2019年3月20日水曜日

春分(二十四節気)雀始巣(七十二候)3月21日~25日 雀が”チュンチュン” 春の彼岸は”牡丹餅” ”うぐいす笛””紙漉き” 考古学と昔の暮らしの勉強 🌸サクラ・ハクモクレン咲く 春爛漫近し 

 21日は、「春分」です。「冬至」から少しずつ伸びてきた昼の時間が、夜の時間とほぼ同じになりました。(実際は、昼の方が約14分ほど長いそうですが)これからが、”春本番”といったところでしょうか。七十二候は「雀始巣(すずめはじめてすくう)」になります。「商家の町並み」に”雀(スズメ)”がいました。時折、降りて”天水桶”で水浴びもしていました。”瓦屋根”のこのあたりから”チュンチュン”としきりに鳴き声がしますので、この近くに”巣”を作ったのかもしれません。
 ”スズメ”繋がりで、”スズメノヤリ(雀の槍)”です。”スズメノヤリ”が”穂”を伸ばし、その先端にたくさんの”赤褐色の粒状の花”が頭状になっています。見かけでは”花”ははっきりしてなく、”花”といわれてもピンときません。その上方から3本に割れた淡黄色の毛のような”雌しべ”の先端の”柱頭”が出ています。植物の名前には、しばしば動物や鳥の名前が入っていますが、”スズメノヤリ(雀の槍)”の語源は、”穂”が大名行列の先頭の”毛槍”に似ていて、そして小さいので”雀”が付けられたようです。
 ”春分の日”、”春のお彼岸”といえば、”牡丹餅(ぼたもち)”ですね。「房総のむら」では、「商家の町並み」「菓子の店」で毎年この時期にお菓子作りの指導者匝瑳市「鶴泉堂」の「大川功修」さんに「牡丹餅」作りの実演と、体験の指導をしていただいています。”牡丹餅”は3種類で、普通の”餡”で包んだもの(写真:中央)と、中央に”つぶ餡”が入り”きな粉”で包んだ餅(”空也餅”と呼ぶ地域もあるそうです)(写真:右)、それに今年は”白あん”が入った”黒ゴマ”をまぶした餅(写真:左)の3種類の”牡丹餅”を披露していただきました。春の彼岸で”牡丹餅”と書きましたが、”お萩(おはぎ)”との違いはわかりますか。名前については”こし餡”と”つぶ餡”とか諸説があるようですが、漢字を見ていただければわかるようにその季節に咲く花になぞらえて、一般的には”春のお彼岸が牡丹餅”で、”秋のお彼岸がお萩”と呼ばれることが多いようです。
 「大川」さんからは、昨年は”ゴマで包まれた牡丹餅”の”餡”が珍しい”白い小豆”であること、”お菓子屋”さんでは「小豆」は”アズキ”とは読まず”ショウズ”と読むことなどを教えていただきましたが、今年は「鶴泉堂」さんの”もち米”の”半殺し”の仕方を教えていただきました。蒸した”もち米”に少量の塩をまぶし(写真:上左)、そこに大量のお湯を加え(写真:上右)て捏ねて少し置いたものを(写真:下左)、再度蒸していました(写真:下右)。やはり、もち米は”半殺し”にしないとうまく団子にはしにくいそうですが、蒸した”もち米”は潰していわゆる”半殺し”にすると思っていたので、大量のお湯を使う”老舗の店”の技に驚きです。
 既に紹介されていますが、「上総の農家」の「うぐいす笛」作りの体験です。年に一度、”うぐいす”が鳴くこの時期だけの体験です。”篠”を切ったパーツを接着剤で張り付けて作ります。初めに”胴体(太い篠)”に、空気を送る”尻尾(細い篠)”の部分を付けます。斜めに固定しますが、何度か吹きながら一番音がよく出る角度に調整して固定します。できたら、飾りに”うぐいす”の”頭”になる部分を付けます。このお子さんは、”頭”のパーツを横方向に付けました。最後に、より”うぐいす”らしく目や羽根を描けば完成ですが、残念ながらバスツアーで来館していて集合時間になってしまいましたので、仕上げはご自宅でお願いします。素朴な”おもちゃ”ですが、”穴(唄口)”に向かって唇の角度をうまく合わせないと音が出ない”篠笛”と違って、空気を送る”篠”が音が出るように付けられていますから、間違いなく音がでます。そして「ホーホケキョ」ですが、空気を送りながら指で塞いだ”胴体の太い篠”の前後を開けたり閉めたりして、音を作ります。練習してみてください。
 「商家の町並み」「紙の店」では「かんたん和紙作り」の体験です。”紙漉き”については、これまでも何度か紹介してきましたが、今回紙を漉くのは簾ではなく体験者の作っていただきました。周りに釘が打たれた木枠に自由に色とりどりの糸を張っていただいたもので紙を原料を漉いていただきます。糸の張り方や色糸の配色でオリジナルの和紙ができます。糸が張れたら、和紙の原料の入ったフネの中に入れ和紙の原料を漉くます(写真:中左)。糸の上に和紙の原料がのったら、釘に引っかけられた糸を切り離します(写真:中右)。この後、乾燥させれば完成です。大きなサイズのものを作れば、ランプシェードなんかにも利用できそうです。皆さん上手にできました。
