2018年11月30日金曜日

寒暖上手 一


11月30日です。明日から12月なのですが

アメダスによると、成田空港の本日の最高気温は15.8度

日本は四季がはっきりしていることから、寒さ、暑さと上手に付き合う工夫が多くあります

本日のきのこシリーズを終わりにして、さてどうしたものかと思っていましたが

「寒暖上手」というシリーズ名で、しばらくお送りしたいと思います

その第1回目

たくあんを漬ける準備として、大根を干している風景です

冬の乾いた空気で、水分が抜けるシューという音が聞こえてきそうな大根

そして、秋に収穫して干しておいた大豆から種を取る作業

クシュクシュという、殻をむく音

本格的な冬の前、スケッチの素材も豊富にあるかと思います(や)

2018年11月28日水曜日

房総のむらの花だより

 本日は、資料館を出発し、上総の農家、むらの架け橋、おまつり広場、水車小屋前、下総の農家、茶屋下の坂を観察しました。



●アキザキヤツシロラン(クロヤツシロラン?)の果実ができました。花はとても地味で確認するのが難しいです。



●ヒイラギの花が咲き始めました。葉の周辺の鋭い棘は、樹木が年齢を重ねると無くなります。また、若くても木の天辺の葉は棘が少ないのは、動物に食べられにくいからです。 



●ムラサキシキブとコムラサキの違いのひとつは、葉や果実の付き方が違います。
 
 ムラサキシキブは、葉や実が葉柄の付け根に付いています。
 コムラサキは、葉柄の付け根からほんの少し離れて付いています。


●その他の秋の果実もいろいろ観察できました。
 
 ヒヨドリジョウゴ、マユミ、オカトラノオ、ノササゲ、ヤブマメ、ウツボグサ、ノダケ、サカキ、オミナエシ、オトコエシなどです。


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◎以上は、むらの自然ガイドボランティアさんからの写真と記録です。11月16日の観察に基づいています。(風)



※自然観察会のお知らせ 
 自然ガイドボランティアでは、月に一回、土日のいずれかを利用して来館者を対象とした「自然観察会」を開催しています。
 12月は下記の予定で行いますので、興味のある方是非ご参加下さい。

○日時 : 12月9日(日)午後1時30分から1時間程度(雨天中止)
○集合場所 : 総屋前
○今月のテーマ : 「初冬のむらを彩る植物」
○参加費 : 無料(むらの入場券必要)

2018年11月27日火曜日

えびす講


旧暦10月20日はえびす講です

房総のむらでは、商家の町並みのめし屋で「えびす講の料理」

呉服の店と上総の農家で「えびす講」の展示を行いました

恵比須は、七福神の一つ、福の神としてなじみ深い神様です

大漁をもたらす漁民の神でしたが、江戸時代になると、福をもたらす商売繁盛の神となっていきました。

えびす講の献立は、家によってそれぞれだったようですが

上総の農家では「サンマ」を、めし屋では「ホウボウ」出しています

呉服の店は、大売出しの展示。佐原にある福新呉服店の大正11年の大売出しの写真も展示しています。(や)


2018年11月26日月曜日

小雪(二十四節気)朔風払葉(七十二候)11月27日~12月1日 “ラブウォーク” 一足早く”お正月”  企画展”正月を迎える”早速体験者 ”屠蘇” 雅の”平安装束” 温かい”かみなりうどん”の季節です

