2018年8月22日水曜日

処暑(二十四節気)綿柎開(七十二候)8月23日~27日 ”綿花”開かずで似た花三種 夏の”昔あそび” ”琥珀玉” 「商家の町並み」に”珍獣”現る

 二十四節気は、一つ進んで「処暑」です。暑さがおさまる頃、とのことです。確かに昼間はまだまだ暑いですが、朝夕は少し涼しくなってきました。七十二候は「綿柎開(わたのはなしべひらく)」です。綿は、7月に花を咲かせ、その後実が大きくなっていますが、まだはじけません。はじけて現れる”フワフワ”の綿が”綿花”と呼ばれるわけですが、そのため、種を包む”フワフワ”の繊維の”綿花”をくるんでいる”柎(花のガク)”が開くと表現したのでしょう。大きくなってきた実は、重みがあり下向きで”萼”に被われているのでなかなか見つけにくいのですが、少し見えました。
 ”綿(ワタ)”は、葉をたくさんつけ高さが1mほどになっており、まだ淡黄色の花や少し時間が経ちピンク色に変色したした花も咲いています(写真:上左)。そこで、似たような花三種の紹介です。写真右上が”コットンボール”ができる”綿”の花です(写真:上右)。見た通り上向きに”オクラ(秋葵)”が付いているのが”オクラ”の花(写真:下左)で、手を広げたように葉が広がっているのが”紙漉き”の原料に入れて”ぬめり”をつけると”トロロアオイ(黄蜀葵)”の花です。「呉服の店」の裏の畑で咲いています。花の状態によっては、見間違えてしまいそうなほどよく似た”アオイ(葵)科”の三種の植物です。詳細は、当ブログ2015年8月28日公開「似た花三種ー綿・オクラ・トロロアオイー」をご覧ください。

 太陽が”ジリジリ”照り付ける時に役に立っているのが、「房総のむら」ではお馴染みの”ぼっち笠”と”日ごも”です(写真:右)。”ぼっち笠”については、これまでも何度か紹介してきましたが、”日ごも”ははじめてでしょうか。刈り取った”麦”を脱穀し残った”麦わら(ストロー)”を編み上げて作ります。強い日差しから背中を守ってくれます。”ぼっち笠”に”日ごも”姿の「上総の農家」(写真:左)の人が、「商家の町並み」から帰るところを後ろから撮りました。「振り向かないで~ 上総の人」
 ”お正月飾り”や”注連縄”などの材料とするために青刈りした稲”ヤマトニシキ”の「上総の農家」の”天日干し”の様子は紹介されていますが、「下総の農家」でも庭一面に”稲”と”チガヤ(茅)”が並べられました(写真:下)。”チガヤ”の”芯とり”と”天日干し”については当ブログ「小暑 鷹乃学習」7月18~でも紹介しましたが、”ミノ(蓑)”作りにはたくさんの量が必要になりますので、天気の良いこの時期には”お手伝い”もお願いして作業をします(写真:上左)。”チガヤは”芯をとった後、室内で”蓆(むしろ)”の上に並べて”陰干し”(写真:上右)し、そのあと”天日干し”(写真:中左)をします。”チガヤ”は、一気に”天日干し”をすると2,3本が絡まったりしてしまうそうです。干し始めは鮮やかな緑色ですが、乾燥してくると淡緑色になってきます(写真:中右)。地面に直接並べてあるのは”ヤマトニシキ”です(写真:下左)。
 アメリカから訪日中のお二人が、「房総のむら」で”日本文化”の勉強です。英語が堪能なボランティアさんのガイドで、「商家の町並み」などをゆっくり見学し、”綱つり”の説明を受けたり(写真:上左)、「上総の農家」では”ミノ”と”ぼっち笠”の試着体験もしていました(写真:下左)。ガイドさんにお聞きしたところ、”日本文化”を知るのに「房総のむら」がいいと紹介されて来たということで、ガイド終了後も熱心に見学していました。

