今日は、本・瓦版の店で、江戸木版画彫師 永井沙絵子先生による「版木の彫り」、紙の店で江戸木版画浮世絵摺師 松崎啓三郎先生による「浮世絵の摺り」の実演がありました。
版木の彫りでは、まず、原図が書かれた和紙を、図の面にのりをつけ、版木側になるように接着し、和紙の裏側を丁寧に剝がしながら、時には油も使って、原図を見やすくしてゆきます。
様々な道具を使って、版木の絵柄を彫ってゆきます。
午前中の絵柄は、かわいい竜の絵。竜は来年の干支、体験演目「ポチ袋」のデザインに加わる予定です。
店先での実演で、道行くお客様も興味津々。
午後は、細やかな百合の花の絵柄を掘っていただきました。
細く細かな線、花の点々模様などの細部も漏れなく表現されていました。この絵柄を選んだ職員に「なぜこんな細かいものを?」と聞いたところ、この絵柄は浮世絵に使われた絵柄で、昨年はもっと細やかな図柄を、先生は彫られたとのこと。この百合の版木も次回の実演、9月30日(秋のまつり)には完成しそうとのことです。
本・瓦版の店の隣、紙の店では「浮世絵の摺り」の実演です。摺りでは紙の湿度がとても重要とのことで、用紙を挟む厚紙をときどき湿らせながら、摺りを行います。
色の調整は、摺りを見ながら濃さを調整し、
「のり」や「にかわ」、水で粘度も調整しながら、版木に顔料を塗ってゆきます。版木には、「けんとう」という部位があり、そこに合わせて用紙を置いて、何回も色を重ねて、摺ってゆくのですが、用紙の湿り気などを統一しないと、うまく色が重ならないそうです。色を重ねるごとに、ぼかしの部分など、歌川広重の浮世絵「名所江戸百景 蓑輪.金杉.三河島」のきめ細やかな色合いが再現されてゆきます。
後で本日作成した浮世絵をみると、鶴の羽などは、色を付けず、版木の凹凸を生かした、しゃれた細工もありました。(ひ)
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