 七十二候は、「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」です。関東地方ではまだですが、近畿地方では22日には”木枯らし1号”が吹いたとの報道があり、北風が落ち葉を吹き払う季節になってきたようです。「むら」の入口「大木戸」から「上総の農家」に向かう周辺にも落ち葉が溜まりますが、北風に吹き飛ばされるような様子は見られませんでした。
 「商家の町並み」の先の「堀割」の”モミジ”は随分色づいてきています(写真:上、中)。「風土記の丘」エリア、「旧御子神家住宅」「旧平野家住宅」周辺にも”モミジ”がありますが、こちらは、部分的に色づいたところがある程度です(写真:下)。
 そんな「房総のむら」で、23日に「ユニセフ・ラブウォーク IN 房総のむら」が開催されました。当日は、晴天でウォーキングするには絶好の”小春日和”でした。「ドラムの里」をスタートして、「西郷どん」でも放映されている「房総のむら」の「管理棟」の前を通り(写真:上左)、「商家の町並み」(写真:上右)から”モミジ”が色づく「堀割」を通って(写真:中左)、「風土記の丘」エリアに向かいました。今年からの「房総のむら体験コース(1km)」の参加者の方々は、「茶室」で”茶の湯”の体験もされました(写真:下左)。成田市の「上福田古墳」や「千葉県立成田西陵高校の昆虫館」を見学して戻ってきた5kmコースの皆さんは、「龍角寺101号墳」の”埴輪”を見ながら(写真:中右)、重要文化財「旧学習院初等科正堂」にゴールです(写真:下右)。今年の参加者は167名だそうですが、皆さん元気にゴールされました。世界の子どもたちの幸せを祈り、「ラブウォーク」に参加された皆様に心から感謝いたします。
 今年の企画展「正月を迎える」が始まりました。展示の一環で「商家の町並み」の「稲荷境内」前(写真:上)と「風土記の丘資料館」入口(写真:下)に”茅の輪”を展示しました。早速、職員も”茅の輪くぐり”です。”茅の輪”のくぐり方は、一礼して”茅の輪”をくぐり左に回って元に戻り、再び一礼して今度は右に回り、三度目は一礼して左に回り、それから、神社に参拝します。なお、”茅の輪”をくぐる際には、「祓え給え(はらえたまえ)、清め給え(きよめたまえ)、守り給え(まもりたまえ)、幸え給え(さきはえたまえ)」と”神拝詞(となえことば)”をいいながらくぐります。さっそく、かわいいお客さんも体験です。是非皆さんも”茅の輪”をくぐり、”無病息災”を願ってください。”茅の輪”は、本来は”茅(チガヤ)”で作りますが、最近は”アシ(芦)”や”マコモ(真菰)”、”イナワラ(稲わら)”で作ることも多いようです。「房総のむら」の展示品は、”マコモ(真菰)”で作りました。
 企画展の会場は、「風土記の丘資料館」2階になります。入口には、市川市「弘法寺(ぐほうじ)」に継承されてきた”天符(てんぷ)”と呼ばれる”伝承切り紙”を再現展示しました(写真:上左)。「弘法寺」では、暮れに「仁王門」に参拝者の”穢れを祓う”ことを目的に取り付けるそうです。正面には、安房地方の正月飾り”懸の魚(かけのい)”を再現しました(写真:上中)。南房総の沿岸地域では、”神棚”に”伊勢海老”や”鰹”、”鮭”、”スルメ”など海で獲れるものをお供えし、大漁や無事を祈願しました。展示では、県内ばかりではなく全国の”正月飾り”(写真:中)や”伝承切り紙”(写真:下左)、それに”お正月”に関連する行事として”オビシャ”(写真:下右)なども紹介しています。この機会に、昔ながらの”お正月”の様子をご覧いただき、ご自宅のお正月飾りの参考にしてみてはいかがでしょうか。関連事業として、「ミニ門松づくり」や「雑煮食べ比べ」などの体験もおこないます。12月2日には、「歴博」の「小池淳一」教授による「正月の民俗学」の講演が開催されますので、是非ご参加ください。詳細は、当館ホームページやチラシなどをご覧ください。
 早速、企画展「正月を迎える」の関連ワークショップとして、「商家の町並み」「薬の店」では「屠蘇散(とそさん)」作りの実演が行われました。”屠蘇”というと、”お正月に飲むお酒”のことだと気が付くと思いますが、そのお酒なのですが”ただのお酒”ではないのです。”屠蘇”とは、六種類の”生薬”(写真:下左)を細かく砕いたものを小袋に入れ、一晩酒につけておいた酒で、元旦からその酒を飲むと健康になるといわれているそうです。少し、薬臭い感じがしますが、お正月を迎えた気分になります。講師の「中島慶子」さん(写真:上右)も「最近は、”屠蘇”を知らない人が増えている。暮れになると薬屋さんで売っていますよ」と。「薬の店」の体験では、”生薬”を摺潰す”薬研(やげん)”と分量を量る”上皿天秤(てんびん)”の体験(写真:下右)していただきました。来年は、”屠蘇散”を入れたお酒で”お正月”迎えてみませんか。