 「商家の町並み」「細工の店」では、「房州うちわ」作りの体験です。講師は、”千葉県の伝統的工芸品製作者”にも認定されている「太田美津江」さんです(写真:上左奥)。「房総のむら」では当初はお父さんに指導していただいた、開館時から続く体験です。「房州うちわ」は、「千葉県指定伝統的工芸品」ですが、千葉県内では唯一「経済産業大臣指定伝統的工芸品」にも指定されている南房総地方の伝統的な工芸品です。南房総地域には”うちわ”作りに適した良質な”女竹(メダケ)”があり、江戸時代には江戸で作る”うちわ”の”女竹”の産地でしたが、明治に入ってから地元でも生産が始まりました。”女竹”を骨の部分に、”真竹”を弓部分に使用し(写真:下左)、”京うちわの差柄”、”丸亀うちわの平柄”に対して、”丸柄”であることと、丈夫で半円の格子模様が美しい”うちわ”として知られます(写真:下左)。”柄”を両手で挟み、回して遊びました。”柄”が平たいほかの”うちわ”ではできませんよ。
 「商家の町並み」「木工所」の「親子木箱作り教室」が大盛況です。「木箱作り教室」は以前にも紹介しましたが、夏休みも終盤にちかくなってきたためでしょうか大勢の方が木箱を作っています。自分で、”釘”を打ち(写真:上左)、親子で”曲尺(かねじゃく)”を使い寸法測り(写真:上中)、”鋸”も自分で挽いて(写真:上右)”木箱”の完成です。大きな箱をつくったお子さんは、この中に「房総のむら」つくった作品をいれるそうです(写真:下右)。少し涼しくなってきましたので、工作だけではなく、建物、草花や畑の作物の観察など、夏休みの自由研究に役立つ「房総のむら」です。残り少ない夏休みを「房総のむら」でお楽しみください。(またまた、台風の接近が心配ですが)
 でもやっぱり遊びが一番です。「房総のむら」の昔ながらの遊びの紹介です。前回紹介した「上総の農家」の「竹のブンブン蝉」も大盛況でした。”松脂”の部分に”紐”をひっかけて回すと、先端の”鳴動器”で増幅された音が”ブーンブーン”とうるさいくらい鳴ります。「なぜ音が出るのか」と、結構大人の方も楽しんでおられました。この日の「房総のむら」は、上からは”本物の蝉”の声が、地上からは”ブンブン蝉”の音が鳴り響いていました。
 「むらのかけ橋」を渡った「おまつり広場」では、”竹トンボ”ならぬ”紙トンボ”を飛ばしていました。厚紙で作る”トンボ”ですが、よく飛ぶのです。しかも、補助の道具を使うと10m近くも上がるのです。こちらでも小さいお子さんから大人の方まで楽しそうに、真剣に遊んでいました。
 夏の遊びはやっぱり”水鉄砲”でしょうか。「下総の農家」の昔ながらの「竹の水鉄砲」です。”竹筒”の中に入れて水を押し出す棒の先端の”スポンジ”と”布”の巻き方・太さが、”水鉄砲作り”のポイントです。太いと”竹筒”に入りませんし、細すぎると”竹筒”に隙間ができると水はあまり飛びません。”竹筒”に入れてみて、調整しながら作ります。あとは水を飛ばすだけです。昔ながらの”竹の水鉄砲”ですが、勢いよく飛ぶ水に感激のようでした。
 「房総のむら」では”昔ながらの遊び”として”竹馬”や”竹ポックリ”を準備しています。写真は、常連さんもいる「下総の農家」の”コマ”と”ベーゴマ”です。紐を巻くのが難しいので、初心者用にボランティアさんが”紐”を巻いて準備してあります。こちらも、うまく回り、さらに手の上で”コマ”を回せれば感激すること間違いなしです。こちらは、小さいお子さんよりは、大きなお子さんと大人の方が時間も忘れるほど楽しめる遊びです。
 「商家の町並み」に、「風土記の丘資料館」で「琥珀玉」作りの体験された皆さんがいらっしゃいました。”琥珀(コハク)”は、”再生琥珀”で”天然琥珀”ではありませんが、磨けば色・ツヤ・光沢は本物に見劣りしません(写真:右)。まず、”直方体の琥珀”(写真:右の左上、下左)を”砥石”で粗削りして形を成形し、おおよその形ができたら(写真:右:左下)、”紙ヤスリ”で表面を磨き上げます。固くて加工・研磨が大変なのですが、磨き上げると、まさに”半透明の琥珀色”に輝くアクセサリーの完成です(写真:下右)。こちらの皆さんも2時間かけて磨いてきたとのことでしたが、完成した”琥珀玉”に「大満足」と。家に帰ってからも磨くそうです。
