「消火」「救護」「誘導」「連絡」「搬出」の役割を分担した職員が一斉に動き出し、本番さながらの真剣な対応が進み鎮火となりました。
 消防訓練終了後に、消火器の使い方と水消火器を使った実技訓練、さらに室内に移動してAED心肺蘇生訓練を行いました。房総のむらでは毎年数名にAED講習を受講させているため、今回56人一組の5チームを編成した各チームは、消防署員の若干のアドバイスをもらう程度で心肺蘇生訓練を自発的に進めることができました。みんな真剣な表情で取り組んでいました。
 年に1回の訓練では十分とはいえないかもしれませんが、むらの施設や来館者の安全を守ることへの職員の意識や技術の向上に結びつくように頑張っています。
                                     (太)
火元への消火器による初期消火

消火栓からの放水消火

水消火器による実技訓練
AED心肺蘇生訓練






2019年1月29日火曜日

大寒(二十四節気)鶏始乳(七十二候)1月30日~2月3日 淡い”雪景色” ”炭焼き” ”味噌作り” 郷土食”とうぞ” ”和紙”の原料 🌶”唐辛子の飾り”と”七味唐辛子” 「むら」の”昆虫”

 ブログでは既に紹介されていますが、26日に雪が降りました。朝には、暗く重い雲が低く垂れこめ小雪が舞いました。夕方に再び雪が降りました(写真)が、その時に遠くの西の空には”夕日”があったようで、少し赤味を帯びた夕暮れに白い雪が舞いました。次の七十二候は、「大寒」の最後で「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」になりますが、今回は「房総のむら」の”雪景色”の紹介です。
 26日の雪は、千葉県内でも限られた地域だけのようで、「房総のむら」周辺が一番降ったのかもしれません。もっとも「房総のむら」でも、かなり降ったというわけではありませんので、朝日が昇ると陽射しがあたったところから溶けてしまいました。26日朝の雪は、ほんと”小雪”が舞った程度で地面など一部にしか雪は残りませんでした。上空の暗く重い雲が雪を降らせたのだと思います(写真:上左)。27日の朝の”雪景色”は、「農家」の畑や田んぼと芝生や草地、それに茅屋根の一部に残っている程度で、所々黒い部分が見えました(写真:上左を除くすべて)。
 「上総の農家」周辺の草花などの”雪景色”です。”コセリバオウレン(小芹葉黄連)”のまわりに雪が残っていました(写真:上左)。「風土記の丘」との間の池の”ヒメガマ(姫蒲)”の茶色の綿にも雪が被っていました(写真:上右)。”チャノキ(茶の木)”には陽射しがあたっていましたが、雪が少し残っていました(写真:下左)。落ち葉の上の雪も陽射しを受けて光っていました(写真:下右)。”雪景色”と呼ぶには少し物足りない、”淡い雪景色”でした。
 26日午前中に火を入れた「上総の農家」の「炭窯」です(写真:上)。午後には”火止め”をして、翌日雪の日の朝には少し青味を帯びた半透明の煙が少し出る程度になりました(写真:中左)。それでも窯の中は、200度を超えています(写真:中右)。あまり燃えると、”薪”が”炭”にならないで燃え尽きてしまいますので温度を確認しながら”窯止め”をしました。”炭焼き”体験の方には、空いた時間に”ススキ(薄)”で少し小ぶりの”炭俵”を作っていただきました(写真:下左)。(奥で作っているのは”米俵”です)お持ち帰り用の”炭俵”は、4kgほどの大きさです(写真:下右)。体験者の方は、部屋の空気や水の浄化などにも使っているとのことでした。
 今年も「下総の農家」では、”寒仕込み”の「味噌作り」の体験です。「下総の農家」の”味噌の作り方”については、今年と同じ二十四節気七十二候(「大寒 鶏始乳」)の昨年のブログで紹介しましたのでそちらをご覧ください。体験者の方々は、自分たちで”大豆”を潰し(写真:上左)、”味噌玉”を作り、容器に仕込みました(写真:上右)。写真中段は、”仕込んだ味噌”の上に”笹の葉”をのせて蓋をした、昨年の”仕込み”の最後の状況です(写真:中)。そして、写真下段は昨年度「房総のむら」用に仕込んだ”味噌”を開封したところです(写真:下)。蓋を開けると、灰色に変色した”笹の葉”が見えます(写真:下左)。その”笹の葉”を取り除き(写真:下中)甕のまわりにできた”カビ”を除去すると、おいしそうな匂いの”味噌”ができていました(写真:下右)。「下総の農家」では、この”味噌”を使って”味噌田楽”や”味噌汁”などを作ります。体験者の一人は、「「房総のむら」で”味噌”や”醤油”も作りますが、あっという間になくなってしまいます」と。自分で作った”味噌””醤油”をじっくり楽しんでいるかと思えば、「みんな食べられてしまう」のだそうです。