 そして、「商家の町並み」「紙の店」では、「季節の折り紙(干支)」の体験です。来年の”干支”の”いのしし”の織り方を指導しているのは、「長谷川太市郎」さんです。お腹が少し膨らんだ、かわいらしい”いのしし”が折り上がりました。
 「総屋」2階では、「平安装束」の体験を開催しました。東京成徳大学日本伝統文化学科の「青柳隆志」教授(写真:左下)の指導で、学生さんたちにお手伝いしていただいて”平安時代の装束”「十二単(じゅうにひとえ)」や「衣冠(いかん)」(日常着、普段着)「束帯(そくたい)」(正装)の試着をおこない、併せて、その都度「青柳」教授が”装束”の付け方や特徴、時折平安時代の歴史・文化などに触れながら解説をしてくださいました。こちらは、主に男性の方々の”装束”、武官束帯(ぶかんそくたい)、文官束帯(ぶんかんそくたい)、直衣(のうし)です。真っ赤な”武官束帯”が人気があったようですが、”弓矢”など武器も背負い重量もあり、試着された方々は汗だくでした。女性の体験者の方も凛々しくお姿です(写真:中右)。大勢の見学者の方が、「青柳」教授の解説を真剣に聞いていました(写真:中左)。
 こちらは、女性の方々の”装束”です。なんといっても”十二単(じゅうにひとえ)”(宮廷女官の正装)が人気のようでした。それ以外にも、”小袿(こうちぎ)”(上流貴族女性の準正装)、”細長(ほそなが)”(上流貴族女性の礼装)、”汗衫(かざみ)”(貴族女性の礼装)、”壺装束(つぼしょうぞく)”(貴族女性の外出着)などの”装束”もありました。皇室の女性を思わせる”おすべらかし(大垂髪)”のかつらもお似合いでした。しかし、何枚も、何枚も重ね着をするので、立っているだけでも大変そうでした。「房総のむら」では「春・秋のまつり」に江戸から明治時代の”時代衣装体験”を行っていますが、今回は”平安時代の装束”の試着体験です。現代の着物に繋がる衣裳とは違った、普段着ることはない”雅”の”平安装束”に皆さんご満足のようでした。
 ”クロヤツシロラン(黒八代蘭)”?”アキザキヤツシロラン(秋咲八代蘭)”?の果実です。9月から10月に花が咲いていたようですが、気が付きませんでした。場所は”キバナアキギリ(黄花秋桐)”が咲いていた場所なので、現地は見ていたはずなのですが。調べてみると、花は茎が2~3cmほどで黒っぽい花なのでわかり難いようです。花が終わった後に大きくなり、果実ができる頃になると10~20cm程になり(写真:左)、先端の2~3cmほどの果実が割れて中に白い糸状の種子が見えます(写真:右上)。先に紹介した”マヤラン(摩耶蘭)”とおなじで葉緑素を持たず、土壌中の共生菌から栄養分を摂る”菌従属栄養植物”だそうです。こんな花も「房総のむら」にあったんですね。驚きました。情報を提供していただいた方に感謝です。
 まだまだ咲いています。「武家屋敷」の土手には”ホトトギス(杜鵑草)”が(写真:上)、「風土記の丘」「旧平野家住宅」の庭先には一輪ですが”リンドウ(竜胆)”が咲いていました(写真:下)。春に咲き出した”ホトケノザ(仏の座)”がまだ咲いています。”ほとけのざ”と聞くと”春の七草”の一つを想像し、まさかこの時期に花が咲いているとは思わないのではないでしょうか。そのとおりです。薄紫色の花が咲いているいる”ホトケノザ”と”春の七草”の”ほとけのざ”は別物だそうです。”春の七草”の”ほとけのざ”は、早春に黄色い花をつける”コオニタビラコ(小鬼田平子)”という草でロゼット状に拡がる葉の様子を”仏の座”に見立てたようです。”ビワ(枇杷)”の花が咲きました。”ビワ”は寒さに弱いようですが、今年の冬はどうでしょうか。
 「商家の町並み」「そば屋(いんば)」の「かみなりうどん」です。”冬季限定”のメニューです。「かみなりうどん」は、江戸時代後期の料理本「素人包丁三編」に掲載されている料理の一つです。”豆腐”やその他の具を”油で炒めたものをうどんの具”にします。「かみなり」は、”油で具を炒りつける音”の例えと考えられています。なお、「素人包丁」では、”豆腐”以外の材料は好みのものを使うように書かれており、「房総のむら」では”豆腐”、”きくらげ”、”干し椎茸”を使った”ヘルシーなうどん”に仕上げています。これからの寒い季節に、温かい「かみなりうどん」はおいしいですよ。
 ニュージーランドからのお客さんが、子どもさんを”駕籠”に座らせて写真を撮っていたので、パパとママに”駕籠かき”になっていただいて写真を撮らせていただきました。日本生まれのママは「房総のむらを知らなかった。いいところですね」と。子どもさんたちに、昔の日本を体験させることができて満足のようでした。

