ブログでは既に紹介されていますが、26日に雪が降りました。朝には、暗く重い雲が低く垂れこめ小雪が舞いました。夕方に再び雪が降りました(写真)が、その時に遠くの西の空には”夕日”があったようで、少し赤味を帯びた夕暮れに白い雪が舞いました。次の七十二候は、「大寒」の最後で「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」になりますが、今回は「房総のむら」の”雪景色”の紹介です。
26日の雪は、千葉県内でも限られた地域だけのようで、「房総のむら」周辺が一番降ったのかもしれません。もっとも「房総のむら」でも、かなり降ったというわけではありませんので、朝日が昇ると陽射しがあたったところから溶けてしまいました。26日朝の雪は、ほんと”小雪”が舞った程度で地面など一部にしか雪は残りませんでした。上空の暗く重い雲が雪を降らせたのだと思います(写真:上左)。27日の朝の”雪景色”は、「農家」の畑や田んぼと芝生や草地、それに茅屋根の一部に残っている程度で、所々黒い部分が見えました(写真:上左を除くすべて)。
「上総の農家」周辺の草花などの”雪景色”です。”コセリバオウレン(小芹葉黄連)”のまわりに雪が残っていました(写真:上左)。「風土記の丘」との間の池の”ヒメガマ(姫蒲)”の茶色の綿にも雪が被っていました(写真:上右)。”チャノキ(茶の木)”には陽射しがあたっていましたが、雪が少し残っていました(写真:下左)。落ち葉の上の雪も陽射しを受けて光っていました(写真:下右)。”雪景色”と呼ぶには少し物足りない、”淡い雪景色”でした。
26日午前中に火を入れた「上総の農家」の「炭窯」です(写真:上)。午後には”火止め”をして、翌日雪の日の朝には少し青味を帯びた半透明の煙が少し出る程度になりました(写真:中左)。それでも窯の中は、200度を超えています(写真:中右)。あまり燃えると、”薪”が”炭”にならないで燃え尽きてしまいますので温度を確認しながら”窯止め”をしました。”炭焼き”体験の方には、空いた時間に”ススキ(薄)”で少し小ぶりの”炭俵”を作っていただきました(写真:下左)。(奥で作っているのは”米俵”です)お持ち帰り用の”炭俵”は、4kgほどの大きさです(写真:下右)。体験者の方は、部屋の空気や水の浄化などにも使っているとのことでした。
今年も「下総の農家」では、”寒仕込み”の「味噌作り」の体験です。「下総の農家」の”味噌の作り方”については、今年と同じ二十四節気七十二候(「大寒 鶏始乳」)の昨年のブログで紹介しましたのでそちらをご覧ください。体験者の方々は、自分たちで”大豆”を潰し(写真:上左)、”味噌玉”を作り、容器に仕込みました(写真:上右)。写真中段は、”仕込んだ味噌”の上に”笹の葉”をのせて蓋をした、昨年の”仕込み”の最後の状況です(写真:中)。そして、写真下段は昨年度「房総のむら」用に仕込んだ”味噌”を開封したところです(写真:下)。蓋を開けると、灰色に変色した”笹の葉”が見えます(写真:下左)。その”笹の葉”を取り除き(写真:下中)甕のまわりにできた”カビ”を除去すると、おいしそうな匂いの”味噌”ができていました(写真:下右)。「下総の農家」では、この”味噌”を使って”味噌田楽”や”味噌汁”などを作ります。体験者の一人は、「「房総のむら」で”味噌”や”醤油”も作りますが、あっという間になくなってしまいます」と。自分で作った”味噌””醤油”をじっくり楽しんでいるかと思えば、「みんな食べられてしまう」のだそうです。
”寒中”の寒い日に「下総の農家」では、お正月の”鏡餅”や”大根”などがカゴに入れられて干されていました(写真:上左)。その中に、短冊状に切った”大根”も干されています。干し始めた時には”シャキッ”としていましたが(写真:上右)、日が経つにつれ水分が抜けて”しなって”きます(写真:下左)。さらに干すと、”しわくちゃ”になってきました(写真:下右)。この”大根”と”味噌作り”の材料を使った”房総の郷土食”を紹介します。