 ”寒中”の寒い日に「下総の農家」では、お正月の”鏡餅”や”大根”などがカゴに入れられて干されていました(写真:上左)。その中に、短冊状に切った”大根”も干されています。干し始めた時には”シャキッ”としていましたが(写真:上右)、日が経つにつれ水分が抜けて”しなって”きます(写真:下左)。さらに干すと、”しわくちゃ”になってきました(写真:下右)。この”大根”と”味噌作り”の材料を使った”房総の郷土食”を紹介します。
 それが「とうぞ」です。「下総の農家」の「とうぞ(豆造)作り」についても、昨年のブログで紹介しましたが、意外と知らない人が多いようですので今年も紹介します。「とうぞ」は、「味噌」を仕込んだ時の「大豆」の”煮汁”や余った”麹”で作る”醗酵漬け物”です。作り方は、事前に食べやすい大きさに切った”大根”を天日に干して、しんなりした”切り干し大根”を作っておきます(写真:上右)。まず、甕に”煮大豆”(写真:上中)と”切り干し大根”を入れ(写真:中左)、そこに”麹”(写真:中中)、”塩”を加えて、最後に”大豆の煮汁”を入れ(写真:下左)かき混ぜれば(写真:下左から2枚目)仕込みは完了です。蓋をして冷所で保存すれば、5日ほどで”塩”がなじみ食べられます。あっさりしていて素朴な味ですが、”大豆”を使っていますので栄養は満点です。お酒の”つまみ”や暖かい”ご飯”に合います。ときどきテレビなどでも紹介される、”房総の郷土食”です。
 写真は「下総の農家」の「とうぞ」作りの案内ですが、この案内を見た来館者の方が、「うぞ」を「うぞ」と読み違いたようで甕の蓋をあけて”味見”をしたそうです。”房総の郷土食”は、「どうぞ」召し上がれではなく、「とうぞ(豆造)」という名前なのです。
 「総屋」2階では、「大道芸・伝統芸入門」の体験で「紙切り入門」を行いました。報告は、当ブログ「紙切り入門」もご覧ください。当日は、午前と午後の2回行いましたが大勢の方に体験していただきました。中には、この体験のために”myはさみ”を持参された方もいらっしゃいました。”紙切り”をご家族で体験されている方もいらっしゃいました(写真:中)。メキシコから短期留学中の学生さんも日本の”伝統芸”の体験です。”紙切り”に似たものは、メキシコにもあるそうです。はじめは不思議そうな様子でしたが、出来上がって大いに喜んでいただきました(写真:下)。
 こちらは、「商家の町並み」「紙の店」の「季節の折り紙(節分)」です。”折り紙”の指導は、「日本折紙協会」の会員で、”折り紙”の著作もある「長谷川太市郎」さんです。この日の「季節の折り紙」は、”節分”が近いということで”鬼”です。出来上がった作品は、「紙の店」で漉いた”和紙”に張り付けて完成です。「長谷川」さんの指先を見ながら、子供さんたちが頑張って”鬼”を作っていました。
 「下総の農家」の庭先には、”江戸野菜”の一つ”八房赤唐辛子”も干されていました。この”唐辛子”を使った体験の紹介です。
 「下総の農家」では、二種類の「唐辛子の飾り作り」の体験です(写真:上左)。ひとつは、”ワラ”を綯って”繩”を作り(写真:上右、中)、その”縄”をリース状にして、”縄”の間に”天日干しした唐辛子”を挟みました(写真:下右)。もう一種は、”唐辛子”を挟むように”ワラ”で編みこんで”帯状”にしました。どちらも真っ赤な”唐辛子”と”ワラ”がよく合います。台所にぶら下げておいて、ここから”唐辛子”を抜いて料理に使うのもいいです。部屋に飾っておくと”魔よけ”にもなりますかね。