2018年11月22日木曜日

企画展「正月を迎える」いよいよ


11月24日から始まる企画展「正月を迎える」の準備も佳境です

ぜひ、多くの方にご覧いただきたいとの思いを込めて

商家の町並みにも「茅の輪」を取り付けました








もちろん、会場の風土記の丘資料館の前にも「茅の輪」を


そして、玄関では「門松」が皆様をお出迎えるしつらえとなっています









展示会場も、急ピッチで作業を進めています











展示ケースの中は、ピンボケ画像にしてあります

さて、どのようなものを展示しているのかは、お楽しみです(や)

2018年11月21日水曜日

小雪(二十四節気)虹蔵不見(七十二候)11月22日~26日 ”富士山”が見える季節 ”トリップアドバイザーエクセレンス認証” 「むら」の油絞り 赤い実、紫の実、黒い実

 七十二候は、「虹蔵不見(にじかくれてみえず)」で、”虹”を見かけなくなる時期とのことのようです。「房総のむら」からは最近”虹”を見ていませんので、寒くなってきて「房総のむら」からも”富士山”が見えるようになってきましたので紹介します。写真は、太陽が沈む直前に「房総のむら」から見た”富士山”です。太陽は写真の左側ですが、おそらく11月上旬には「房総のむら」からも”ダイヤモンド富士”が見られたのではないかと思うのですが、その時分はあいにく雲が多く太陽が沈むところを確認できませんでした。条件が良ければ、春先まで「房総のむら」からも”富士山”を見ることができます。特に朝日に輝く真っ白な”富士山”、日没直前に真っ赤に染まる”富士山”、そして日没直後の夕闇にシルエットで浮かび上がる”富士山”が見所でしょうか。風が強いと、山頂の雪が舞っている様子を見ることもできます。
 ”旅行口コミサイト”としては世界最大の閲覧数を持つ「tripadvior」から昨年に続き、今年度も「エクセレンス認証」をいただきました。「トリップアドバイザーのエクセレンス認証」について、知らない方も多いかと思いますので「トリップアドバイザー」のホームページから概要を紹介します。「エクセレンス認証は、2011年から世界中で最高のサービスを継続的に提供しているホスピタリティ施設に授与される国際指標の認証です。過去1年間にわたり高評価の口コミを継続的に獲得した施設に授与され、その割合は、トリップアドバイザーに掲載されている全施設の約10%未満です。」そして、エクセレンス認証を獲得するためには、「トリップアドバイザー」の総合評価で5段階中4以上を維持していることなどの条件が必要とされております。「房総のむら」は、全世界に向け”日本文化の情報発信拠点”として、また国内外の来館者の皆様に体験しながら日本文化や歴史を学んでいただける博物館を目指してまいりますので、今後ともご支援よろしくお願いしたします。
 「下総の農家」の「菜種(なたね)油絞り」の実演です。
菜種油絞り①
はじめに、天日で乾燥させた”菜種”を”カマド(竃)”の上に据えた鉄製の”ほうろく(焙烙)”で、焦がさないように炒ります(写真:上)。少し香ばしい香りがしてきます。炒った”菜種”は、新聞紙を敷いた”箕”の上に広げ”粗熱”をとります(写真:中左)。ある程度冷めてきたら、”石臼”で挽いて粗い粉末状にします(写真:中中、中右)。「菜種油絞り」は実演でしたが、熱心に作業をご覧になっている方がいらっしゃいましたので、お話をすると「是非体験してみたい」とのことで、飛び入りで参加していただきました。”石臼”を回すのにはけっこう力が必要なのですが、楽しく体験に参加していただきました。”石臼”のまわりや”石臼”の間に残った粉末状の”菜種”を集め(写真:下左)、蒸すために”せいろ(蒸籠)”に入れます(写真:下右)。
菜種油絞り②
”菜種”を入れた”せいろ”を、”カマド”に掛けたお湯が沸いた”釜”の上にのせて蒸します(写真:上)。蒸している間に、油を絞る準備です。油を絞る方法はいろいろあると思いますが、「房総のむら」では昔ながらの”圧搾法”で実演します。使用する”圧搾機”は、昭和20年代に使われていた”螺旋式搾油機”です(写真:左下)。準備としては、”搾油機”の”円筒”の中に、乾燥した”シュロ(棕櫚)”の繊維を袋状にして敷き詰めて機械にセットします(写真:中中)。そこに、蒸しあがった”菜種”を入れます(写真:中右)。蒸した”菜種”が冷めないうちに手早く詰めていきます(写真:下中)。詰めたら、”円筒”に敷き詰めた”シュロ”を巻き込んで上も閉じます(写真:下右)。
