2022年6月29日水曜日

約120年に一度しか見られない花

 「房総のむら」の旧平野家住宅で、クロチクの花が咲きました。

(以下、千葉県立中央博物館 植物学研究科 天野誠 上席研究員からコメントをいただきました。)
 クロチクが含まれるマダケ属は、数十年から約120年おきに一斉開花して、株全体または地上部が枯死する習性があります。クロチクの前回の開花は20世紀初頭に記録されています。おおよその周期の120年に近づいています。変種のハチクは、1903から1912年に咲いた記録があります。近年では2020年に開花しています。インターネットを調べてみると、クロチクは、各地で開花しているようです。これは、各地のクロチクがクローンであるためと考えられます。いずれにしても一生に一度ものの現象です。ぜひ、一度ご覧になられていかがでしょうか?


 6月29日(水)現在、クロチクの花を確認することができましたが、枯れてしまっている部分もありました。花を見ることができる期間はそれほど長くないと考えられます。
 なお、館内の動植物の採集は禁止されています。また、写真撮影する場合は周囲の方へのご配慮をお願い致します。(ま)

2022年6月25日土曜日

上総の農家「わら草履」

  上総の農家では6月25日(土)にわら草履の実演を行いました。稲わらを草履編み台と呼ばれる台に掛けて、鼻緒用の布を稲わらに結びながら編んでいきます。草履が出来上がるには、だいたい半日ほどかかります。


 

草履は、主に歩くために作られたものであり、自分たちで草履を作成していたそうです。また、地方によって大きさが様々なものがあり、寒い北海道では長さや幅が大きくなり、温暖な九州地方では、小さくなる傾向があります。他にも、地方によっては災い避けとして村境に大きな草履を吊すこともあります。                               




むらびとへの道⑨ 上総掘り1

みなさん、こんにちは。骨子です☆

関東は、梅雨が明けてしまったかのような暑さですね。

商家の店先のあちこちに、草花が生けてありました。

目だけでも涼んでいただこうという商家レディの心配りですね☆



さて、房総のむらでは7月16日(土)から

トピックス展「上総掘りでホリヌキ井戸を掘る」

を開催します。

上総掘りは、明治中期頃(明治20年代)に上総地方で考案された井戸掘り工法で、

国の重要無形民俗文化財にも指定されている、すごい技術なんです!

この上総掘りの技術を用いて房総のむら内に新しく井戸を掘削し、

その作業工程を公開することで、上総掘りの技術と文化を理解していただこうというのが

この展覧会の趣旨です。

 

トピックス展開催に向けて着々と準備が進められ、プレイベントも行われています。

今日はその中の一つ、講習会「上総掘りの構造の概要と竹割り」が行われました。


上総掘り職人の田中伸一氏と仲井克己氏の指導の下、竹を割り、竹ヒゴを作る準備をしました。

長さのある竹を、真っすぐに割り、きれいに整えていくのは、なかなか難しい作業です。

今回の作業では、むらの鍛冶屋が製作した道具も登場しましたよ。



せっかくなので、親方の田中氏に手を見せていただきました。


骨子)上総掘り職人としての手の特徴はありますか?

親方)俺、職人じゃないから・・・

骨子)えっ、そうなんですか?そういわずに、上総掘りをやっている人ならではの

   病気とか疾患とかないんですか?腰痛持ちとか・・・

親方)ない。

チーン・・・ インタビュー終了。

 

仲井氏によると、現在は機械掘りが主流であり、伝統的な上総掘りではとても食べていけないのだとか。

上総掘りは、技術というより知識と経験がなにより大切なので、

職人としての身体的特徴はない、とのことでした。

これはこれで、興味深いですね。

 

上総掘りに関する講習会・体験は今後も行われますので、興味のある方は、

館のホームページでご確認下さいね☆(骨) 



2022年6月23日木曜日

むらの花だより

 房総のむら自然ガイドボランティアさんからの花情報です。(風)

●観察日 令和4年6月17日(金)

●観察者のコメント

・アジサイは、房総のむらではこれからが本番です。

・ウツボグサが咲き始め、その隣でヒメヤブランが葉陰でひっそりと咲いています。

・ムラサキシキブが盛んに咲いています。

・ホタルブクロは、武家屋敷の生垣の下と木戸前で咲いています。

・本来、水気の多い所に生えるハンゲショウですが、上総の農家では土蔵裏の花壇で見られます。

・オオバノトンボソウは、今年はあちらこちらで多く見られます。まだツボミです。花の姿は蜻蛉(カゲロウ)の姿にたとえられています。

・タイサンボクは盛りを過ぎましたが、まだツボミのものがあります。

・ネジバナが、上総の農家の門前の芝の中に沢山咲きました。



●観察された植物と場所 (◎見頃の花)