 そして、こちらは「商家の町並み」「薬の店」の「七味唐辛子」作りの体験です。「七味唐辛子」は、その名の通り七種類の材料を使いますが、七種類の材料は作り手によっても違いがあるようです。「房総のむら」の「七味唐辛子」の材料は、”トウガラシ(生薬名:(以下同じ)唐辛子)、”サンショウ(山椒)”、”ミカン(陳皮(ちんぴ))”、”ゴマ(胡麻)”、”ケシ(罌粟(おうぞく))”、”アサ(麻子仁(ましにん))”、そして生の”トウガラシ(唐辛子)”の七種類です。”(乾燥)トウガラシ”、”ミカンの皮”、”サンショウ”は、七輪の上の”焙烙”で軽く炙った(写真:上左)後に、”薬研”で粉にし(写真:中左)、小さな”ふるい”にかけて粉を均一にします(写真:中右)。”ゴマ”や”アサの種”、”ケシの種”も”焙烙”で炒って香りをひきたたせます。出来上がった七種の材料は、スプーンで調合します(写真:下)。
 七種類の材料を器に集め(写真:上左)、それを混ぜ合わせて出来上がりです(写真:上右)。調合した”七味唐辛子”をお持ち帰り用の袋に詰めて体験の終了です(写真:中)。とにかく香りのいい「むらの七味唐辛子」です。一度体験してみてください。市販の”七味唐辛子”が食べられなくなりますよ。さて、ここでクイズです。スタッフ:「焙烙で炒った乾燥トウガラシと生のトウガラシではどちらが辛いでしょうか」。体験者:「生のトウガラシの方が辛いでしょう」。スタッフ:「では、体験していただきましょう。初めに生のトウガラシです」。体験者:「辛いですね」。スタッフ:「次に焙烙で炒ったトウガラシです」。体験者の方は口に入れてすぐには反応がありませんでしたが、少し経つと「カラッ!、辛い!、辛い!」と顔の表情も一変しました(写真:下左)。「七味唐辛子作り」の体験は三人でされていたのですが、その間にもう一人のお友達は「鍛冶屋」の体験で”ペーパーナイフ”を作ってきた来たとのことでしたので登場していただきました(写真:下右)。
 「商家の町並み」「紙の店」では、「和紙の材料作り」の実演です。「和紙」の材料となるのは、繊維が長くて強い”楮(こうぞ)”や”三椏(みつまた)”などの樹皮の黒ずんだ表皮の下の柔らかい皮です。実演では、「房総のむら」で栽培した”楮”の枝を釜で蒸し、温かいうちに皮を剥がし(写真:上左)、その皮(写真:中左)から”黒い表皮”を取り除き、やわらい繊維の”白皮”にしました(写真:中右)。”白皮”は、天日に干して乾燥させます(写真:下左)。今回はここまでですが、この後、”白皮”を釜で再び煮込み、板の上で叩いて繊維を柔らかくし、最後に”トロロアオイ”の根の”粘り”を混ぜて”和紙を漉く原料”が出来上がります。実演を見ていたお子さんが、”楮”の皮むきを手伝ってくれました(写真:上右)。店先にある”黄色い棒”は、樹皮を剥がした”楮”です(写真:下右)。”楮”は中央が中空で軽く、皮を剥いた”木肌”は少し黄色を帯びてきれいですので、何かに活用していただければと来館者の方々に”お土産”にしていただきました。太い棒を肩たたきにしている方がいるかと思うと、工作に使うというので同じような太さのものを集めている方がいたりと、なかなか好評です。
 2月2日からは、「風土記の丘資料館」でトピックス展「むらの昆虫」展が始まります。「房総のむら」の”こんな虫たち”が見られますよ。でも、雪が降るような真冬の寒い季節ですから、写真のような”虫たち”は現在は見ることができません。実はこの虫たち、このブログにも何度か登場していただいているのですが、「商家の町並み」の「鍛冶屋」の指導者で、”総火造り”で”鋏”をつくる「千葉県指定伝統的工芸品」製作者の「北島和男」さんの手作りの”虫さん”なのです。いまにも動き出しそうです。この”虫さん”も今回展示します。
 今回のトピックス展「むらの昆虫」は、「千葉県昆虫談話会」の皆さんが4年間にわたって「房総のむら」の”虫たち”を調査してきた成果の報告展示でもあります。「風土記の丘資料館」では、2月2日のトピック展の開始に向かって準備が進んでいます(写真:上)。展示品の中には、「房総のむら」で季節ごとに見られる”虫たち”のほか、「房総のむら」で発見された”千葉県初”の”虫たち”など”貴重な昆虫”も展示されます(写真:下右)。「房総のむら」の”虫たち”の多くは、この時期は”冬眠”しており本物を見ることができる虫は少ないと思います。しかし、二十四節気も2月4日は「立春」、3月6日には「啓蟄」になります。もうじきやってくる”虫たち”の活動が活発になる春を前に、”標本”ですが「房総のむら」に生息している”虫たち”をご確認ください。トピック展「むらの昆虫」は、2月2日~3月17日まで「房総風土記の丘資料館」で開催いたします。