菜種油絞り③
後は、”螺旋式搾油機”の円形の”ハンドル”を回して”油”を絞るだけです。”螺旋式”ですから、”ネジ山”が切られた”軸”を回転させて”押し板”を下方に押し下げることで、”円筒”の中の”菜種”に圧力を加えて油を絞りだすわけです。はじめは、”ハンドル”も軽く回りますが、徐々に”ハンドル”は重くなり”油”は簡単には絞れません(写真:上左)。”上のハンドル”が抵抗で重くなってきたら、”横のハンドル”に切り替えます(写真:上中)。”横のハンドル”は一回転させても”上のハンドル”が四分の一回転しか回らないギア比になりますが、それでも”菜種”の抵抗に”ハンドル”はなかなか回りません。見学していたお父さんにも手伝っていただきました(写真:上右)。この頃になると、”円筒”の下部の”穴”から”油”が染み出してきました(写真:中左)。もっと”ハンドル”を回して圧力を加えなければなりません。続いては、小学校の女性の先生二人にも応援していただきました。もう”ハンドル”は動かないだろうと思ったのですが、、。えっ!、我々、男性職員でも体重をかけてやっと回していた”ハンドル”を、女性の先生一人が腕の力だけで回してしまったのです(写真:中中)。一回転、二回転と回してしますのです。さすがに疲れた様子でしたが、すごいです。同僚の先生も驚いたようです(写真:中右)。おかげさまで、何とか”油”が絞れました(写真:下)。結局、この日は”二升”の”菜種”で約200ccの”菜種油”を絞ることができました。”
菜種”から人力で”油”を絞ることの大変さを実体験しました。先生、是非、子どもたちに電気・ガスがなかった頃の生活の大変さを教えてください。そのためにも、「房総のむら」での「昔のくらし」の勉強を役立てください。”油”が絞れて香ばしい香りが立ち込める中、にぎやかな実演になりました。体験者の方々には”菜種油”の味見もしていただきました。参加していただいた皆様に感謝いたします。ありがとうございました。
 「風土記の丘」エリアの重要文化財「旧御子神家住宅」や千葉県指定有形文化財の建造物「旧平野家住宅」の”センリョウ(千両)”と”マンリョウ(万両)”、そして館内の林の中の”ジュウリョウ(十両)=ヤブコウジ(藪柑子)”が赤い実を付けています。
 ”ムラサキシキブ(紫式部)”や”ガマズミ(筴蒾)”も実がついていますが、今年は少し少ないような気がします。
ハマヒサカキ(浜姫榊)”です。5弁の白い花びらの花が下向きに並んで咲いています。別な木には紫色から黒くなった果実もついています。この実を食べに鳥が集まるようで、小鳥たちが葉の下を飛び回っています。
 ”トネアザミ(利根薊)=タイアザミ(大薊)”です。利根川周辺に多いので”トネアザミ”と命名されたようです。紫色の花の下の”総苞(そうほう)”が外に反り返っています。蕾の時は濃い紅紫色で、開花始めた頃には淡い紅紫色になり、やがて脱色して白くなり、種が実る頃には茶色に変化していきます。花が細い糸状で、横向きのところが、”ハバヤマボクチ(葉場山火口)”に似た感じもします。
 稲刈りの終わった水田のまわりには、小さな花が咲いています。”ハキダメギク(掃溜菊)”は、「牧野富太郎」が世田谷の”掃溜(ゴミ集積場)”で発見したのでこの名前になったそうです(写真:上左)。きれいな場所で見つけられれば、きれいな名前になったのでしょうに。”オランダミミナグサ(和蘭耳菜草)”(写真:上右)や”コハコベ(小繁縷)”(写真:中左)は春から咲いています。”タカサブロウ(高三郎)”は果実もできています(写真:中右)。”アメリカイヌホウズキ(亜米利加犬酸漿)”は、少し紫がかった花も咲いています(写真:下左)。林の中の明るい場所に花びらが丸まった花がありました。”シロヨメナ(白嫁菜)”でしょうか(写真:下右)。
 花が終わった後の草花の果実や種子の様子です。種を飛ばした”ゲンノショウコ(現の証拠)=ミコシグサ(神輿草)”が並んでいます(写真:上)。農家の畑の”ニラ(韮)”も種ができていました。濃い黄色の花が咲いている”コセンダングサ(小栴檀草)”の痩花の先端には棘があり衣服にくっつきます(写真:中右)。薄い緑色をしていた”ノダケ(野竹)”の果実も淡褐色になってきました(写真:下左)。”フヨウ(芙蓉)”の実も弾けて、毛が密集した中から種が顔を出しています(写真:下右)。