それが「とうぞ」です。「下総の農家」の「とうぞ(豆造)作り」についても、昨年のブログで紹介しましたが、意外と知らない人が多いようですので今年も紹介します。「とうぞ」は、「味噌」を仕込んだ時の「大豆」の”煮汁”や余った”麹”で作る”醗酵漬け物”です。作り方は、事前に食べやすい大きさに切った”大根”を天日に干して、しんなりした”切り干し大根”を作っておきます(写真:上右)。まず、甕に”煮大豆”(写真:上中)と”切り干し大根”を入れ(写真:中左)、そこに”麹”(写真:中中)、”塩”を加えて、最後に”大豆の煮汁”を入れ(写真:下左)かき混ぜれば(写真:下左から2枚目)仕込みは完了です。蓋をして冷所で保存すれば、5日ほどで”塩”がなじみ食べられます。あっさりしていて素朴な味ですが、”大豆”を使っていますので栄養は満点です。お酒の”つまみ”や暖かい”ご飯”に合います。ときどきテレビなどでも紹介される、”房総の郷土食”です。
写真は「下総の農家」の「とうぞ」作りの案内ですが、この案内を見た来館者の方が、「とうぞ」を「どうぞ」と読み違いたようで甕の蓋をあけて”味見”をしたそうです。”房総の郷土食”は、「どうぞ」召し上がれではなく、「とうぞ(豆造)」という名前なのです。
「総屋」2階では、「大道芸・伝統芸入門」の体験で「紙切り入門」を行いました。報告は、当ブログ「紙切り入門」もご覧ください。当日は、午前と午後の2回行いましたが大勢の方に体験していただきました。中には、この体験のために”myはさみ”を持参された方もいらっしゃいました。”紙切り”をご家族で体験されている方もいらっしゃいました(写真:中)。メキシコから短期留学中の学生さんも日本の”伝統芸”の体験です。”紙切り”に似たものは、メキシコにもあるそうです。はじめは不思議そうな様子でしたが、出来上がって大いに喜んでいただきました(写真:下)。
こちらは、「商家の町並み」「紙の店」の「季節の折り紙(節分)」です。”折り紙”の指導は、「日本折紙協会」の会員で、”折り紙”の著作もある「長谷川太市郎」さんです。この日の「季節の折り紙」は、”節分”が近いということで”鬼”です。出来上がった作品は、「紙の店」で漉いた”和紙”に張り付けて完成です。「長谷川」さんの指先を見ながら、子供さんたちが頑張って”鬼”を作っていました。
「下総の農家」では、二種類の「唐辛子の飾り作り」の体験です(写真:上左)。ひとつは、”ワラ”を綯って”繩”を作り(写真:上右、中)、その”縄”をリース状にして、”縄”の間に”天日干しした唐辛子”を挟みました(写真:下右)。もう一種は、”唐辛子”を挟むように”ワラ”で編みこんで”帯状”にしました。どちらも真っ赤な”唐辛子”と”ワラ”がよく合います。台所にぶら下げておいて、ここから”唐辛子”を抜いて料理に使うのもいいです。部屋に飾っておくと”魔よけ”にもなりますかね。
そして、こちらは「商家の町並み」「薬の店」の「七味唐辛子」作りの体験です。「七味唐辛子」は、その名の通り七種類の材料を使いますが、七種類の材料は作り手によっても違いがあるようです。「房総のむら」の「七味唐辛子」の材料は、”トウガラシ(生薬名:(以下同じ)唐辛子)、”サンショウ(山椒)”、”ミカン(陳皮(ちんぴ))”、”ゴマ(胡麻)”、”ケシ(罌粟(おうぞく))”、”アサ(麻子仁(ましにん))”、そして生の”トウガラシ(唐辛子)”の七種類です。”(乾燥)トウガラシ”、”ミカンの皮”、”サンショウ”は、七輪の上の”焙烙”で軽く炙った(写真:上左)後に、”薬研”で粉にし(写真:中左)、小さな”ふるい”にかけて粉を均一にします(写真:中右)。”ゴマ”や”アサの種”、”ケシの種”も”焙烙”で炒って香りをひきたたせます。出来上がった七種の材料は、スプーンで調合します(写真:下)。