2019年1月27日日曜日

紙切り入門


1月27日(日)に大道芸・伝統芸入門として「紙切り入門」を実施しました。

本日は、講師に田村 眞理子氏をお招きし、紙切りの実演をしていただきました。
体験者のみなさんには、初級~上級ウルトラ級まで、さまざまな絵柄に挑戦していただきました!


 真剣なまなざしで、紙を切っている男の子。


 

 季節にあわせて「節分の鬼とおたふく」の絵柄も用意しました。ぐるぐるほっぺのおたふくが完成!




 
 千葉市からいらっしゃったお客さまは、当館のマスコットキャラクター「ぼうじろー」をこんなにかわいく仕上げてくださいました!

 

小さなお子さんから外国人の方まで大好評の紙切り入門でした。(み)

2019年1月26日土曜日

初雪観測第2弾!

本日、初雪観測を紹介しましたが、
午後からチラチラと雪が降り出し、先ほどから本格的に雪が降り始めました。朝より激しく降りだし、町並みを覆っています。その様子をちょつとだけ紹介します。粒が大きな雪のようで、栄町でも、むら周辺だけ降っているようです。
雪が降ると町並みは綺麗で写真映えしますが、慣れない雪道の運転や、滑りやすいところを歩く際は十分お気をつけて、ご来館ください(I)



寒暖上手 十四


朝8時を過ぎました

西の空は明るくなってきました

つい先ほどまで、細かい雪がはらはらと

商家の町並みも、部分的に白くなりました

開館時間まで白く残っているのか、微妙ですが

今年の初雪を皆様にお届けします(や)

2019年1月25日金曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発して総屋に移動し、明後日の自然観察会の予定ルート(総屋前、武家屋敷、上総の農家、むらの架け橋周辺)を巡り、帰りに武家屋敷前から資料館連絡通路を観察しました。


●明後日の自然観察会のテーマ「ツバキとサザンカ」を中心に観察しました。
 ○小枝・葉・萼→ツバキは無毛、サザンカは細毛 
 ○葉脈→(光にかざすと)ツバキは透明、サザンカは不透明 
 ○花弁→ツバキは基部合着、サザンカは完全離弁(ツバキは花びらが全部くっ付いて落ちるが、サザンカは1枚ずつバラバラに落ちる)
 その他にも違いがあります。また同じツバキ科であるチャノキやモッコクも観察しました。なお、首都圏などで見られるサザンカと称しているものはほとんど「カンツバキ」と思われます。

●上総の農家のソシンロウバイが最盛期、資料館脇のロウバイはこれからが見頃です。

●春の開花に向けて栄養を蓄えながら冬越ししているホタルブクロやムラサキケマンの葉が見られます。

●総屋前のマンサクにツボミが出来ています。3月には開花するでしょう。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。1月18日(金)の観察に基づいています。  (風)

寒暖上手 十三


寒い日の家の中

暖房で温めて快適に過ごしたいものです

今では、電気、ガス、灯油などをエネルギー源としていますが

古くは薪、炭がもっぱら使われていました



うむ、なにやらねぐらを壊す音

だんだん冷たい風が吹き込んでくるぞ

あれ、あたりが明るくなってしまった

だれだ!