2018年11月20日火曜日

企画展間近で:

いよいよ今週の土曜日、11月24日から

企画展「正月を迎える」が開幕します

展示室の準備も始まり、土曜日には、立派にオープンできる・・・はずです

担当職員は、互いに意見を交わしながら、よりよい展示になるよう

努めています

ご期待ください(や)

2018年11月16日金曜日

立冬(二十四節気)金盞香(七十二候)11月17日~21日 新酒の目印緑色の”杉玉” ”凧” ”くん炭”作り ”茅葺屋根”のコケ ”キッコウハグマ”の白い花に感激 えっ”ハナモモ”が咲いた

 二十四節気「立冬」の末候の七十二候は「金盞香(きんせんかさく)」です。「きんせんか」とありますが、この花は春に円い花が咲くキク科の”キンセンカ(金盞花)”ではなく、”スイセン(水仙)”だそうです。”金盞”は”黄金の杯(さかずき)”のことで、6枚の花びらの中央の黄色い冠のような副花冠をもつ”スイセン”の異名だそうです。「房総のむら」の”スイセン”も葉がかなり伸びてきて蕾もいくつか見られますが、花が咲くのはまだ先になりそうです。
 「房総のむらの写生コンクール」の上位入選作品の展示会場です(写真:上、写真:下左(館長賞)、下右(友の会会長賞))。11日には、表彰式も行われました。今年度の入選作品の詳細は、当ブログ「第40回房総のむら写生コンクール審査結果発表!」をご覧ください。
 「商家の町並み」「細工の店」の店先に、真っ白な”張り子”が干されていました(写真:上)。”張り子”は、”木型”に”和紙”を張り付け、”型抜き”して作ります(写真:中)。できた”張り子”の上に”胡粉(ごふん)”を塗って、真っ白になった状態で干しているところです。「細工の店」では、”張り子の”絵付け”や”キーホルダー”作り(写真:下右)ができますが、”木型”を使って”張り子”を作る体験もできます。
 「商家の町並み」「酒・燃料の店」では、「杉玉作り」の実演と体験です。”新酒”ができた”目印”に、酒屋の店先に下げられる”杉玉”です。竹で編んだ丸い籠を”芯”にして(写真:下右)、そこに”杉の葉”を挿していきます。指導の「吉野正美」さんが作っているのは(写真:下左)、「酒・燃料の店」に飾った”杉玉”です(写真:上)。体験者の皆さんには、ご自宅に飾るのに適当な大きさの”杉玉”を作っていただきました。
 「商家の町並み」「細工の店」では、「凧作り」の体験です。一年に一回の体験です。”竹ひごの骨”に”浮世絵の摺り”でお馴染みの「松崎啓三郎」が摺った”武者絵”の和紙を張り、糸を付けます(写真:下左2枚)。今回はここまでですが、絵に色を付ければ立派な”武者絵の角凧”が完成です(写真:下右)。いつも、指導の「仲田一夫」さんがいろいろな凧を持参して、店先に展示していただいています(写真:上)。
 「上総の農家」の「くん炭作り」の実演です。”くん炭”は、”土壌改良材”や”苗代”の保温材として使います。穏やかな秋の日に、”くん炭”作りの煙が農家や畑全体を包むように漂う景色が昔はどこの農村でも見られたものです。
