2019年2月18日月曜日

雨水(二十四節気)土脉潤起(七十二候)2月19日~23日 「柳家三三」師匠登場 「むら」を守る”綱つり・辻切り” ”おびしゃ”で今年はどんな年 ”ビックりひなまつり” ”いだてん”走る

 二十四節気は「雨水」に進み、降っても”雪”から”雨”となり、七十二候は「土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)」で、雨が降って湿り気を含み草木が芽吹き始める頃になります。15日には今シーズン5度目になりますが、小雪も舞いましたがこれで”雪”はおしましでしょうか。この頃になると、地上に落ちた”どんぐり”の中には根を出しているものもあります。この芽をご自宅で育ていただき、半年後に「房総のむら」の林に植樹していただいているのが「立春 黄鶯睍睆(2月9日~)」で紹介した「緑の里親(どんぐりの木を育てよう)」です。
 今年三回目の「房総座」は、「柳家三三」師匠の登場です。「総屋」二階の会場は、ほぼ満員のお客さんです。今回の”出し物”は、”一席目”が侍が船縁で”煙管”を叩いた拍子に”雁首”が川の中に落ちるところから始まる「岸柳島」と、”賽子博打”で”笊”の外に”ぴんの目(賽子の目が一)”の”賽子”がある「看板のぴん」でした。二席目は雪の日が多かったことに引っかけてか、”雪見酒”で寝てみた夢の話の「橋場の雪」でした。いつものように、リズミカルで軽妙な語り口にお客さんも満足のようでした。しかし、お客様から「カメラのシャッター音がうるさい」と苦情がありました。大変申し訳ありませんでした。”まくら”の部分で記録、広報用の写真を撮っているわけですが、「三三」師匠の”噺”を聞くお客様にご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます。
 館内のあちこちに展示してある”災いよけ”は、「房総のむら」では一年に一度新しいものと交換していますが、その交換の時期です。「下総の農家」では、印西市本埜龍腹寺の”辻切り”を再現展示しています(写真:上)。”大ムカデ”をかたどった”毛羽立った太い綱”の中央に寺の”お札”を挟んだ”ヌルデの枝”と”榊”、”篠竹”を刺して”五穀豊穣”を祈り、”むらの入口”に吊るします(写真:下左)。その近くの、「庚申塔」の”しめ縄”も新しくなりました。これは、匝瑳市八日市場西小笹地区で2月に行われている”オデイハンヤ”の再現展示です。子どもたちが”細いしめ縄”を七回り半巻いた上に太い”ゴボウジメ”をつけた”大般若経”の入った”経箱”を担いで、地区の各戸を回り”無病息災”を祈ります。そして各戸を回りおわると、”経箱”の”しめ縄”を”サト(むら境)”の「庚申塔」に巻きつけますが、その様子を再現展示しています(写真:下右)。
 大きな”わらぞうり”は、富津市関尻地区の”綱つり”の再現展示です(写真:上)。昔は、2月の初めての雨の日に行われたそうです。大きな”ぞうり”は、「この”むら”にはこの”わらぞうり”を履く”巨人”が住んでいるとか、疫病神にこの”ぞうり”を履いて帰ってもらうため」といわれています。”綱”に挟み込まれた”杉の葉”と”炭”は、「私の”むら”の”災い”は”過ぎ(杉)”ました。”済み(炭)”ました。」と”門前払い”するためで、しかし”災い”を”門前払い”したままでは後々もっと祟ると怖いので”酒樽”の酒を振る舞い新しい”ぞうり”を履いて帰ってもらうという願いが込められているそうです。下は、”辻切り”の再現展示です。八千代市上高野(写真:下左)や佐倉市井野(写真:下右)では、”むら”に悪疫が侵入しないように”むらの境”の木に”わら”で作った”大蛇”を縛り付けます。蛇の背中には魔よけに”ヒイラギ”が付けられ、目や舌は”赤トウガラシ”などが使われています。前回(「立春 魚上氷」)の”災いよけ”の体験でも紹介したように、「下総の農家」の入口の”小蛇”も新しくなりました(写真:中右)。
 「上総の農家」では、大網白里市萱田地区の「おびしゃ」の”的”や”矢”の再現展示と体験を行いました(写真:上)。「おびしゃ」は、主に関東地方で行われてきた春の行事です。中でも千葉県北・中地域は、「おびしゃ」が盛んに行われていました。年の始めの1月から2月にかけて、”弓”を射てその年の作物の作柄など”神意”を占う”予祝行事”です。来館者の皆さんにも、”弓”で”矢”を射ていただきました。お父さんは3本中2本が”的中”です(写真:下左2枚)。お父さんの指導で、お嬢さんも体験です(写真:下右)。
