2023年10月29日日曜日

江戸の花卉「菊」

商家の町並み辻広場に、「菊」を展示しました。千葉秋芳会 嶋田 清司先生に育てていただいた、菊人形と江戸菊などです。

今年は、夏の菊の成長時期に雨が少なく、菊の伸びが悪く、また花も遅れているとのことで、これから華やかになってゆくことでしょう。


中央には小型の菊「松の露(まつのつゆ)」と「阪神の誉(はんしんのほまれ)」で着物を彩る菊人形、両脇に江戸菊である「江戸黄八丈(えどきはちじょう)」と「荏原紫玉(えばらしぎょく)」、その内側に厚ものと呼ばれ、花が盛り上がって咲く「国華越山(こっかえつざん)」と「国華金山(こっかきんざん)」、手前には小さな「トリニン」と「フリッキー」が位置しています。

鉢づくりの菊は一本の菊を根元から複数に枝分けし、数本の茎をのばします。複数の茎を同じように伸ばしてゆくのが難しいところです。


花の高さはほぼ同じですが、一本だけわずかに高い位置に咲かせるそうです。


奥の深い菊づくりの世界、間近でご覧になってください。(ひ)

「篠笛」

商家の町並み 細工の店では、赤坂明 先生による「篠笛」の実演が行われました。

篠笛は、メダケという篠竹を使いますが、硬い竹質と太さ、節の長さがあれば、種類は問わないそうです。先生は、メダケでも、成長のよい房総半島南部産のものを使っているということです。


太い篠竹に穴あけて「篠笛」を作るのですが、店先では穴の調整の様子を実演していただきました。傍らではお弟子さんが、午後の体験に向けて切り出しナイフを研いでくださいました(少し触っただけでも切れてしまうくらい、鋭く磨かれています)。

午後は、3時間かけて、目安で開けた穴を切り出しナイフで少しずつ広げて、調整する過程を体験演目として行いました。口をつけて息を吹き込む穴は、特に難しいとのことで、先生とお弟子さんが仕上げを手伝ってくださいます。
出来上がったのは、自分だけの「篠笛」。音を出すのもコツがあって難しいのですが、横笛の経験のある方もいらっしゃって、作業後は笛の音がいたるところで響きました。(ひ)


むらの花だより

 自然観察ガイドボランティアさんからの情報です。

●観察日 10月27日(金)

●観察者からのコメント

・あちこちでシロヨメナが見ごろです。

・センブリが竪穴住居前で2輪咲きました。上総の竹林の坂と資料館前の土手のものはつぼみでした。

・旧御子神家住宅の庭でホトトギスが沢山咲いています。


観察された場所と植物(◎見頃の花 〇今年初めて観察した花や実)
〇センブリ(竪穴住居前) ◎シロヨメナ(上総の田の東側水路前) ・シラヤマギク(上総の田の東側水路前) ・フジバカマ(上総の農家の庭) ・ヒヨドリバナ(資料館連絡通路) ◎ユウガギク(竪穴住居前) ・イヌタデ(上総の田の農道) ・ヤマハッカ(上総の田の農道) ◎オシロイバナ(上総の農家の庭) ・トネアザミ(風土記の丘の散策路) ・ノハラアザミ(竪穴住居前) ◎ススキ(上総の田の東側の水路前) ・ワレモコウ(資料館前の土手) ・キツネノマゴ(上総の小池前) ・オケラ(風土記の丘の散策路) ◎ホトトギス(旧御子神家住宅の庭) ・シモバシラ(旧御子神家住宅の庭) ・イヌコウジュ(旧御子神家住宅の庭)


2023年10月21日土曜日

むらの花だより

 自然観察ガイドボランティアさんからの情報です。

●観察日 10月20日(金)

●観察者からのコメント

・ふさや受付横のキンモクセイが盛んに咲いています。

・シラヤマギクやシロヨメナがに続いて見ごろになってきました。

 上総の田の水路近くに咲いていました。

・アキノタムラソウの花は終わりに近く、似ているヤマハッカの花が多くなりました。

・上総の田の前のススキが秋の風情を漂わせています。


観察された場所と植物(◎見頃の花 〇今年初めて観察した花や実)

