二十四節気の「小満」は、陽気がよくなって、万物が成長する気が長じて、草木枝葉が繁る頃とのこと。そして、七十二候は「紅花栄(べにばなさかう)」です。「上総の農家」の”ベニバナ(紅花)”も大きくなってきましたが、まだ花は咲きませんでした。今年蒔いた”ベニバナ”はまだ小さいのですが、写真は昨年蒔いたものです。かなり大きくなってなってきましたので、”七十二候”に合わせて咲いてくれるかなと思っていたのですが、間に合いませんでした。もう少しなんですが。
その代わりでしょうか、同じ「上総の農家」の畑のすぐ近くに”ベニバナ”の色に似た色の”キンセンカ(金盞花)”が咲いています。11月中旬の二十四節気「立冬」の七十二候末候に「金盞香(きんせんかさく)」がありますが、その”金盞”は”スイセン(水仙)”とされています。その理由の一つは、”二ホンスイセン”の別名が”金盞銀台(きんさんぎんだい)”だからのようですが、11月には”スイセン”は咲きませんでした。”キンセンカ”は室町時代に渡来したとされるキク科の一年草で、秋の終わりごろから咲き始めるようですが、七十二候の「金盞」は”キンセンカ”なのでしょうか。
「商家の町並み」「酒・燃料の店」では、「杉玉作り」の体験です。指導は「吉野正美」さんです。店先に吊るされたばかりの”杉玉”は緑色ですが、やがて枯れてくると茶色になってきます。この色の変化が、新酒の熟成具合を示しているとか。「房総のむら」の”杉玉”も半年が過ぎて随分茶色になってきました。さぞかし”お酒”も熟成が進んだことでしょう。この”杉玉”、江戸時代には”酒屋”の看板に使われていたようですが、もともとは”酒の神様”に感謝を捧げるものとの説もあります。”杉玉作り”の体験は、「房総のむら」ではこの時期と年末に行っています。
「商家の町並み」では、指導者の方々が”職人の技”を披露していました。”木版画”の”摺り”の実演は「松崎啓三郎」さんです。まず、”版木”に”顔料”と”糊”をのせ、”ブラシ”で伸ばします(写真:上左)。浮世絵にみられる”グラデーション”は、この色の置き方で決まります。そして、”見当”に合わせて”紙”をのせたあとの”バレン”使いで決まります(写真:上右)。見ていたら、その”バレン”を”ほっぺ”につけました(写真:上中)。何をしているのかと思ったら、”バレン”に油分を与え滑りをよくするのだそうです。裁縫するときに”針で頭をかく”のと同じようです。”畳の縁”を付けているのは”畳職人”「米井 仁」さんです。”平刺し(ひらざし)”と呼ばれる作業で、糸を通した”畳針”を”畳”の下から刺し”畳”に”縁”を縫っていきます(写真:中左)。そして、畳屋さんといえば、この”ポーズ”でしょう。”肘をこすって糸を締め付け”ていきます(写真:中右)。この作業も機械化されているようで、こんな光景が見られるもの「房総のむら」ならではでないでしょうか。”桶職人”「萩原幹雄」さんは、”桶”の”タガ”にするための”竹”を削っています(写真:下左)。細く割いた”竹”を削っていくのですが、使用する道具は”カーブのついた鉈”のようなものです。”添え木”と一緒に使い、”刃”を一定の角度に保ち”竹”を引っ張りながら(写真:下右)、”竹”を薄くし、”角”の仕上げもこれで行っていました。素人にはできない技です。
「下総の農家」では「ボッチ笠作り」の実演です。今回は、普通のサイズよりも一回り小さな”ボッチ笠”です。なぜ、小さいのかといいますと、通常のサイズの”ボッチ笠”を作るには2日間かかりますので、体験者が1日でできるサイズとして、小さなサイズの”笠”も作っています。小さいお子さん用にはいいかもしれません。”ボッチ笠”の作り方については、当ブログ「穀雨(二十四節気)霜止出苗(七十二候)」をご覧ください。
「上総の農家」の”ジャガイモ畑”です(写真:上)。”花”がたくさん咲いてきました。”ジャガイモ”の収穫のタイミングは、”花”が咲き終わり、”葉”や”茎”が黄ばみだした頃だそうです。「房総のむら」では、6月9・10日、15・16日に収穫体験が予定されていますので、お楽しみに!”ジャガイモ”は、”種芋”を半分に切り、干して乾燥させたものを3月に植え付けました(写真:下)。
