2019年2月13日水曜日

立春(二十四節気)魚上氷(七十二候)2月14日~18日 4度目の雪の「むら」の”雪風景” ”七草” 茅葺民家の”燻蒸” 寒い中でも”わらじ作り” ”災いよけ”🐍 ”お箸作り” ”多色刷り” ”刺子”の体験です

 暦の上では”春が来た”というのに、今シーズン4回の雪です。しかし、「商家の町並み」の「堀割」や「池」にはほとんど”氷”は張っていません。そんな中を、ゆっくりではありますが”鯉”が泳いでいます。
 11日が旧暦の1月7日にあたることから、「下総の農家」では「七草」の展示です。「七草」は、正月7日の朝に”七草粥”を作り、正月の神様である”歳神様”などにお供えし、一年間の家族の”無病息災”を祈って”粥”を食べる行事です。”七草粥”に入れる”七草”は地域よって違うようですが、展示した”七草”は一般的な「せり、なずな(ぺんぺん草)、ごぎょう(母子草)、はこべら、すずな(蕪)、すずしろ(大根)」の六種類です。残念ながら、「房総のむら」には「ほとけのざ(小鬼田平子)」はなかったようです。
 かなり咲いてきた”梅”にも”綿帽子”が被りました。甘い香りを漂わせて下を向いている「風土記の丘」の”ロウバイ(蝋梅)”は、大きな帽子を被りました(写真:上左)。少し咲き始めた「旧平野家住宅」のお椀型になる”薄いピンク色の梅”も雪化粧です(写真:上右)。「房総のむら」では一番に咲いた「武家屋敷」の「茶室」の”コウバイ(紅梅)”(写真:中)と「おまつり広場」の「茶店」から下った”ハクバイ(白梅)”(写真:下)は、花がかなり咲いてきていますが、”雪”で少し寒そうです。
 「上総の農家」横の”コセリバオウレン(小芹葉黄連)”は、すっぽり雪を被り花がほとんど見えません(写真:上)。「上総の農家」の”ナノハナ(菜の花)”も少しづつ花が咲き始めているのですが、寒そうに首を傾げていました(写真:中左)。「安房の農家」の”スイセン(水仙)”は、水分が多い重たい雪で花が下を向いていました(写真:中右)。鳥たちに突かれながらもまだ残っている「上総の農家」の”キンカン(金柑)”は、色づいた実が見えないくらい雪を被っています(写真:下左)。前回も紹介した”キツネノカミソリ(狐の剃刀)の葉が、雪の中に突き出ていました(写真:下右)。
 「風土記の丘」の”モクレン(木蓮)”(写真:上左)や「管理棟」の”コブシ(辛夷)”(写真:上右)の綿毛の蕾が少し大きくなってきましたが、”綿帽子”を被りました。その”コブシ”に時々やってくるのが”ヒヨドリ(鵯)”です(写真:下)。”ヒヨドリ”は、まだ残っている”コブシ”の実を食べにくるようです。”コブシの種”については、当ブログ昨年の「秋分 雷乃収声(9月23日~)でも紹介しましたが、”ハート型の黒い小さな種”です。”ヒヨドリ”の狙いは、その種のようです。
 9日は朝から雪が降り続き、少しづつですが積もりました。雪にもかかわらず、体験目的の方以外にも、成田空港を利用した外国人の方、時代衣裳を楽しむ県外からの来館者、それに写真撮影が目的の来館者の方もいらっしゃいました。雪は午後からは小降りとなりましたが、夕方からの路面の凍結も心配される状況でしたので、申し訳ありませんでしたが早めに閉館とさせていただきました。4度めの雪ですので、少し視点を変えた「房総のむら」の”雪景色”です。
 「水車小屋」も雪ですが、水車は凍ることもなく回っていました(写真:上左)。「上総の農家」を守る”災いよけ”の”繩つり”(写真:上右)や、林の中の”辻切り”の”大蛇”(写真:中左)、それに”石造物”にも雪です。「農家」の畑には春に収穫する野菜などに付けられた”霜よけ”の枯れた笹竹が、田んぼには刈り取った後に”出穂”して枯れた稲が雪を被っていました(写真:下)。
 続いては「風土記の丘エリア」です。国の史跡の巨大な方墳「岩屋古墳」(写真:上左)、「資料館」の横に復元した「竪穴住居」(写真:上右)に、千葉県指定建造物の「旧平野家住宅」(写真:下)の雪景色です。写真下右の庭先の雪を被っているのが、”少しピンク色”の花が咲き始めた梅の木です。
 こちらは、「旧平野家住宅」隣の重要文化財「旧御子神家住宅」です。写真左上は雪の日のようすですが、他の写真は別の日に戸を閉め切って”燻蒸”を行っている時のようすです。”茅葺屋根”の建造物の保護のためには、”燻蒸”が欠かせません。普段は火を使わない文化財の指定を受けている「旧平野家住宅」と「旧御子神家住宅」では、冬季に建物全体に煙がいきわたるよう戸を閉め切って、”土間”で”薪”を燃やして煙を出して”燻蒸”します。天井を見上げると煤けた”梁”や”茅屋根”の内側が見えると思います。
 すっぽり雪を被った重要文化財「旧学習院初等科正堂」です。雪がなければ、真っ黒な”スレート葺”の屋根も雪で真っ白です。手前の芝生広場も真っ白で、白い中に白い建物は期待したほど目立ちませんでした。
