「商家の町並み」「呉服の店」の体験には、「藍染」「型染」「草木染」「和裁」などがあります。それぞれに初心者から上級者のレベルまでありますが、紹介するのは「上級者の草木染レベル4(最上級)」です。今年は、館内で採集した「シラカシ」で、やや薄手の麻布(約2m×1.2m)の染色を行いました。写真は、染色後の色合いサンプルです。手順は、大きく①布の精練・デザイン ②染料準備 ③染液煮出し ④⑤染色・媒染となります。指導は、「安井永子(のりこ)」さんです。
11月16日・17日 ①「デザイン」:こちらは、上級者コースですので、ただ染めるだけではなく、染め上がった「生地」をどう使うか(飾り・衣類)も考慮して、どのような模様をどの辺に入れるかを”デザイン”して、「根締め絞り(摘まんだ布の根元だけに糸を巻く)」「巻き上げ絞り(摘まんだ布の上部まで糸を巻く)」の技法で染料を染み込ませたくない部分に糸を巻いていきます。時間がかかる作業です。
同日 ③「染液煮出し」:沸騰してから20分間煎じ、「笊」で濾して「シラカシ」の染料ができあがりました。これが一番液で、一番液をとった染材(シラカシの葉)で二番液もとりました。「シラカシ」の染料は、濃い茶色・コーヒーの色のようでした。
同日 ④「染色」:そのあとで、そのまま鍋に移し「煮染」し、鍋から取り出したら再び”たぐり”を繰り返します。生地の色が少し濃くなってきましたか。この工程を繰り返すことで、「色が丈夫になる」とは「安井先生」の言葉でした。染めた色が落ちにくいなる、褪めにくくなるという意味だそうです。説明されると言葉がわかるような気もしますが、伝統的な染色技術を会得した人だから言える表現ですね。伝統の真骨頂ですね。
12月7日 ⑤「媒染」:今回は、「アルミ」と「おはぐろ鉄」で「媒染」しました。鉄で「媒染」した方の中には、さらに「石灰」で「媒染」された方もいらっしゃいましたが、この際に、水道水には薬品が含まれていることから、色が落ちたり、変色することもあるので、”井戸水がよい”とのことで、水道水ではなく「房総のむら」の井戸水を使用しました。媒染後、よく水洗いし、もう一度元の染液に戻し煮染します。
12月8日 前日染めた布をもう一度新しい染駅で煮染めしました。染め上った布は、模様のために絞り上げていた糸を外します。色が染みないように糸をきつく巻いていたので、この作業は根気がいる作業のようで、作業中声が出ていた体験者の皆さんもこの作業の時ばかりは無言でした。
同日 ”絞りの糸”が解かれた生地が干されていました。草木の染料で染めただけでは、色が落ちてしましますが、「媒染」することで、繊維に付着した染料が固着します。また、金属などで「媒染」することで、染料が化学反応をおこし発色して、色が変化します。
同日 最後に、出来上がった”作品”を前に、「安井永子」先生から講評をいただきました。皆さん、ほぼ希望とおりに染め上がったようで、満足していただけたようです。この生地を使って、「壁掛け」「洋服」などにするそうです。先生からは最後に「色が落ち着くまで、少し寝かしてください」とのことでした。
今年の「草木染」は、「シラカシ」で染めましたが、使用する「媒染剤」によって色合いも違ってきます。この色は何色というのでしょう。「蒸栗色」「胡桃色」「絹鼠」?でも、落ち着くとさらに色合いは変わるのでしょうね。化学染料で染めた横文字の色名ではない、まさに”和”の色名が合う、自然の風合いの色ですね。淡い色合いから、やわらかな”温かみ””涼しさ”、”やさしさ”も感じます。体験者の皆さん、5日間お疲れさまでした。いやいや、まだこの生地を仕立てる作業が残っていましたね。頑張ってください。
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