農家の担当職員が、炭焼きの準備のために

農家の裏に積んでおいた薪を運び出しています

薪の中は、この子にとっては絶好の冬眠場所だったのでしょう

ごめんなさい。もう少し寝ててくださいね(や)

2019年1月24日木曜日

大寒(二十四節気)水沢腹堅(七十二候)1月25日~29日 ”太子講” ”茶室”で”初釜”体験 ”武家屋敷”でも甲冑・打掛試着体験 ”もっこ”編み 甘い香りの”ソシンロウバイ”ほぼ満開

 寒中だというのに暖かい日が続きます。七十二候は「水沢腹堅(さわみずこおりつめる)」ですが、「下総の農家」の下の調整池の氷もかなり解け始めてきています。写真はかなり前に撮影しました。
「商家の町並み」「畳の店」(写真:左)「木工所」(写真:右)の「太子講」の展示です。「太子講」は、旧暦の1月21日か22日に「聖徳太子」を”職能神”として信仰する”大工”や”畳屋”などの同業の職人達が集まって”太子像”を祀り、飲食や会合を行います。この日行われる”講”では、飲食をするほか賃金の協定をしたり、様々な申し合わせをしたり、職人仲間の運営にとっては大切な日だそうです。今年も全国各地で行われたようですが、実施時期は地域によっても異なるようです。「房総のむら」の地元栄町では、「栄町建設共同組合」さんが年に2回実施しているようです。
 庭先の”八重の紅梅”もほころび始め、春を感じさせるやわらかい陽光が入る”寒中”の「茶室」です。床には「春入千林処々鶯(はるせんりんにいる しょしょにうぐいす)」の軸がかけられ、新春のめでたい感覚を表徴する花として”結び柳”が”椿”を添えて”青竹の花入れ”にいけられています。格調高い本格的な雰囲気の中で、清らかな新春の”初釜”の体験ができます。
 その「茶室」で、姉妹でそろって「茶の湯」の体験です。小さいながらも、”正座”をして”礼”をしてお菓子をいただきました(写真:上左)。小さい妹さんには、生菓子は小分けにしにくかったようです。また、”お茶”もちょっと熱かったか、”フーフー”して飲んでいました(写真:左中)。お姉さんは、作法とおりに”お茶”をいただいた後、”茶碗の拝見”もしていました(写真:左下)。お姉さんは、”時代衣裳”にも興味をお持ちのようで、隣の「武家屋敷」で「甲冑試着」(写真:下中)と「打掛試着」(写真:下右)も体験していました。これまでも、「房総のむら」の「まつり」の時に行われる”時代衣裳”も体験されているそうで、着慣れているようです。妹さんは、身長がまだ足りないので、もうちょっと大きくなったら体験してみてください。
 「武家屋敷」の「甲冑試着」に、元気な男の子が参上です。お父さんと一緒に”ハイポーズ”。でも、本当はお父さんと”チャンバラ”をしたいようです。”兜”は結構重いのですが、頑張っていました。こちらのお父さんも”時代衣裳”に関心があるようですので、次回は「まつり」の”時代衣裳”も体験してみてください。
 「商家の町並み」「瀬戸物の店」では、「製陶」(手びねり)の体験です。お母さんたちが、お子さんと体験していました。”手びねり”ですので自由なものが作れますが、お二方とも”粘土紐”を作り、その紐を重ね上げて”カップ”を作ったようです(写真:下右)。この”カップ”はどなたが使うのでしょうか。焼き上がりが楽しみですね。
 「商家の町並み」「本・瓦版の店」で「房総のむら」では、お馴染みの”浮世絵摺り師”の「松崎啓三郎」さんの指導で「木版刷り」の体験です。”コース”での体験ですので、初歩的なことはマスターしている方々の体験です。はじめに体験者の方が自分で摺ります。その出来ばえを「松崎」さんが見て指導してくれます(写真:上左)。「ここの部分の色ののりが悪いね」(写真:上右)。「いいかい。こうやって色はのせるんだよ」(写真:中左)。「さぁー、”見当”に注意して摺ってごらんなさい」(写真:中右)。「摺るのは、ここ(手のひらの親指の付け根の膨らみ)、ここで摺るんですよ」(写真:下左)。体験者の方は、「難しいです」と。でも、色もうまく重なり、綺麗に刷り上がっていますよ(写真:下右)。しかし、”職人の域”にはとても届かないということですね。”伝統の職人技”は、すごいです。
 「商家の町並み」「細工の店」では、こちらも「ざる・かご」や「竹細工」の指導でお馴染みの「間野政勝」さんの実演です。この日は、”まゆかご”作りを見せていただきました。”竹ひご”の幅は、なんと2mmほどです。細い”竹ひご”を編んで”かご”を作ります。名前が”まゆかご”というとても繊細な”かご”ができました。名前からして、重いものを入れるというよりは”繭玉”のような軽いものを入れたのでしょうね。時間が経つと竹ひごも淡い薄黄色になっていきますが、出来上がったばかりの”かご”は緑色も鮮やかで”六目”の編目もとてもきれいです。
 「下総の農家」では「もっこ編み」の実演です。皆さんは「もっこ」とは何だかわかりますか?物を運ぶための運搬用具です。しかし、「もっこ」を知っている人でも、テレビや映画の時代劇などに出てくる「もっこ」は一般的に”藁蓆(わらむしろ)”などの四隅に吊り綱を2本付け”天秤棒”で担ぐ形状のものを思い出す人が多いと思うのですが、「下総の農家」で作るのは、”担架(たんか)”のような形のものです(写真:上左)。”もっこ編み台”を使って”縄”をネット状に編み上げ(写真:下)、最後に持ち手となる”竹棒”を両端に差し込みます。そんな実演を”ワラ”を使った物つくりに興味をお持ちの方が、熱心に見学されていました。
 「上総の農家」では、林に降り積もった”落ち葉”を集めて「堆肥作り」の体験です。「果樹園」近くの”ナラ(楢)”や”クヌギ(椚)”の雑木林の中の平らなところに堆肥を作る場所を決め、まわりの”落ち葉”を集めます(写真:上左)。”落ち葉”を集めては、水をかけながら足で踏み固めていきます(写真:上右)。少し離れたところの落ち葉は、シートにのせて運びました(写真:中)。”落ち葉”をのせては、時々”糠(ぬか)”を混ぜ、水をかけながらまた足で踏み固めていきます(写真:下左)。何度か繰り返して”堆肥の仕込み”が終わりました。次回は、”切り返し”を行い、完成した”堆肥”を1人10kgほど持ち帰ります。体験者の方は、家庭菜園の畑や庭で使っているとのことでした。
 「上総の農家」の”ソシンロウバイ(素心蝋梅)”が、ほぼ満開です。かなり離れていても”甘い香り”が漂っていて、視覚だけではなくその香りにも”春のおとづれ”を感じることができます。

