2023年4月15日土曜日

水口祭り

 本日4月15日、上総の農家の水田で水口祭り(みなくちまつり)の展示がおこなわれています。

この行事は稲の種蒔きが終わった後、稲の苗が無事に育つように祈る祭りです。
種蒔き後の苗代(稲の種子をまき、一定の大きさの苗に育てるための田)に、供え物をして稲の発育と成長の無事を祈ります。


当館では名称を代表的な「水口祭り」としていますが、県内では「種蒔きびやり」「たなどいまつり」と呼ぶ地域もあるそうです。本展示では千葉県大綱白里市砂田(いさごだ)地区の農家での行事を再現しています。



本日は、当館の体験演目で使用している田の種まきが終ったあとに再現展示を組みました。
むらの職員の皆さんが忠実に再現していきます。


あいにくの雨でしたが、多くの方に見学にお越しいただいたきました。
展示の完成後、当館職員から展示解説もおこないました~


上の写真のようにツットコ(稲わらのつつみ)に入っているのが焼き米です。
発芽のために水につけておいた種籾を一度煮て乾かし、殻を外して煎ったものです。その香ばしい香りで鳥を引き寄せて餌にすることで、苗代の種子を守る意味があったと考えられています。

地面にはお米も供えられています。


また聖域を示す意味があった正月飾り。これが特に今年の見どころ!
下に垂らされている藁の束が今年は13本あります~
これは今年が太陰暦(明治初期まで日本で使われていた暦)の中でうるう月がある年にあたることから13本になっていて、昨年や来年は12本なのです。


この空に伸びる竹には田の神が降りてくる依り代(神様が降りてくるときの目印)だったそう。
こうしてみていくと、こうした稲作儀礼のひとつに、人々のささやかであるけれど強い願いが込められていることがみてとれますね。

今年度の「水口祭り」展示は本日限りですが、房総のむらではこうした生活歳時記に関する再現展示を、数多く開催しております。
四季折々何度でも楽しめますので、ぜひスケジュールをチェックして、多くの展示を観に来てくださいね~!

(嶽)

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