2021年8月21日土曜日

紅花と紅餅

皆さんは紅花という花をご存じでしょうか?

紅花とは、黄色・紅色の染料や紅花油(サフラワー油)になる花です。

原産地は、中央アジアかエジプトのナイル川流域あたりだと言われています。布を染める染料や化粧の紅としてさかんに栽培されていました。

今回は紅花(べにばな)と紅餅(べにもち)作りについて紹介します。

 

この紅花を材料に作ったものが紅餅です。
紅餅とは、紅花の紅をねり出すための加工法のひとつで、紅花を発酵させたものを搗(つ)いて、煎餅のように薄く延ばし、乾燥させたものを指します。このように加工することで、効率よく紅の色素を取り出すことができます。摘んだ花を乾燥させただけの乱花(らんか)よりもかさばらず、「200年、300年もつ」と言われるくらい非常に長持ちします。

[紅餅の作り方]


①収穫した紅花を発酵させます。

 (左 これから発酵させる紅花/右 23日発酵させた紅花)


②発酵させた紅花を搗きます。

③絞るようにして水分を取り除きます。

 発酵して出た汁も染料になります。

  亀裂が入らないように形を整えます。

 一週間ほど乾燥させて完成です。

 乾燥前と比べて一回り小さくなりました。

⑥紅餅を作り終えた後の手です。

 はじめは黄色に見えますが、時間が経つと空気に触れた紅の色が発色します。


作業工程から、紅餅は時間と手間をかけて作られていることがわかります。

また、紅の色素は花びら1キログラムからわずか35グラムほどしか取り出せないため大変貴重なものであったことがわかります。江戸時代においても紅餅は高級品で、「米の百倍、金の十倍」といわれていたそうです。そのため、紅染めの着物は限られた人しか着ることのできないものでした。

江戸時代になると栽培地が全国各地に広がり、中でも出羽の国(現在の山形県)の最上川流域の平野は紅花の一大産地となります。その質の良さから「最上紅花」として全国に知られていました。

演目にはありませんが、下総の農家では木綿糸の染料にするために紅花を育てて紅餅を作っています。作った紅餅の一部は下総の農家の機小屋で展示をしています。

(現在は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、機小屋の中にはお入りいただけません。観覧をご希望のお客様は、職員にお声がけください。)

(そ)


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