2019年1月20日日曜日

房総のむらが取材されました!

 
 本日、千葉ニュータウンケーブルテレビの取材がありました。
 県内各地のおすすめスポットやグルメ等を紹介する「房総ご当地キャラバン-観光&グルメ!-」という番組で、栄町を取り上げるということで、房総のむらが紹介されました。
 リポーターのさとう珠緒さんたちが、抹茶作り、書道、茶道、煎餅焼きの体験や風土記の丘資料館を見学して、房総のむらの魅力を紹介してもらいました。

寒暖上手 十二


茅の一本一本は細い草ですが

たくさん集めると、屋根を葺くこともできます

日本で何千年も使われた竪穴住居も、茅を使ったものだったのでしょう

写真は、古墳時代後期の竪穴住居を再現したものです

屋根の隙間からわずかに煙が出ています

中は暗いのですが、ちょっと暖かい  そんな住まいです

さすがに、この中ではできないので、外で火をおこし

「縄文料理」の体験です

これも再現した縄文時代後期の土器を火にくべ、これから食材を入れていきます

こんな土器でも、立派に調理をすることができるのです

土器の発明は、単に「焼く」「炒める」という調理方法に「煮る」「茹でる」が加わり

人間の食生活が大きく様変わりしました(や)


2019年1月19日土曜日

大寒(二十四節気)款冬華(七十二候)1月20~24日 ”箭弓の儀”企画展「正月を迎える」まもなく終了 普段の食事”メシ・オツケ・コウコ” むらの”豆腐作り” ”あめ細工” ”河津桜”咲く