 ”くん炭”は、”籾殻(もみがら)”を蒸し焼きにして作ります。”火種”(写真:下左)を入れた”煙突”のまわりに”籾殻”を山形にかさねて、”籾殻”が燃えないように(”炎”が出ないようにして)蒸し焼きにします。この日は少し風もあったので、”籾殻”は3時間ほどで”こんがり”黒く焼けました(写真:上右)。でき上がったら、熱を取るために広げて数時間置いておきます(写真:下右)。熱が完全になくなったら袋に入れて保管しておいて、”苗代”の保温材として使用します。
 「下総の農家」では、大きな”ナタマメ(鉈豆)”が干されています。また、「下総の農家」で収穫した一方が太く長ーいかぼちゃ”鶴首かぼちゃ”を販売しています。この”鶴首かぼちゃ”は、”ポタージュ”にするととてもおいしいスープになります。その他にも、焼き物や煮物、てんぷらでもおいしく食べられます。是非、味わってみてください。
 「上総の農家」の”らっきょう(辣韭)”に花が咲きました(写真:上)。”らっきょう”はたくさん植えてあるのですが、花が咲いたのはこの一本だけです。きれいな花なので、もう少し咲いてくれるとよかったのですが、残念です。白い花を楽しませてくれた”秋そば”も、収穫の時期を迎えました(写真:下左)。収穫したばかりの”三角形の実”は、真っ黒ではなくまだ茶色がかっており、まだ青い実もあります(写真:下右)。”そば”は、下の方から花が咲き実が熟していきますので、上の方はまだ熟しきっていない青い実もあります。”黒い殻”を割ると、中に少し薄青い白色の実がはいっています。これが、新そばの特有の色合いと風味になるのだそうです。
 茅葺屋根のあまり日が当たらない北向きの屋根には、”コケ(苔)”などが生えています。「上総の農家」の「長屋門」には、当ブロブ「房総のむらの花だより」でも紹介されている”コアカミゴケ(小赤実苔)”のほかに草も生えています。
 こちらは、同じ「上総の農家」の「母屋」の屋根です。アップで見ると屋根とは思えないように”フカフカ”の緑色の”コケ”が一面に生えています。
 ”キッコウハグマ(亀甲白熊)”に、小さな白い花が咲きました。前回紹介したように”タンポポ”のような”冠毛”だけしか見られないのかと思っていたのですが、花も見ることができたのです。花はダメだと諦めていたので、初めて見る白い花に感激です。
 そろそろ、”リンドウ(竜胆)”も見納めかと思いますが、淡い紫色が鮮やかな花を房状につけた”リンドウ”がありました。
 館内のあちこちに”カタバミ(片喰)”の花が咲いています。白い花は”三角形の葉”が特徴的な”オキザリストライアングラリス”でしょうか。その中に一輪だけピンクの花が咲いていました。少しな離れた場所には黄色の”カタバミ”も咲いていました。
 「商家の町並み」「瀬戸物の店」の横の”ハナモモ(花桃)”が花を咲かせています。全国的にも”サクラ(桜)”が咲いたというニュースもありましたが、「房総のむら」では確認できませんでした。が、”ハナモモ”が咲きました。
 「房総のむら」は、まだ”紅葉狩り”には早いですが、「堀割」の”モミジ”は日ごとに”赤み”が増しています。「風土記の丘」エリアの”モミジ”も色づき始めましたので、もうじき”紅葉狩り”が楽しめるようになると思います。