「安房の農家」の”タイサンボク(泰山木)”です。大きな”白い花”が咲いています。アメリカが原産で、明治時代に日本に入ってきた”モクレン(木蓮)”や”コブシ(辛夷)”の仲間だそうです。常緑の光沢のある”濃緑色の葉”の上に、”真っ白な大きな花”が印象的です。花は、最大で50cmにもなるそうで、国内の樹木の花としては最も大きいそうです。中央にはたくさんの”雄しべ”と”雌しべ”が集まって、円錐状についています(写真:右)。高いところに咲いていますから、上を見ていないと見逃がしますよ。
晴れた日に林の中で上を見上げると、緑色の”モミジ(紅葉)”が透けて光っていました(写真:上左)。まだ”実”が残っている枝もありました(写真:上右)。「風土記の丘」の”トウカエデ(唐楓)”は、高いところで分かりにくいのですが”実”がついています(写真:中)。名前のとおり、中国原産だそうです。開き切らない小さながたくさん咲いているのは、”ゴンズイ(権萃)”です(写真:下)。”ゴンズイ”は、”薪”以外に使い道がなく役に立たないことから、何の役にも立たない魚の”ゴンズイ”の名前が付いたとされる説もあります。秋には”赤い実”になります。
最近の”花”たちです。「武家屋敷」前の”クロバナキハギ(黒花木萩)”です(写真:上)。”ハギ”というと”秋の七草”の一つかと思いますが、今頃も咲くのですね。花の色が濃く、葉が”キハギ”に似ていることからの名前だそうです。「上総の農家」の”ムシトリナデシコ(虫取り撫子)”(写真:中)です。茎上部の葉の下からでる粘液に虫が付着することが名前の由来だそうです。こちらは、ヨーロッパ原産だそうです。”ムラサキツユクサ(紫露草)”です(写真:下)。”ムラサキツユクサ”の和名が付いていますが、アメリカ大陸原産だそうです。葯(やく)の基部からたくさんの”毛”がでています。午後には、花がしぼむ1日花ですが、次から次からよく咲きます。
最近出会えた”蝶”です。こちらも外来種の”ハルジオン(春紫苑)”で、蜜を吸っている羽根がかなり傷んだ”アオスジアゲハ(青条揚羽)”です(写真:上左)。ピンクの小さな花”オキザリス”にいるのは”ナミアゲハ(並揚羽)”です(写真:上中)。”キショウブ(黄菖蒲)”には”ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)”です(写真:上右)。”シロツメグサ(白爪草)”で蜜を吸っているのは”モンシロチョウ(紋白蝶)”ですね(写真:中左)。林の中の”ガマズミ(莢蒾)”には木漏れ日が差し込み”羽”が透けた”ヒメウラナミジャノメ(姫裏並蛇目)”がいました(写真:中中央)。葉の上で羽を大きく広げているのは”イチモンジチョウ(一文字蝶)”です(写真:中右)。”ドクダミ”の葉の上には”アカシジミ(赤小灰蝶)”です(写真:下左)。近くには”ウラナミアカシジミ(裏波赤小灰蝶)”もいました(写真:下中)。そして番外編ですが近くの「坂田ヶ池」で見た木に登る”クサガメ(草亀)”です(写真:下右)。
”トンボ(蜻蛉)”もかなり飛び回っていますが、標本箱に入っているのは、”オニヤンマ(鬼蜻蜒)”と”ギンヤンマ(銀蜻蜒)”です。といっても、これは”職人の技”の続きで、「房総のむら」の「鍛冶屋」で体験の指導もしていただいている「北島和男」さん(写真:右)が”鉄”で作った(羽根の透明な部分を除く)”トンボ”です。”鋏”の楕円形の握りの部分まで全て手造りする、「総火造り」ができる職人だからできる”仕事”です。「北島」さんは、「鍛冶屋」の指導の際にこのような、ご自分で作られた作品を展示してくれています。いかがですか、この”トンボ”が鉄でできているように見えますか。今にも、軽やかに飛び出しそうです。本当にすごい”職人の技”です。
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