 「旧学習院初等科正堂」近くの、墳丘と埴輪列が復元された「龍角寺101号墳」です。”人物埴輪”は頭に白い帽子を被ったようです(写真:中右2枚)。”動物埴輪”は目隠しされたように雪を被っていました(写真:中左)。こちらも動かない人形ですが、「商家の町並み」に現れた”雪だるま”です(写真:下)。それぞれ、特徴のある顔立ちです。しかし、”雪だるま”は溶けてしまうのが運命、そのままにしておくとその回りだけがぬかるんでしまいますので、早々に姿を消したようです。
 「商家の町並み」「川魚の店」では、一年に一度の「なまず料理」の実演です。詳細については、当ブログ「なまず料理」をご覧ください。蓋の付いた浅い”桶”に”なまず(鯰)”がいます(写真:上)。白身の”なまずの揚げたてのフライ”は”ホクホク”です。雪が降る寒いところで、”フーフー”しながらいただく”なまず”の味噌汁”ひっこがし汁”は、体があたたまりました。太い”葱”を嚙むと、中からやわらかい甘みのある汁とともに細い”葱”が”ちゅる”とでてきてまたおいしかったです。あまり”川魚のクセ”を感じず食べられる”なまず料理”を、外国人の方も”食の体験”をしていました。
 「安房の農家」では、「わらじ作り」の体験です。並べてあるのは、左が”わらじ”で、右が当ブログ「立春 東風解凍(2月4日~)」で紹介した”足半(あしなか)”です(写真:左)。”わらじ”は”わらぞうり”と混同されがちですが、これまでも何度か紹介してきたように、”わらぞうり”は”わら”で作った”サンダル”ですが、”わらじ”は”鼻緒”から伸びる長い細縄を側方の輪にかけながら足首に巻きアキレス腱側で結んで使用します。細縄で足に縛り付けるので、”鼻緒”だけの”ぞうり”に比べ足に密着し歩きやすかったので、昔の徒歩での旅行や登山の必需品だったそうです。
 同じく”わら”を使った手工芸ですが、「下総の農家」では「災いよけ」作りの体験です。「房総のむら」では、「上総・下総・安房の農家」周辺のあちこちに、房総半島で行われている「災いよけ」を再現展示しています。”村”の入口には道を跨ぐように”繩つり”や”綱つり”が下げられ、林の中には”大蛇”や”鹿島人形”、それに”大わらじ”なども再現されています。今回は、雪のために外への展示は先送りになりましたが、「下総の農家」の入口にも付けられている(写真:上左)八千代市上高野に伝えられている家の門口にかける”小蛇”を作りました。”蛇”の頭を三角に作り(写真:中左)、胴は縄を綯って作ります(写真:上右)。目と舌に赤いトウガラシを付けて完成です(写真:下左)。体験者の方が、”小蛇”を首に巻いていました(写真:下左)。自分を”災い”から守るためでしょうか。ご自宅のマンションの入口に飾るそうです。結構、集合住宅でも飾る方がいらっしゃるようです。”災い”が来ないことをお祈りいたします。
 こちらでも、雪にもかかわらず体験です。お聞きすると、初めから「商家の町並み」「木工所」でのこの「お箸作り」の体験を目的に来館されたそうです。雪にも負けないで、ご来館ありがとうございます。息子さんも、なかなか”鉋(かんな)”の扱いが上手で、いい太さの”マイ箸”ができたようです。
 こちらでも、外は雪が降る「商家の町並み」「本・瓦版の店」の店先で、「多色刷り」の体験です(写真:上左)。”版木”に色をのせ(写真:上右)、”見当”をしっかり合わせ(写真:中左)、”バレン”で摺ります(写真:中右)。別の体験の指導で来館の”摺り”の「松崎啓三郎」さんが、仕上がり具合を確認して「”ゆっくり”では、色が乾いてしまします。”手早く”やるのが”コツ”ですよ」と、アドバイスしてくれて”お手本”です(写真:下左)。この日の”絵”は、まさにこの日のためのような「雪を被った茅葺農家と赤い実を付けた南天(ナンテン)」でした。色をのせたり、見当を合わせたりで、指先がかなり冷たかったと思いますが、「先生」いい作品ができたと思います。
 そんな「雪を被った茅葺農家と赤い実を付けた南天」を「房総のむら」で探してみましたが、見つかりませんでした。”南天”と”茅葺農家”は当然あるのですが、残念ながら”南天の赤い実”が残っていなかったのです。今回の多色刷りの風景は、もう少し早い時期に雪が降れば「房総のむら」でも見られるのです。残念。
 寒い雪が降る寒い日ですが、「商家の町並み」の「小間物の店」の暖かい部屋の中では「刺子(花ふきん)」作りの体験です。”藍染”や”草木染”した綿布に、色糸で模様を刺して”花ふきん”を作ります。今回は、少ない模様ですが、長時間をかければ布全体に”刺子”をするような絵柄も作れますね。常連さんたちに混じって、「多色刷り」の体験をされていた「先生」もいらしゃいました。「房総のむら」の体験を、是非子どもさんたちに教えてあげてください。今度は、子どもさんたちを連れて「刺子」の体験においでになってはいかがですか。

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