2018年9月7日金曜日

白露(二十四節気)草露白(七十二候)9月8日~12日 ”わらぞうり” 自然が作る不思議な形 再びの”ヤマホトトギス” 絶滅危惧種”マヤラン”

 9月になって、やはり台風がやってきましたね。それもとてつもない強い台風ですね。幸いに「房総のむら」では強風が吹き荒れた程度で済みましたが、被害に見舞われた皆様にはお見舞い申し上げます。さて、夜になると虫たちが集(すだ)くようになり、二十四節気は「白露」、七十二候は「草露白(くさのつゆしろし)」になります。まだ、露が降りるという感じではありませんので、このところかなり増えてきている”ツユクサ(露草)”です。
 「上総の農家」では、刈り取った”稲”を干していました。先に”お正月飾り”用の”青刈りした稲”の”天日干し”を紹介しましたが、こちらは”わらぞうり”などを作る材料となる”稲藁(わら)”です。現在、一般の農家では”稲刈り”はコンバインで行うことが多いので、”稲刈り”とともに”天日干し”されることなくそのまま”脱穀”され、”稲穂”はその場で細かく砕かれてしましますので、長い状態の”稲わら”はなくなってしまします。「房総のむら」では、昔ながらの”わらじ”や”わらぞうり”、それに”災い除け”などの”わら細工”などに使うため、”手刈り”や”古いタイプの”稲刈り機”を使って、長い状態の”稲わら”を確保しています。もちろん”天日干し”するためにもこの長い”稲わら”は必要です。”青刈り”した”稲”は”芯”があまりしっかりしていませんので、”山形”には立てにくいのですが、成熟するまで育てた”稲”はしっかりしているので、このように立てて乾燥させることができます。なんともいい風景でしょう。
 「上総の農家」の「わらぞうり」作りの実演です。上で紹介した”稲わら”を使って作ります。「房総のむら」の”わらぞうり”は、”肉刺(まめ)”ができたり”指の股”の部分を傷つけないように、足に当たる部分には布を使っています。①まず初めに、”わらぞうり”の足をのせる部分の芯になる”細い縄”と、数本のワラを束ね布でくるんで”鼻緒”になる部分を作ります(写真:上左)。②そして、この縄を”網台”に引っ掛けて”わら”を編みこんでいきます(写真:上右)。③足の部分ができたら、裏側にはみ出した余分な”わら”は切り整えます(写真:中左)。④最後に”鼻緒”の指で挟む部分を大きな針状の竹の”紐通し”で表から裏に通し(写真:中右)、裏側で抜けないように縛れば(写真:下左)完成です(写真:下右)。”わらじ”や”わらぞうり”に大変興味があるとのことで、熱心に実演を見ている方がいらっしゃいました。是非、体験してみてはいかがですか。
 ”フウセンカズラ(風船葛)”にはまだ花が残っています(写真:上左)が、先に”風船”になったものは枯れてきて(写真:上右)、茶色になって”カラカラ”になったものもあります(写真:下左)。ということで、この”フウセンカズラ”の”種”におもしろい模様があるということで”種”を取り出してみました(写真:下右)。やや!、真っ黒な球形の種に白く”ハート形”の模様があるではないですか。見ようによっては、目・鼻はありませんが”猿の顔”にも見えませんか。自然は面白いものも作るものですね。
 ”タマゴタケ(卵茸)”、”カラスビシャク(烏柄杓)”などに続いて、こちらも今年二度目の登場になります、”ヤマホトトギス(山杜鵑)”がまた咲きました。薄暗い場所にひっそりと咲いています。横から見ると噴水のようです。不思議な形ですね。
 ”マヤラン(摩耶蘭)”絶滅危惧類です。「千葉県立房総風土記の丘」時代から、この地域の山野草を見られている方から「房総のむらにも”マヤラン”が咲いているのではないですか」と聞かれ、その時には、「ないようですと」とお答えしたのですが、なんとその翌々日、ボランティアさんから花が咲いていることを教えられました。広い広い「房総のむら」貴重な植物もあります。非常に珍しい花を見ることができました。ありがとうございました。なお、この花は菌類に寄生して生活する菌中従属栄養植物ですので、株だけを採取しても栽培はできません。今の場所で咲いている環境が重要なのです。見かけたらそっとしておいてください。
 ”オケラ(朮)”の蕾はネット状です。花が咲くにはもう少し時間がかかりそうです。こちらも不思議な感じがする形状です。
 「房総のむら」でもやっと”早生(わせ)”の稲刈りもはじまりましたが、稲刈り後の田んぼやその周辺などで見られる小さな草花です。つやのある細い葉に小さな白い花は”ザクロソウ(石榴草)”(写真:上左)、田の畦には”アゼムシロ(畔蓆)”(写真:上中)、”アオツヅラフジ(青葛藤)”(写真:上右)、”カタバミ(片喰)”(写真:中左)、環境省では準絶滅危惧種の”ウスゲチョウジタデ(薄毛丁字蓼)”(写真:中中)、”タカサブロウ(高三郎)”の花と若い果実(写真:中右)、”ヒヨドリジョウゴ(鵯上戸)”(写真:下左)と似ている花の”イヌホオズキ(犬酸漿)”(写真:下中)、最後は”カナムグラ(鉄葎)”(写真:下右)です。
 畑や田んぼのまわりの草花の続きです。”ヤマハッカ(山薄荷)”(写真:上左)、”トキワハゼ(常磐爆)”(写真:上中)、春から咲いている”タネツケバナ(種浸け花)”(写真:上右)、葉が少し細い”アメリカアゼナ(アメリカ畦菜)”(写真:中左)、葉が少し丸い”タケトアゼナ(タケト畦菜)”(写真:中中)、葉が細く長い”アゼトウガラシ(畔唐辛子)”(写真:中右)、細い葉が左右に伸びる”フタバムグラ(双葉葎)”(写真:下左)、”ネム”の木の葉のような葉に黄色い花は”クサネム(草合歓)”(写真:下中)、”オオニシキソウ(大錦草)”には実も付いています(写真:下右)。
 ”コムラサキ(小紫)”が淡い紫色の実を付けています(写真:上)。”ベニバナニシキウツギ(紅花錦ウツギ)”の実は”コマ”のようです(写真:中)。「武家屋敷」の”イヌマキ”の垣根をよく見ると実がついています(写真:下)。団子がふたつづつセットのようですが、先端の薄緑で白い粉を吹いているのが”種子”で、その基部も丸く膨らんでいます。始めは赤いですが熟すると黒くなってきます(写真:下中、下右)。おもしろい形ですね。
 ”銀河の渦巻き”のようなのは、”ウズグモ(渦蜘蛛)”類の網(蜘蛛の巣)です(写真:上左)。何のためにこんな形に糸を貼るのでしょうか。面白い形です。”エノコログサ”についているのは”ムモヘリカメムシ(蜘蛛縁亀虫)”のようです(写真:上右)。小さな小さな”ヤマトシジミ(大和小灰蝶)”です(写真:下左)。尾翼が2枚の戦闘機のような”イチモンジセセリ(一文字挵)”です(写真:下右)。

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