 「下総の農家」でも「おびしゃ」の展示です。あれ?「おびしゃ」は、”弓を射て”その年の作柄などを占う行事では?そうなんです。本来の「おびしゃ」は、”弓を射て”行う”予祝行事”とそれに付随する”当番の引継ぎ”、そして集まった人たちの”共同飲食”という三つから成り立っていましたが、「下総の農家」の展示は”引継ぎ”と”飲食”の部分が残った香取郡多古町の事例なのです。しかも、多古町周辺の「おびしゃ」は男女別々に行われるそうで、展示した事例は”子孫繁栄”を願って女性だけで行われた「女おびしゃ」です。”御神体”である”鬼子母神”の”掛け軸”や”供物”を飾り、飲食とともにめでたい歌(「下総の農家」には”歌”が流れていました)を歌い”当番の引継ぎ”を行います。「おびしゃ」には、このほかに”にらめっこ”をしたり、”酒を飲み比べ”たりする地域もあります。
 「立春」も過ぎ、今年もそろそろ”お雛様”を飾る時期になってきましたので、「房総のむら」でも恒例になってきました「ビックりひなまつり」の展示を16日から始めました。3月10日までご覧いただけます。「農村歌舞伎舞台」に”七段飾り”に合わせて、最上段には”内裏雛”、二段目に”三人官女”、三段目が”五人囃子”、四段目に”随人”、五段目に”衛士”、六段目と最下段には”道具類”を並べました。この”お雛様”は、なかなかご家庭では飾ることができなくなったものを皆様から提供されたものです。”お雛様”飾りの前に並んだのは、お雛様を飾った「房総のむら」”のスタッフ(「むら」のお雛様?)です(写真:下右)。
 「総屋」には”親王飾り”です。”段飾り”が盛んになったのは”江戸時代の元禄期”頃からのようで、それ以前は”お内裏様”と”お雛様”を並べた”親王飾り”が主流だったようです。しかし、現在は住宅事情によるのでしょうか、再び”親王飾り”が多くなっているようですね。
 まだ”桜”の季節には早いかもしれませんが、「商家の町並み」「菓子の店」では「桜餅」の実演と体験が行われました。体験者の皆さんには、”関東風の桜餅”を作っていただきました(写真:下)。指導の匝瑳市鶴泉堂の「大川功修」のご厚意で”関西風の桜餅””道明寺”も作っていただきました(写真:上の上)。最近は”ひなまつり”には、”桜餅”をたべるのが定番になっているようですが、華やかな”お雛様”を飾った”ひなまつり”にピンク色の”桜餅”は合いますね。そして何よりも、色ばかりではなく春を感じるような”桜の葉”の香りに包まれた”桜餅”はおいしいですからね。
 雪の”綿帽子”を被って花を下向きにしていた「上総の農家」の”ナノハナ(菜の花)や”コセリバオウレン(小芹葉黄連)”、「安房の農家」の”スイセン(水仙)”(写真:右)も元気になりました。これからは暖かくなるとの予報ですので、”ナノハナ”はこれからたくさん咲き始めると思います(写真:左)。”コセリバオウレン”は、今が見所でしょうか(写真:中)。この日も、この花を見ることだけを目的に来館されたという方が熱心にご覧になっていました。
 NHKの「いだてん」で「中村勘九郎」さんの走るシーンも撮影された「房総のむら」を、栄町の「リバーサイドマラソン」の”いだてん”ランナーの方々走りました。昨年は、園路がぬかるんで走行に支障をきたす心配があることから「房総のむら」周辺の公道だけでしたが、今年は”館内”を無事走っていただくことができました。ランナーの皆さんは、「安房・下総の農家」から入場し、「歌舞伎舞台」「上総の農家」前を通り「商家の町並み」のある「大木戸」から公道に出て、その後は、文化財指定の「民家」や「龍角寺古墳群」や「風土記の丘資料館」前を走り抜けていきました。最初に「房総のむら」に現れたのは順天堂大学のランナーの方でしたが、早い!早い!(写真:上左)。その徐々にランナーの方も多くなってきました。「むらの架け橋」から下のバイパスを見るとランナー方々の長蛇の列です(写真:中右)。この日走ったランナーの方の中からも将来「オリンピック」に出場する”いだてん”が現れることを期待して、「ガンバレ!」

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