キンモクセイ(ふさや受付横) ◎シロヨメナ(上総の田の東側水路前) ・シラヤマギク(上総の林) ・アキノタムラソウ(上総の林) ◎ヤマハッカ(上総の田の東側水路前) ・イヌコウジュ(武家屋敷の梅林前) ・アゼムシロ(上総の田の畔) ◎ミゾソバ(上総の田の西側水路) ◎アメリカゼンダングサ(上総の田の西側水路) ・キバナアキギリ(上総の林) ・セイタカアワダチソウ(上総の溜池前) ・ノハラアザミ(上総の林) ◎ススキ(上総の田の東側水路前) ◎カナムグラ(上総の溜池前) 〇◎カナムグラ(上総の溜池前) ◎チャノキ(上総の畑回りの生垣) ◎タデアイ(呉服の店裏の畑) ◎タマズダレ(上総の農家の庭)

2023年10月15日日曜日

つまみ簪

 簪の読みは「かんざし」。なんて読むのか、気にされていたお客様もいらっしゃったようです。つまみ簪の体験と実演が、今日、小間物の店で行われました。講師は江戸つまみ簪職人の穂積 実 先生 です。


まず花びら部分を正方形の布を折りたたんで作り、星形の台座に一つ一つのりでつけて花を作ります。この星形の台座は先生の特許で、丸い台座より、花びらを平らに配置できるのだそうです。



体験者は、花を5個作ります。先生方は簡単に作るのですが、布をきれいに折りたたんだり、台座につけたり、難しそうです。そして、花びらを平らに並べ、丸い花びらを作るところなど、体験者は先生方の修正を受けつつ、見事に花を完成させました。

できた花は、穂積先生の実演もかねて、店先で、下がりなどの装飾を加え、髪飾りに組みあがります。


皆さん、喜んでできた江戸つまみ簪をお持ち帰りになりました。(ひ)




2023年10月14日土曜日

実演・体験「左官の技」

 商家の町並み 木工所前では、左官職人である林勝雄 先生を招いて、「左官の技」が開催されました。林先生は、左官 一級技能士で、重要文化財をはじめ、数々の文化財を手掛けてきました。


木工所の中や店先の通りにを作った壁に、壁土を塗ってゆきます。

土は、壁土という粘りのある土に、ツタと呼ばれるワラを細かくしたものを混ぜ、7年くらい寝かせたものを使います。時折ワラを加えながら、なじませてあります。また、壁割れを防ぐために砂も混ざっています。水分を調節して、よく混ぜ合わせます。


受け台の上で、左官ゴテで土をこねます。コテで持ち上げて、受け台に落とす。これを数回続けて、壁土に粘りとつやを出します。

準備ができたら、下から上へ壁土を塗ってゆきます。コテに土がついたり、落ちてしまったり。悪戦苦闘しながら、それぞれ壁土を塗ってゆきます。



平らに、表面を美しく! 実際に、やってみると、それが長い道のりであることを思い知らされます。(ひ)

むらの花だより

 自然観察ガイドボランティアさんからの情報です。

●観察日 10月13日(金)

●観察者からのコメント

・おまつり広場のジュウガツザクラ(十月桜)が咲き続けています。

・上総の畑回りのお茶の木の生垣の花数が増えてきました。蜂が花にやって来るので注意が必要です。

・あちこちでキバナアキギリが盛んに咲いています。

・上総の林では、シロヨメナやシラヤマギクの野菊が咲いています。

・上総の田んぼの西側水路では、ボントクタデ、イボクサ、ミゾソバなどの野草が咲いています。


観察された場所と植物(◎見頃の花 〇今年初めて観察した花や実)