 二十四節気は、「立春」の前の「大寒」です。一年中で一番寒い時期ですかね。そして、七十二候は「款冬華(ふきのはなさく)」です。昨年はこの時期に”フキの葉”の近くで”フキノトウ(蕗の薹)”が見られたのですが、今年は落ち葉がたくさん積もっているためか見られません(写真:上)。そこで、落ち葉を払ってみると、、、ありました。”フキの葉”の間から小さな”フキノトウ”が顔を出していました(写真:下)。この冬は、これまでのところ、”雪”や”つらら”などを見ることはできませんが、このまま”春”を迎えるのでしょうか。
 皆さんご覧になりましたか?企画展「正月を迎える」に展示されている柏市泉地区の「鳥ビシャ」の「鬼」の字が書かれた紙に”矢”が刺さっています。展示が始まった時には、”矢”は刺さっていなかったはずなのですが?新しい年を迎えましたので、”箭弓(せんきゅう)の儀”で「鬼」の字の書かれた”的”に”矢”が射られた状態を再現しました。「オビシャ」とは、利根川沿いの地域で、年の始めに”作物の占い”や”悪霊退治祈願”をする”的射神事”です。企画展「正月を迎える」は1月20日までです。展示期間が残り少なくなってきました。まだご覧になっていない方はお急ぎください。
 「安房の農家」の「普段の食事」の再現展示です。私たち日本人の食生活は、第二次世界大戦中・戦後の”食糧難”時代に行われた”配給”により全国的に”米のメシ”が行きわたり、”学校給食”により洋風の”パン”などが広く食べられるようになるなど、特にそれまで変化が緩やかだった農村部での食生活が一変したといわれています。「安房の農家」の「普段の食事」は、それ以前の農村部における一般的な食事の例です。いわゆる「メシ(飯)・オツケ(御付け)=(御御御付け)(味噌汁)・コウコ(香香)=(漬物)」などを基本とした「普段の食事」です。(大麦を混ぜた”麦御飯”、葱の”味噌汁”、”大根の煮物”と”沢庵漬け”)
 同じ「安房の農家」の「豆腐作り」の実演です。”豆腐”は、遅くとも12世紀の初めには中国から伝わっていたようですが、江戸時代には、”江戸の錦豆腐”や”大坂の高津豆腐”がよく知られ、また、”豆腐のレシピ本”「豆腐百珍」なども刊行されており、”豆腐”が一般化してきています。さて、「房総のむら」の「豆腐作り」です。材料は、「房総のむら」で収穫した”大豆”です。”大豆”は、前日から水に浸しておきます(写真:上左)。この”大豆”をミキサーにかけます(写真:上右)。完全に”汁状”になるように二回繰り返します。写真ではわかり難いかもしれませんが、ミキサーに二回かけるとかなり”クリミー”になります(写真:中右、右=一回、右=二回)。出来上がった”大豆汁(生呉)”を”七輪”にかけた”沸騰した鍋”に浮かべるように入れます(写真:下左)。そして、”大豆汁”が下から噴いてきて、鍋全体に盛り上がってきたら”菜箸”で鍋の周りをそっと回してから”七輪”から鍋を降ろします(写真:下右)。”大豆汁”を煮るのに”七輪”を使うのは、”カマド”の強い火ではなく”七輪”の火を使うことで、”大豆汁”が鍋に焦げ付くのをふせぐためのようです。
 煮えた”大豆汁”は、鍋にのせた半截した太い竹を繋いだ大きな”簀の子”の上に準備しておいた”布袋”に入れます(写真:上左)。”布袋”に入れただけでも水分は染み出しますが、口を閉めて”手のひら”で押したり、”麺打ち棒”を利用してしっかり搾ります(写真:上右)。この時に”鍋”の上の”竹の凹凸”が役立つわけです。熱くないと搾り難くくなるので、手袋をして頑張ります。ここで絞られてできたのが、”豆腐の素”となる”豆乳”です(写真:中左)。そして、”布袋”に残った”大豆かす”が”おから”です。次の工程は、この”豆乳の入った鍋”を鍋ごと”カマド”にかかっている沸騰した鍋に入れて”湯煎”します(写真:中右)。”豆乳”の温度が80度になったら、”しゃもじ”を伝わるようにして”にがり”を入れます(写真:下左)。時々”しゃもじ”で切るようして”豆乳”をかき混ぜながら、さらに”にがり”を入れていきます。適量の”にがり”を入れ、”豆乳”が”うわずみ液”と”固形物”に分離すればオーケーです(写真:下右)。
