2018年5月30日水曜日

小満(二十四節気)麦秋至(七十二候)5月31日~6月5日 ”麦秋”に”さなぶり” ”オカトラノオ”咲き”ヤマユリ”情報 「むら」の”ピーターラビット”

 二十四節気「小満」の七十二候末候は、「麦秋至(むぎのときいたる)」です。”麦秋”とは、麦の穂が実り収穫の時期、麦にとっては収穫の秋(とき)ということです。季節の”秋”ではありません。ですから、”梅雨”の前の麦が熟し刈り取りのこの季節が”麦秋の候”となるわけです。写真は、「上総の農家」の”大麦”です。
 「上総の農家」でも、”麦”の刈り取りです。写真上は”大麦”の刈り取り直前(写真:上左)と、刈り取りのようす(写真:上右)です。下は、刈り取り前の”小麦”ですが、鳥たちに食べられないようにネットが掛けてありました(写真:下)。”パン”や”麺”などの原料になるのが”小麦”です。一方”麦飯”や”味噌”、そして”ビール”の原料になるのが”大麦”ですね。これは、”小麦”には”グルテン”という”タンパク質”が豊富に含まれているために、”小麦粉”に水を加えてこねると粘りが出てきて、”パン”はふっくらし、”麺”は細長くできるからだそうです。
 「商家の町並み」「菓子の店」の「黄味しぐれ」です。前回(大寒(二十四節気)水沢腹堅(七十二候))紹介した時は、「黄味しぐれ」の表面に乾燥させた”粉末状の乾燥餡”をまぶしましたが、今回は”大麦の粉(麦こがし)”をまぶしています(写真上方の焼き色が濃いもの、下方は何もまぶしていない「黄味しぐれ」)。菓子の指導の「大川功修」さんが、”麦秋”に合わせて考えてくれました。「大川」さんが、”麦こがし(”はったい粉”、”香煎(こうせん)”とも)”を味見させてくれました。昔、食べた味を思い出しました。詳細は、当ブログ「『黄味しぐれ』作り体験」をご覧ください。
 「農家」では”田植え”が終わりました。”コシヒカリ”に”マンゲツモチ”、”正月飾り”に使う”ヤマトニシキ”、それに昔からの品種も植えました(写真:上左)。以前は、”田植え”が終わると、農家では「さなぶり(早苗饗)」を行いました。「さなぶり」の「さ」は豊作をもたらす”田の神様”で、”田植え”が終わったので”神様”を天上に送る(「さ」がのぼる)ということだそうです。そのため、”田植え”が終わると、”荒神様(こうじんさま:火や”カマド”の神様)に”田植え”で残った”苗”などをお供えし、”苗”の生長と豊作を祈りました。今は、”田植え”は機械で行っていますが、それ以前はすべて手で植えていました。”水田”に大勢の人が並んで、腰を曲げて”苗”を植えていきます。しかも、数日かけて行われることもあり大変な重労働でした。ですから、そのお礼を込めて”田植え”を無事に終え神様に感謝するとともに、”田植え”に協力してくれた人たちにも感謝して宴会も行われたのが「さなぶり(早苗饗)」です。お疲れさまでした。「上総の農家」(写真:下右)と「下総の農家」(写真:下左と中)でも、”カマド”の上の”荒神様”に”田植え”の体験者によって”稲の苗”と”ぼた餅”が供えられました。
 「商家の町並み」「木工所」では「下駄の鼻緒すげ」の体験です。指導者は、成田山のお坊さんの履く下駄を作り続けている「岩舘和己」さんです。「岩舘」さんも、お父さんの代から「房総のむら」で指導をしていただいています。”鼻緒”の付けられていない”下駄の台”(写真:上左)に、お好みの”鼻緒”を付けます。「岩舘」さんから”鼻緒”の”紐”の結び方を教えていただいて、いざ体験です。前の”鼻緒”は、”紐”が抜けないように裏に大きな”結び目”を作り、後ろの”鼻緒”は、左右の”紐”をお互いに絡め、そこに”紐”を巻きつけていきます。