ジュウガツザクラ(おまつり広場) ・チャノキ(上総の畑) ◎フヨウ(武家屋敷の庭) ◎キバナアキギリ(上総の林) ・シロヨメナ(上総の林) ・シラヤマギク(上総の林) ・アキノノゲシ(上総の田の水路) ・ワレモコウ(上総の農家の庭) ・オシロイバナ(上総の農家の庭) 〇ボントクタデ(上総の田の水路) 〇◎イボクサ(上総の田の水路) 〇◎ミゾソバ(上総の田の水路) ・フジバカマ(上総の農家の庭) ・ヤマハギ(竹林の坂) ・シラハギ(上総の農家横) ・ノハラアザミ(竹林の坂) 〇◎アメリカセンダングサ(上総の田の水路) ・ソバ(上総の畑)

2023年10月11日水曜日

新・むらびとへの道⑤ 歴史の里の音楽会2023

みなさん、こんにちは。骨子です☆

急に涼しくなって、一気に秋が来ましたね。

どこからともなくキンモクセイの香りが漂ってきて、辺りをキョロキョロしてしまいます。



さて、108日(日)、令和5年度「歴史の里の音楽会」が開催されました。

この音楽会は、千葉県と、房総のむらの指定管理者である(公財)千葉県教育振興財団とが共催で行っているもので、

例年、千葉交響楽団のメンバーに室内楽を演奏いただいています。

令和元年、2年、4年と弦楽四重奏が続いたので(令和3年は新型コロナウイルスの感染拡大により中止)、

今年は骨子の強い希望もあって(骨子は元吹奏楽部!)、木管五重奏を披露いただきました。

会場の重要文化財「旧学習院初等科正堂」は100人を超えるお客様でいっぱいとなり、

約1時間半の上演時間はあっという間に過ぎてしまいました。


曲目はクラシックから童謡、ミュージカル・映画音楽までと幅広く、

また、現在開催中のトピックス展「千葉の行商-小さなからだと大きなカゴと-」にちなんだ、

鉄道に関する曲も演奏いただきました。

西下由美さんのフルート、笹平幸那さんのオーボエ、伊藤めぐみさんのクラリネット、中澤美紀さんのファゴット、大槻香奈絵さんのホルンの、

それぞれの音色が響きあい、会場全体が優しい雰囲気に包まれていたように思います。

 

そして、中里かほりさんによる司会も、この音楽会には、なくてはなりません!

声楽家でもある中里さんの声は、聞き取りやすい上に心地よく、曲の解説もわかりやすくて、

この音楽会を、より優雅で素敵なものにしてくださいました。

 

「歴史の里の音楽会」は来年も開催予定です。

芸術の秋を、房総のむらで楽しみませんか?

みなさんのご来場をお待ちしています☆(骨)



2023年10月9日月曜日

薬の実演

 薬の店では、伊藤克洋先生による薬づくりの実演が行われました。薬とはいっても実は、強い成分の材料は用いず、「桂皮(けいひ:ニッケイの皮)」のみを使った、先生曰く「ナンチャッテ桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」です。ご希望があれば、見学者が試食できます。

先生は、実演を行いながら、効能や形状の意味などを見学者に丁寧に説明されます。

作製にはまず、熱を加えながら、桂皮の粉末にはちみつを加え、加熱します。


クリーム状になったら、片栗粉と併せ、硬さを調整しながら棒状にまとめ、適切な大きさに切って丸めます。手で丸めると、つやつやとした茶色の丸薬が出来上がります。

実演のかたわらでは、見学者が「薬研(やげん)」を使って「桂皮」をすりつぶし、「桂枝茯苓丸」の原料を作成していました。

(ひ)

藍のしぼり染

呉服の店・小間物の店付属施設では、エコバックを染める、「藍のしぼり染」が行われました。5時間かけて、白い生地のエコバックを、藍で染めてゆきます。

お客様は、「唐松絞り」に挑戦。とても繊細な模様です。

午前中は、模様を作るために生地を縫っていきます。糸を引いて、生地を絞って、色が抜ける部分を作ります。

準備ができたら、藍がしみとおりやすいよう、お湯につけます。


いよいよ、房総のむらで藍を発酵させている「藍甕(あいがめ)」につけます。きちんと染まるように、布が二重になっているところや、絞りのすその部分を丁寧に伸ばします。布は藍から出すと、その部分だけ酸化して色が変わってしまうので、見えない藍甕の中での手探りの作業です。3分つけたら、空気に触れさせ、酸化させます。この時もまんべんなく空気に触れるように。