・ガクアジサイ(上総の農家の畑) ・アジサイ(上総の農家の畑) ・ガクアジサイ(上総の農家の畑) ・ヤマアジサイ(上総の農家) ・ガクアジサイ(堀割) ◎ムラサキシキブ(下総の農家の田んぼ) ◎ホタルブクロ(武家屋敷木戸前) ウツボグサ(水車小屋前) ◎ヒメヤブラン(水車小屋前) ◎ハンゲショウ(上総の農家) ・サカキ(上総の農家) ・オオバノトンボソウ:ツボミ(炭焼き小屋・竹林) ・タイサンボク(安房の農家) ◎ネジバナ(上総の農家長屋門) ◎ビョウヤナギ(武家屋敷) ・ヒメコウゾ:果実(竹林の坂) 


2022年6月19日日曜日

安房の農家 「バッチ笠」作り

 

 安房の農家では6/18、6/19に「バッチ笠作り」の実演を行いました。ハチクという竹の皮を糸で縫い、笠の形にしていきます。笠の内側と笠の上に笠の骨となる竹ひごを入れ、竹の皮を上下でサンドするようにして、縫い付けます。

 慣れている人では、1日で完成するそうですが、大体は2日で完成するそうです。「バッチ笠」の由来は、雨が笠に当たるとバチバチと音がするところから「バッチ笠」という名前になったと言われております。


 

 笠は日本全国で様々な形態があり、安房の農家で行われている「バッチ笠」のような、竹の皮を縫って作られるものや稲藁等を編み、笠を作る方法の他、時代劇に出てくるような、スゲを使い笠にする方法もあります。


むらびとへの道⑧ むらびとの手1

みなさん、こんにちは。骨子です☆

今日は暑いですね。

房総のむらの堀割では、コイたちが涼しそうに泳いでいました。



さて、骨子の変態的趣味の一つに、「人の手の観察」があります。

手には、その人の性格や人生、生き方があらわれているように思います。

むらには、色々な職人さんや専門家さんがいらっしゃるので、

観察フィールドとしては絶好の場なんです!

(さらに嬉しかったのは、むらには、この趣味に共感してくれる変態仲間がいたこと!!

プロの手を拝見できる機会なんて、そうそうあることではありません。

今日もむらのあちこちを回り、その仕事ぶりと、

そのお仕事ならではの手を観察させていただいちゃいました☆

 

この手は、どんなお仕事をしている人の手だと思いますか?

ヒントは、指の第一関節のところにできているタコです。



これは、むらびとへの道④で紹介した、

浮世絵界のレジェンド☆江戸木版画浮世絵摺師の松崎啓三郎先生の手なんです。



手の指のタコは、バレンで摺る際に当たるのでできてしまうとのこと。

摺りの作業は力が必要で、摺師の腕はたくましいんですよ。

先生は、手のひらにもタコがあり、これは紙を切るときに刃物が当たるから、なんだとか。

でも、絵の具を版木に載せ、刷毛でのばすときの手は、驚くほど優し気で、色っぽいんです!

皆さんも匠の手を見に、房総のむらにいらっしゃいませんか☆(骨)


2022年6月17日金曜日

むらの花だより

 房総のむら自然ガイドボランティアさんからの花情報です。(風)

●観察日 令和4年6月10日(金)

●観察者のコメント

・ドクダミの花が先週に引き続き見頃です。花弁に見える4枚の白い部分は、花弁ではなく「総苞片」といいます。本当の花の部分の写真を掲載しました。

・今年、初めて観察されたのは、サカキ(本サカキ)の花と葉が白くなり始めたハンゲショウです。

・コウガイビルを何匹か見つけました。コウガイとは「笄」と書き、髪飾りの笄(かんざし)のことです。害になる生物ではありません。



●観察された植物と場所

◎ドクダミ(むらのあちらこちら) ◎ホタルブクロ(武家屋敷周囲) ◎ビョウヤナギ(武家屋敷) ◎ムラサキシキブ(武家屋敷) ◎ナス(上総の農家の畑) ・ブドウ:果実(上総の農家) ・ハンゲショウ(上総の農家) ・ホオズキ(上総の農家) ・コウガイビル(水車小屋周囲) ・水田:苗(水車小屋近く) ・オカトラノオ(水車小屋周囲) ◎タイサンボク(安房の農家) ・ハマナス:果実(下総の農家) ◎ニガイチゴ:果実(安房の農家の外) ・サカキ(下総の農家) ◎シモツケ(武家屋敷ほか)


2022年6月11日土曜日

上総の農家「じゃがいも掘り」体験

 

上総の農家では、6月11日~12日に「じゃがいも掘り」体験を行いました。

じゃがいもは17世紀にオランダ人によって、インドネシアのジャカルタから渡来してきました。江戸時代、飢饉の際に、飢えを凌ぐ作物として広まったと言われております。江戸時代のじゃがいもの呼び名は様々なものがあり「馬鈴薯」、「ジャガタライモ」等の名称があります。また、当時はトラクターがないため、万能鍬と呼ばれている、先が3、4に分かれている鍬を使用し、じゃがいもを掘り起こしていました。