「岩舘」さんに確認してもらいながらきれいに”紐”が巻けました(写真:中右)。ここまでできたら、”鼻緒”に足を入れて”鼻緒”の具合を確認し、長さを調整します(写真:中左、下左)。余分な”紐”は切り、前の”鼻緒”の結び目には”前金”を付けます。最後に、”台”を磨いて完成です。体験された方は、お祭りだけではなく、玄関に置いておいて”普段履き”にするとか。別な方は、長く愛用してきた”下駄”を持参しており、「岩舘」さんに修理方法も教えていただいていました。この体験者の方々は、普段から”下駄”を履いているんですね。ちなみに、写真の中断の”鼻緒”の文様は、”麻の葉”だそうです。”麻の葉”といわれて、”細かい幾何学文様”を思い浮かべ、”えっ?”と思いましたが、拡大するとこんな”シンプルな文様”にもなるのですね。日本の”伝統文様”をよくご存知のようでした。本人お気に入りの”鼻緒”を選ぶ楽しさもある「下駄の鼻緒すげ」の体験です。
 「商家の町並み」「畳の店」の「畳の敷物作り」の体験です。右手に”手当”をはめ、”ゴザ(茣蓙)針”で”肥後”産の”畳表”を”平刺し”し、”縁”を縫いつけ”花瓶敷”などに使える”畳の敷物”を作ります。ちょっとした”職人気分”を味わうことができますよ。”イグサ(藺草)”を織り上げて作る”畳表”ですが、かっては岡山県(備前)や広島県(備後)が主な生産地でしたが、現在は熊本県(肥後)で9割近くを生産しているそうです。
 ”アジサイ(紫陽花)”の季節です。関東地方も、もうじき”梅雨”に入ると思われますが、雨に似合う”アジサイ”の花が少しづつ増えてきています。館内の園路や「風土記の丘水生植物園」周辺など見所ですが、今年はどうでしょうか。
 ”オカトラノオ(丘虎の尾)”も花が咲きました。昨年は、ブログで6月11日に花が咲いたことをお知らせしましたが、今年は2週間くらい早いです。”花(花穂(かすい))”のようすを”虎の尾”に見立てた名前ですね。徐々に細くなった先端が”ひょいと”上がったあたりが、まさにそんな感じでしょうか。これから、館内のあちこちで”オカトラノオ”の群落が見られます。
 こちらは、「房総のむら」の”ヤマユリ”です。「穀雨 葭始生」に続き、今年2回目の”ヤマユリ”情報です。大きなものは、1m50cm程に伸びたものもあります(写真:左)。よく見ると、先端に小さな”花芽”ができているものもありました(写真:右下)。「房総のむら」の”ヤマユリ”は、毎年7月になる頃に咲き出しますが、今年の開花はいつになりなりますか?
 雨上がりの園路に、”またまた””ノウサギ(野兎)”が現れました。「下総の農家」から「農村歌舞伎舞台」に向かっていると、園路に一匹の”ノウサギ”です。ゆっくり近づきましたが気が付いたようで、「農村歌舞伎舞台」の方に向かって一気に駆け出しました。ところが、そちらから来館者の方が来たので、困ったように立ち止まってしまいました(写真:左)。そのあと、逆戻りして「下総の農家」の方にまた走ってきて、私の前でいったん止まりましたが(写真:右)、すぐに走りだし坂を下りたところで急カーブをして「水車小屋」の方には走り去りました。”ノウサギ”に”遭遇”した方が「人懐こい感じですね」「飼っているんですか」「かわいい」「いいものみた」と。「飼っているわけではないのですが、生息しています。時々見かけます。」(”ウサギ”の種類は違いますが)かわいい”むらのピーターラビット”です。”ブルーの上着”を着せてみたいです。もしかしたら、あなたも会えるかもしれませんよ。

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