藍に3回付けたら最後は、流水で。最初は緑がかっていましたが、水を変えてゆくと次第にきれいな藍色が出てきました。


その後、絞り上げた糸を抜いてゆくのですが、その作業もまた大変。糸も同じように染まっているし、ましてや濡れているので、なかなか抜けません。

糸が取れて、布を開くと、見事な唐松絞り。藍も美しく染まっています。酢酸で色を固定して...

完成です!大小の唐松絞りが、とてもかわいらしく配置されています。
.........

でも、使えるのは色がさらに定着する1年後。

とても大変な、藍のしぼり染。本藍の染め物がとても高価なことが、納得できます。参加された方も、ご苦労のかいがあったのではないでしょうか。(ひ)

2023年10月8日日曜日

むらの花だより

自然観察ガイドボランティアさんからの情報です。

●観察日 10月6日(金)

●観察者からのコメント

・おまつり広場のジュウガツザクラが沢山の花をつけています。

・あちこちでキバナアキギリが咲き続けています。

・上総の農家の庭でシロバナマンジュシャゲがやっと咲きました。

・下総の農家前のキリの木の花が地面に近くの枝で咲いています。花は良い香りがします。


 観察された場所と植物(◎見頃の花 〇今年初めて観察した花や実)
◎ジュウガツザクラ(おまつり広場) ◎キバナアキギリ(あちこち) ・フヨウ(武家屋敷の庭) ・ヤマハギ(バイパス側の坂) 〇◎シロバナマンジュシャゲ(上総の農家の庭) ◎ダンゴギク(下総の農家の庭) ◎オミナエシ(下総の農家の庭) ◎ススキ(石造物展示場) ・シラヤマギク(バイパス側の坂) ◎ワレモコウ(上総の農家の庭) ・ヒヨドリバナ(下総の農家前の大通り) ・キリ(下総の農家前の大通り) ◎ヤブマメ(下総の農家前の大通り) ◎ノササゲ(水車小屋前の道) ・タマスダレ(上総の農家の庭) ◎ノダケ(おまつり広場北の坂) ◎イヌコウジュ(安房の農家横の林) 〇◎アカネ(安房の農家横の林)

●自然観察会のお知らせ
自然観察ガイドボランティアによる「自然観察会」を毎月開催しています。今月は以下のとおり開催しますので、興味のある方は是非ご参加ください。
〇開催日時:10月15日(日)13時30分~1時間程度(雨天中止)
〇集合場所:総屋前 ※開始5分前までに集合してください。
〇今月のテーマ:「フヨウ(芙蓉)とムクゲ(木槿)の話」
〇参加費:無料 ※むらの入場券は必要です。


2023年10月7日土曜日

「もくずがに料理」の実演と体験演目

 川魚の店で、髙梨喜一郎先生による「もくずがに料理」の実演が行われました。


モクズガニは、先生が地元の大多喜町で捕獲しました。モクズガニは、河川で育ち、秋から冬にかけて海へ下り、汽水域で産卵します。はさみに、長い毛が密集し、藻くずのように見えます。ちなみに中華料理で美味とされる上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)と近縁です。
非常に美味とされるカニですが、個体数も少なく、なかなか市場には出回らない「ローカルなカニ」です。

実演では、みそ焼きとかに汁(かにごし)を作っていただきました。


お昼には、体験演目。皆さんで、炊き込みご飯とカニ汁を作り、小松菜のごまあえを添えて、試食しました。



出来上がりは、丁度、お昼時。めし屋の2階でお召し上がりいただきました。
(ひ)