 香取市立神南小学校と福田小学校の体験学習のようすです。初めの授業は、「風土記の丘」で考古学の勉強です。神南小学校の校長先生も発掘調査に参加した「浅間山古墳」の”石室”などを見学した後、「竪穴住居」の見学です(写真:上)。古墳時代の「竪穴住居」では燻蒸中だったので住居内に入ると煙たかったようです(写真:上左)。(申し訳ありませんでした)当ブログでも紹介していますが、改修工事中の弥生時代の「竪穴住居」も見ていただきました(写真:上右)。茅葺屋根の作り方はわかりましたか。次の授業は、「総屋」2階に移動して”灯りの歴史”の勉強です。この時間では時代とともに変わってきた”火起こし”の方法などを勉強した後、「房総のむら」の定番体験の”千代紙ろうそく”作りを体験していただきました。午後からは、「上総の農家」で”昔の暮らし”の見学です。担当職員の説明で電気やガスがなかった時代の生活について勉強していただきました。いかがだったですか、勉強になりましたか。今回は時間が短かったようですから、次はご家族で体験に来てください。
 最近の暖かい気候に誘われたか、ついに”サクラ”が咲きました。今年も最初の”サクラ”の花は、「風土記の丘資料館」横の”コヒガン(小彼岸)”です(写真:上左)。昨年とほぼ同じ時期の開花です。しかし、昨年はすぐ隣の”ベニシダレ(紅枝垂れ)”も同日に咲いたのですが、こちらはまだのようです。そして、「農村歌舞伎舞台」近くの”ソメイヨシノ(染井吉野)”も、蕾がかなり膨らんできました(写真:上右)。「下総の農家」の”コウメザクラ(小梅桜)”も小さな蕾が真っ赤になってきました。すぐ隣で”梅”という名前が付いていてまだ開花していない”ユスラウメ(梅桃)”は、蕾の先端に少し花びらが見えてきました。「房総のむら」もそろそろ桜の季節がやってきますよ。今年の”さくらまつり”は4月6日・7日に開催しますが、”サクラ”の開花が早くなりそうなので30日・31日にもイベントを行いますので、是非ご来館ください。
 「春分の日」を迎え、”サクラ”の花が咲き始めましたが、他の草花も花が咲き出しています。畑では、「上総の農家」の”ナノハナ(菜の花)”も随分花が増えてきました(写真:上左)。「安房の農家」前の畑の”大麦(オオムギ)”も”穂”を出しました(写真:上右)。館内各所の”レンギョウ(連翹)”も黄色の花が咲き始めました(写真:下)。この上の”サクラ”が咲くと、ピンク色と黄色のコラボがきれいです。
 ”コブシ(辛夷)”に続いて、”ハクモクレン(白木蓮)”も花が開き始めました(写真:左)。完全に開ききった花よりもこれくらいの状態がいいですね。中にはまだ帽子を脱ぎきれない花もありますが、少しづつ帽子を脱いでいるようです(写真:上右)。”コブシ”の花のようにあちこち向いている(写真:下右)のではなく、みな天空に向かって咲いていて、そして花は”コブシ”よりも大きいので、すっきりした感じで見栄えがするような気がします。
 こちらの紫の花は、「上総の農家」近くに咲いた”ムラサキハナナ(紫花菜)”です(写真:上)。別名”オオアラセイトウ(大紫羅欄花)”、”ショカツサイ(諸葛菜)”とも呼ばれます。花はハナダイコンにも似ているようです。「農村歌舞伎舞台」の近くの”スイセン(水仙)”の中に、”スノーフレーク”が咲いています(写真:下)。”スノー”は雪、”フレーク”は塊で、小さな雪の塊といったところでしょうか。和名は”オオマツユキソウ(大待雪草)”、別名は”スズランスイセン(鈴蘭水仙)”だそうです。”スイセン”に似たすらりとした葉に”スズラン”のようなベル形の花が下向きに咲いています。中には横を向いて花びらを大きく広げているものもありました。白い花弁の先端の緑色の斑点が愛らしいです。
 ”フキノトウ(蕗の薹)”の背が伸びてきました(写真:上)。しかし、この”フキノトウ”、一見すると皆同じに見えるかもしれませんが、実は”オス”と”メス”があることを知っていますか。でも、どれが”オス”で、どれが”メス”かなかなかわかりません。”オス・メス”の判断で一番確実なのは、そのまま大きくなるのを待って”薹”が立ち、さらに小さなタンポポのような綿毛をたくさんつけるのが”メス”だということです。今の時点での”オス・メス”は、花の先端を”よーくよーく”見ると白い細い糸状のものがでているのが”雌しべの固まりのメス”(写真:下左)で、少し黄色みをおび小さな袋状のものが開いて花びらを開いているのが”オス”(写真:下右)です。ちなみに、”薹が立つ”という言葉は、花茎が成長して葉や茎が固くなり食べ頃を過ぎることを意味しますね。

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