上総の農家で栽培しているじゃがいもの品種は「男爵いも」と「キタアカリ」の2種類です。「男爵いも」の名称には諸説ありますが、明治時代頃に北海道で農場主をしていた、川田男爵により日本に普及されたと言われております。

今年はじゃがいもの出来がよく、茎を引っ張ると、大小のじゃがいもが沢山出てきて、体験者の方々はとても楽しまれている様子でした。



2022年6月10日金曜日

むらの花だより

 房総のむら自然ガイドボランティアさんからの花情報です。(風)

●観察日 令和4年6月3日(金)

●観察者のコメント

・ドクダミの花の群生は一番見頃の時期です。

・梅雨を予感させるホタルブクロやアジサイなどの花が咲き始めました。

・ユリノキの花が咲いています。


●観察された植物と場所(◎見頃の花)

◎ドクダミ(むらのあちらこちら) ◎ホタルブクロ(武家屋敷の垣根) ◎ノアザミ(上総の農家の田んぼ周辺) ◎スイレン(上総のため池) ・ツユクサ(竹林の坂) ◎クララ(旧学習院初等科正堂脇) ・アジサイ(堀割広場) ◎ユリノキ(旧学習院初等科正堂脇) ◎ダイオウショウ:松ぼっくり(旧学習院初等科正堂脇)

2022年6月9日木曜日

むらびとへの道⑦ 撮影の立会い

みなさん、こんにちは。骨子です☆

いよいよ関東も梅雨入りしましたね。

雨上がりに、キレイなものを見つけました。



さて今日は、千葉県の広報番組「ウイークリー千葉県」の撮影に立会いました。

番組では、6月15日~8月31日に実施される

「楽しく集めよう!ご当地キャラ♪スタンプラリー印旛2022」

の様子を紹介するとともに、

房総のむらでの体験の様子も紹介いただけることになっています。


リポーターの春元ゆなさんが、お箸づくりに挑戦!

お箸づくりは、木を削って箸に仕上げるだけの単純な作業ですが、

カンナやノコギリなど、基本的な大工道具の使い方を学ぶことができます。

使い慣れない道具に苦戦する春元さんの様子が、とても可愛かったです♪

完成したお箸は、スタジオで披露してくださるそうですよ。

 

「ウイークリー千葉県」はチバテレビで毎週土曜22:0022:15に放送中です。

房総のむらの回は6月18日放送予定ですので、お見逃しなく☆(骨)


2022年6月3日金曜日

安房の農家「端午の節供」

 


 安房の農家では、旧暦の5月5日(子どもの日)前後に「端午の節供の祝い膳」の展示を行っています。

千葉県の端午の節供は、菖蒲と蓬を束ねて屋根のひさしにさして下げる他、神棚にも供えたりしました。また、男の子がいる家では、武者人形を飾り、鯉のぼりを立てました。九十九里地方では、子どもの成長を願い袖凧と呼ばれる、独特な凧を揚げたりもしました。

特に初節供は大事にされており、近親者からご馳走や武者人形や鯉のぼりが送られました。

 


   展示されている祝い膳

 祝い膳の品目は、巻き寿司・太巻き寿司・カラナマス・祝い用の煮付け・お吸い物・柏餅です。祝い用の煮付けは、食紅で赤く染められております。


2022年6月1日水曜日

むらの花だより

 房総のむら自然ガイドボランティアさんからの花情報です。(風)

●観察日 令和4年5月29日(日)

●観察者のコメント

・シモツケの花が上総の農家横や石造物展示場所で咲いています。

・アジサイが咲き始めました。

・アゼムシロが下総の農家の田んぼで咲き始めました。

・スイレンが上総のため池で沢山咲いています。

・大きな花のタイサンボクが、安房の農家横で咲き出しました。

・小さな野草のコナスビやキキョウソウの花も道ばたで咲いています。

・カラタネオガタマの花はそろそろ終わりですが、まだ良い香りを放っています。

・ヤマユリの草丈が目立つようになり、ツボミを持ったものもありました。



●観察された植物と場所(◎:見頃の花)

◎シモツケ(上総の農家横) ・ガクアジサイ(下総の農家横) ◎コバノズイナ(安房の農家) ◎タイサンボク(安房の農家横) ・イボタノキ(資料館への道) ・アゼムシロ(下総の農家の田んぼ) ・カラタネオガタマ(下総の農家) ◎ザクロ(下総の農家横) ◎ノアザミ(水車小屋前) ・ハマナス(下総の農家) ◎スイレン(上総のため池) ◎ナワシロイチゴ(上総の農家の田んぼ水路) ◎ニガナ(草木の観察路) ◎コナスビ(草木の観察路) ◎キキョウソウ(下総の農家の田んぼ) ◎ドクダミ(上総の林ほか) ◎ハクチョウゲ(下総の農家前の生垣) ・ヤマユリ(下総の林ほか)