「啓蟄」の最後の七十二候は、「菜虫化蝶(なむしちょうとなる)」です。今年になって既に数匹の”蝶”を確認していたので、この時期になったので、「菜虫化蝶」で今年孵化した”蝶”が見られればと思ったのですが、成虫で越冬した”キタテハ(黄立羽)”のようです。厳しい冬を乗り越えた証拠に”翅”の一部がちぎれていました。”翅”の表の先端近くの輪郭に青い線が見え、裏は外側が明るく内側が濃い茶色です。ちなみに、昨年の「啓蟄 菜虫化蝶(3月16日~)」で報告したのは”ルリタテハ(瑠璃立羽)”でした。
こちらは、1か月近く前になります2月17日に「風土記の丘」「竪穴住居」の近くで見かけた”キタキチョウ(北黄蝶)”です。今年初めての”蝶”の写真でしたが、「菜虫化蝶」に報告しようと保存していた写真です。弱々しい飛び方で、枝の陰に入ってしまいましたが、留まってくれたので写真が撮れました。現在、「風土記の丘資料館」で開催中のトピックス展「むらの昆虫」は、春休みの子どもさんたちにも見ていただけるよう4月14日まで会期を延長することにしましたが、”キタキチョウ”もその中に展示されています。花にも虫たちも集まってきていますが、これから”蝶”たちもたくさん飛び回ると思います。「房総のむら」で観察できる”昆虫”を見に来ませんか。
「商家の町並み」「鍛冶屋」では「小刀」作りの体験が行われていましたが、今日は仕上げの”研ぎ”を紹介します。体験では、”総火造り(”鋏”の握りの輪の部分も鍛造で作ってしまいます)”で”鋏”を作る「北島和男」さんの指導で”小刀”を作りますが、最後に出来上がった”小刀”を”砥石”で研いで切れるようにします。まずは、「北島」さんの”研ぎ”のお手本を見てから実践です(写真:下左)。「北島」さんの”砥石”にあてる角度などの細かい指導を受けながら、”砥石”で研いでいきます(写真:下中)。少し研ぐと「先生、どうでしょう」「まだまだ。こんなことでは今日一日かかるなぁ。帰るのは明日になるなぁ。どれ、かしてごらん。」(写真:下右)(写真:上:左)てな感じで、体験時間内に切れ味鋭い”小刀”が完成しました。”小刀”作りの体験を一度経験したからといって、”鍛冶の技”が習得できるわけではありません。さらなる”研鑽”が必要です。次回はさらにレベルを上げて”草取り鎌”作りに挑戦してみませんか。
「商家の町並み」「紙の店」では、「紙漉き体験」です。この日は、”はがき”の大きさの紙を漉いていただきました。まずは、スタッフの説明を聞いてから、”紙の原料”が溶けている大きな水槽(漉き舟)に”簀子”が張られた枠(漉簀)を入れて紙の原料をすくい取ります。”はがき”にするためには、普通の和紙の厚さでは薄いので、同じ工程を5回繰り返して和紙の厚さを増します。この日も暖かくなってきたとはいっても、やはり水は冷たく「冷たい」と顔をしかめるお子さんもいらっしゃいました。”簀子”の上に紙の原料がのったら、次は乾燥ですが、その前に”はがき”にアクセントとして千代紙の花びらを散らし、その上にさらに紙の原料一回分を重ねます。乾燥は、本来は木の板などに張り付けて自然に乾燥するのを待つのですが、体験した日にお持ち帰りいただくために、水切りとその後の乾燥作業は現代の力を使います。冷たい水の中での作業、お疲れさまでした。でも、いい思い出が出来上がったと思います。
前回の「啓蟄 桃始笑(3月11日~)」には間に合いませんでしたが、「おまつり広場」の”ハナモモ(花桃)”がやっと”笑い”始めました。この花は、白い花びら(写真:左)に、薄緑色の萼(写真:右)が爽やかな感じがします。
いわゆる”源平咲き”の梅「武家屋敷」近くの”梅”、”思いのまま”も花がずいぶん増えてきました。”源平咲きとは、”昔から日本では大きく二つに分かれて分かれて戦う時、”紅白戦”などと呼ばれてきたようですが、もともと”源氏の旗が白”、”平氏の旗が赤”だったことから”そう呼ばれるようになったようです。全体としては白い花が多いのですが、一本の梅の白い花にピンク色の花が混じります。枝ごとピンク色の花がついたり(写真:上)、一本の枝の中で白とピンクの花が混じったりしています(写真:下)。
同じく「武家屋敷」近くの梅の花です。早くに咲き出した白梅は散り始めていますが、”萼”が赤いために花がピンク色に見える梅の花は今が盛りです(写真:上)。もう一本の、白い花に薄いピンク色の花びらが混じる梅の花もほぼ満開になっています(写真:下)。
以前、毛に被われた蕾を紹介した”コブシ(辛夷)”も花を開きました(写真:上)。まだまだ咲き出したところですので、これから館内各所で”コブシ”の白い花が咲き出します。また、「風土記の丘 資料館」などの”トサミズキ(土佐水木)”も少し緑がかった花が咲き出しています(写真:中)。前々回開花を紹介した「旧御子神家住宅」の”サンシュユ(山茱萸)”(写真:上左)は、ほぼ満開に近くなってきました(写真:下)。
園路を歩いていると、水路の横に石垣が積まれたところなどで、ちょうど目の高さで”すっく”と伸びた細い筆のような植物を目にしました。”ヒメカンスゲ(姫寒菅)”です。数日前には小さな槍のように茶色の穂の状態でしたが(写真:上)、あっという間に花が咲き出しました。茎の先端に房のように見える薄い黄緑色の短い針状の”雄小穂”が集まり、下方にさらに細い糸状の”雌小穂”がついています(写真:下右)。
「房総のむら」の”コケ(苔)”などについては、ブログの「花だより」でも紹介されていますが、古くなった”手すり”や”境界”、”土階段”などの”木杭”の上の”コケ”も目に付いたので集めました。「房総のむら」では、「茅葺農家」の屋根や古くなった切り株などでも”コケ”が見られますが、木杭の上でも結構”コケ”が見られます。”コケ”が付いた木杭は林の中の半日蔭の場所にあり、陽が当たると輝いているようにも見えました(写真:中)。また、植物のボランティアさんに教えていただいた”モンロー・リップ(マリリンモンローの唇)”の真っ赤な”アカミゴケ(赤実苔)”もありました(写真:下右)。”コケ”とはいっても”地衣類”だそうですが、”茅葺屋根”などでよく見られます。狭い杭の上に”コケ”たちが作った小さな林です。
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