 最後の工程は、濡れた”木綿布”を敷いた穴の開いた”豆腐箱(木型)”に”豆乳がおぼろ状に固まったもの”を入れ(写真:上左)上にも布を袋状に被せ、その上に木製の蓋をします(写真:上右)。蓋の上には水を入れた湯飲み茶碗を置いて”重石”とします。お好みにもよるかもしれませんが20分ほどで立方体に固まりますので、そうしたら木型を外し水の中で布を外せば”豆腐”の完成です(写真:中)。この日の実演では、ここまでおよそ1時間くらいでした。完成した”豆腐”を試食すると、市販の”豆腐”よりもしっかり”大豆”の味がします。”こく”と”豆の甘み”も感じる”豆腐”ができました。そして、”豆乳”の搾りかす”おから”(写真:下右)ですが、加工せずそのままで「上総の農家」で作った”醤油”をたらしていただきましたが、こちらも”大豆”そのものを食べているような味わいを感じることができました。やはり、昔ながらの手作りはおいしいです。しかし、二丁ほどの”豆腐”づくりでしたが、準備と手間暇はかなりの仕事量だとも感じました。
 「房総のむら」ではお馴染み「込田匡美」さんの「あめ細工」作りの実演です。久しぶりでしたので、「あめ細工」づくりの様子を実況します。まず、暖められた箱の中から材料となる”あめ”を必要量だけちぎり取ります(写真:上右)。”あめ”が硬くてもやわらかくても加工し難いようですので、この箱の中の”あめ”の温度が重要なようです。”あめ”全体に色を付ける時には、この段階で”色の素”を入れて捏ねます。その”あめ”を棒に付けて形を整え(写真:中左)、そこから細工が始まります(写真:中右)。”ハサミ”で切ったり模様を付けていきます(写真:下左)。時には指で引っ張って伸ばします(写真:下右)。あっという間に出来上がりました。すごい!早い!
 最後に、色を付けて完成です(写真:上)。「こみちゃん(込田さんの愛称)」の得意は、”干支”などの動物です。リクエストにも応えていただけます。目の前で、お好みの動物などを作ってもらうことができます。男の子には”龍(ドラゴン)”が人気があるとか(写真:中左)。見ていたご夫婦から、今年の干支”イノシシ”の注文が入りました(写真:中左から2枚目)。犬を作ってもらった娘さんもうれしそうです(写真:下左)。しかし、いつまで食べないでいられるでしょうか。男の子たちは、「あめ風船」作りです(写真:下右2枚)。ストローの先に付けられたやわらかい”あめ”の塊に空気を入れて膨らまします。”あめ”が薄く伸びて、”ゴム風船”のように膨れて大きくなります。これ以上膨らますと、”パーン”と破裂してしまいますよ。でも大丈夫、”ゴム風船”は萎んでしまいますが、”あめ風船”は”あめ”が固まり穴が開くだけで風船の形を保っています。まん丸の風船の状態では食べにくいので、破裂した方が食べやすいかもしれませんね。この日は、”自分で焼いた煎餅”と”あめ風船”を両方一緒に食べる子どもさんが多くいました。”しょっぱい”のと”甘い”ので、味はいかがですか。どちらもおいしいそうです。
 「風土記の丘エリア」の松の木に”ヤマガラ(山雀)”がいました。前回(「小寒 雉始雊」(1月15日~))”ヤマガラ”は葉の陰で見にくかったので、再度掲載しました。”ヤマガラ”は松の枝から枝に飛び移っていますが、よく見ると、時折”松ぼっくり”を突いています(写真:下左)。どうやら”松ぼっくり”の中にある”種”を採っているようです。時には”松ぼっくり”にしがみついて”逆さづり”になりながら”松ぼっくり”を突っついていました(写真:下右)。
 「房総のむら」に隣接する栄町の「ドラムの里」の”河津桜”も咲き出しました。これから、日に日に花が増えていくと思います。