 さて、そんな皆さんを「商家の町並み」でお迎えしたのは”珍獣”ではなく、”ガマガエル(蝦蟇夷)=ヒキガエル(蟾蜍(せんじょ))”です。夜行性のようですので、昼間人気の多いところに出てくるのは珍しいでしょう。「商家の町並み」に遊びに来たのでしょうか。皆さん興味深く見ていました。しかし、職員が「”ガマガエル”は皮膚からをだしますので、注意してください」と説明すると、少し驚いていました。”ガマガエル”というと昔から”ガマの油”などとしても馴染みのある”カエル”ですが、普段はほとんど目にすることがありませんので毒のことなど知りませんね。「房総のむら」には、”マムシ”や”ヤマカガシ”などの”毒をもつヘビ”などもいますので、気を付けてください
 「上総の農家」の”ヘチマ”も大きくなってきました。このままでは、”自重”で落ちてしましそうなので、”繩”で釣りました。
 花については、「房総のむらの花だより」や「むらの花情報」にも紹介されていますが、いくつか紹介します。まずはじめは、”カラスビシャク(烏柄杓)”です。この植物については、今年は4月14日に開花を確認したことなどを当ブログ「夏至 半夏生(7月2日~)」でも紹介しましたが、今年2度目の花が咲きました(写真:上左)。どうなっているのでしょうか?”コバギボウシ(小葉擬宝珠)”には”ハチ”も潜っていました(写真:上右)。小さな花たちです。秋に釣鐘状の花が咲き、根が朝鮮人参に似ていることから”ツリガネニンジン(釣鐘人参)”だそうです(写真:中左)。商家の町並みの壁の”ガガイモ”です(写真:中中)。淡紫色の小さな花ですが、5弁の花の内側には長い毛が密集しています。次は、葉や茎に悪臭があることから”ヘクソカズラ(屁屎葛)です。きれいな花なのですが。”キツネノマゴ(狐ノ孫)も可憐な花です(写真:下左)。どこが”キツネ”なのでしょうか?最後は、今が盛りの”キツネノカミソリ(狐ノ剃刀)”です。花の時期には葉がありませんが、春先に見られる葉が剃刀のように鋭く見えることからの命名のようです。当ブログ「春分 雀始巣(3月21日~)」もご覧ください。
 「下総の農家」「長屋門」前の”ススキ(薄、芒)も穂が出始めました(写真:左)。「おまつり広場」から続く坂道の横の”ススキ”は、花が咲いていました(写真:右)”ワレモコウ(吾亦紅)”も咲き出したようですし、秋の植物が目立ちだし、涼しい朝夕の”ヒグラシ(蜩)”と夜の虫たちの鳴き声に、どことなくいく夏を惜しむようなわびしさを感じます。”秋きぬと目にはさやか”に見えてきました
 「下総の農家」の”おかぼ(陸稲)”です(写真:上左)。今年は生育はあまりよくなく丈も少し低めですが、その根元に”イトトンボ(糸蜻蛉)”がいました(写真:上右)。下の写真は、少し前の”おかぼ”の様子ですが、遠くから見てもわかるように、たくさんの黒い虫がうごめいています(写真:下左)。近づいてみると”マメハンミョウ(豆斑猫)”でした。こちらも体液が強力な炎症性のをもつそうです。要注意です。ストライプが入った黒のスーツにオレンジ色の頭、見るからに悪そうですか(写真:下右)?
 やけに”ショウリョウバッタ(精霊蝗虫)”が目立ったので載せました。草むらの中にいる”ショウリョウバッタ”はどこにいるのかわからないくらい、周りの草色に溶け込んでいます(写真:上左)。綿には、薄い茶色の”ショウリョウバッタ”がいました(写真:上右)。「商家の町並み」にも現れました(写真:下左)。そして、”イナゴ(蝗)”もたくさん見かけます(写真:下右)。

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