七種類の材料を器に集め(写真:上左)、それを混ぜ合わせて出来上がりです(写真:上右)。調合した”七味唐辛子”をお持ち帰り用の袋に詰めて体験の終了です(写真:中)。とにかく香りのいい「むらの七味唐辛子」です。一度体験してみてください。市販の”七味唐辛子”が食べられなくなりますよ。さて、ここでクイズです。スタッフ:「焙烙で炒った乾燥トウガラシと生のトウガラシではどちらが辛いでしょうか」。体験者:「生のトウガラシの方が辛いでしょう」。スタッフ:「では、体験していただきましょう。初めに生のトウガラシです」。体験者:「辛いですね」。スタッフ:「次に焙烙で炒ったトウガラシです」。体験者の方は口に入れてすぐには反応がありませんでしたが、少し経つと「カラッ!、辛い!、辛い!」と顔の表情も一変しました(写真:下左)。「七味唐辛子作り」の体験は三人でされていたのですが、その間にもう一人のお友達は「鍛冶屋」の体験で”ペーパーナイフ”を作ってきた来たとのことでしたので登場していただきました(写真:下右)。
「商家の町並み」「紙の店」では、「和紙の材料作り」の実演です。「和紙」の材料となるのは、繊維が長くて強い”楮(こうぞ)”や”三椏(みつまた)”などの樹皮の黒ずんだ表皮の下の柔らかい皮です。実演では、「房総のむら」で栽培した”楮”の枝を釜で蒸し、温かいうちに皮を剥がし(写真:上左)、その皮(写真:中左)から”黒い表皮”を取り除き、やわらい繊維の”白皮”にしました(写真:中右)。”白皮”は、天日に干して乾燥させます(写真:下左)。今回はここまでですが、この後、”白皮”を釜で再び煮込み、板の上で叩いて繊維を柔らかくし、最後に”トロロアオイ”の根の”粘り”を混ぜて”和紙を漉く原料”が出来上がります。実演を見ていたお子さんが、”楮”の皮むきを手伝ってくれました(写真:上右)。店先にある”黄色い棒”は、樹皮を剥がした”楮”です(写真:下右)。”楮”は中央が中空で軽く、皮を剥いた”木肌”は少し黄色を帯びてきれいですので、何かに活用していただければと来館者の方々に”お土産”にしていただきました。太い棒を肩たたきにしている方がいるかと思うと、工作に使うというので同じような太さのものを集めている方がいたりと、なかなか好評です。
2月2日からは、「風土記の丘資料館」でトピックス展「むらの昆虫」展が始まります。「房総のむら」の”こんな虫たち”が見られますよ。でも、雪が降るような真冬の寒い季節ですから、写真のような”虫たち”は現在は見ることができません。実はこの虫たち、このブログにも何度か登場していただいているのですが、「商家の町並み」の「鍛冶屋」の指導者で、”総火造り”で”鋏”をつくる「千葉県指定伝統的工芸品」製作者の「北島和男」さんの手作りの”虫さん”なのです。いまにも動き出しそうです。この”虫さん”も今回展示します。
今回のトピックス展「むらの昆虫」は、「千葉県昆虫談話会」の皆さんが4年間にわたって「房総のむら」の”虫たち”を調査してきた成果の報告展示でもあります。「風土記の丘資料館」では、2月2日のトピック展の開始に向かって準備が進んでいます(写真:上)。展示品の中には、「房総のむら」で季節ごとに見られる”虫たち”のほか、「房総のむら」で発見された”千葉県初”の”虫たち”など”貴重な昆虫”も展示されます(写真:下右)。「房総のむら」の”虫たち”の多くは、この時期は”冬眠”しており本物を見ることができる虫は少ないと思います。しかし、二十四節気も2月4日は「立春」、3月6日には「啓蟄」になります。もうじきやってくる”虫たち”の活動が活発になる春を前に、”標本”ですが「房総のむら」に生息している”虫たち”をご確認ください。トピック展「むらの昆虫」は、2月2日~3月17日まで「房総風土記の丘資料館」で開催いたします。
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