2018年12月21日金曜日

冬至(二十四節気)乃東生(七十二候)12月22日~26日 夏枯草などロゼット状の葉 ”凍る花” ”お荒神様の宿替え” お正月に:凧あげ・福笑い ”蹴ろくろ”体験 ”茅葺屋根”葺き替え3 冬の妖精”コセリバオウレン”開花

 二十四節気は、とうとう「冬至」になります。”日没”は既に延び始めていますが、”日の出”はまだまだ遅くなります。千葉では”暮れ”から1月の上旬にかけて午前6時49分まで遅くなるようです。朝、起きるのがさらに辛くなりますね。七十二候は、「乃東生(なつかれくさしょうず)」です。これは「夏至」の七十二候「乃東枯(なつくさかれる)」と”対”になっています。漢方薬にもなる”夏枯草(かこそう)=ウツボグサ(靫草)”が芽生えだす頃、枯れ始める頃を季節の移り変わりの目安にしているのですね。「房総のむら」の”ウツボグサ”も、葉をロゼット状に広げて芽生え始めています。
 地面を見ると、”ヒガンバナ(彼岸花)”の葉のように”線形”の細長い葉は直立しているものもありますが、多くは”ロゼット状”に葉を広げています。”ウツボグサ”だけではありません、”タンポポ”、”ノゲシ”、”ヒメジオン”などたくさんの植物が”ロゼット状”に葉を広げています。階段部分(写真:上左)や、斜面(写真:上右)でも、地面にぺったり張り付いています。風をよけ、たくさんの日光を浴びるためには、効率の良い形状だそうです。
 先週からここ数日”寒い朝”が続きましたので、今回も”霜柱”などの紹介です。「堀割の橋」にも”霜”が降りましたが、”朝日”があたるとすぐに消えてしまいます(写真:上左)。「農家」の”畑”では”霜柱”も成長していました(写真:上右)。日が当たると、”サクッ、サクッ”と音を立てて倒れていきます。”お茶(チャノキ)の葉”(写真:中左)や”サザンカ(山茶花)”(写真:中右)には、葉の輪郭に”氷の結晶”が立っていました。田んぼのまわりにまだ咲いていた花は、凍り付いていました(写真:下)。”朝日”が当たらない日陰ならば、午前10時くらいでもこんな風景を見ることができますよ。
 20日には「安房の農家」の「お荒神様の宿替え」が行われました(宿替え前=写真:上左、宿替え後=写真:上右、下)。我が国では、古くから”家屋敷”や周辺にいろいろな”神様”を祀り、”家内安全”や”火伏せ”、”盗難よけ”などを祈る習慣がありました。一般的に「荒神様」は”火の神様”、”火伏せの神様”であることが多いのですが、南房総市の旧三芳村で祀られている「お荒神様」は”家屋敷”を守る神様とされ、旧暦の5月7日と、11月7日前後に「宿」を新しく作り変えています。祀られている場所は、屋敷の鬼門とされる”艮(うしとら)”(北東)に位置します。
 「商家の町並み」「細工の店」の「凧作り」の体験では、長方形の”角凧”を作りますが、今回の企画展の関連ワークショップでは、”袖凧”を上げていただきました。”袖凧”は、千葉県の上総地方で”節句”などに揚げられてきた伝統的な”凧”です。房総半島が発祥とされる漁師さんたちが着る”万祝(まいわい)”を模した形です。”半纏(はんてん)”の裾が少し長くなったような形です。昔は、男の子の”初節句”には、4mもある大きな”凧”を上げた地域もあったようです。写真の”凧”は、小さくて20cm程です。
 ”凧あげ”の会場は、「風土記の丘」の「古墳広場」です。広場は”花見の見所”でもあり、まわりには”サクラ”など高い木もありますが電柱や電線はありませんので、”凧あげ”にはもってこいの場所です。”凧”は10枚ほど準備しましたが、小さくてもよく上がりました。カップルの男性の方がかなり高くまで上げて、女性の方に糸をまかせて、写真を撮っていました(写真:下左)。はじめはコートを着ていた女の子も、途中でコートを脱いで”凧”を上げながら元気に走っていました(写真:下中)。お父さんは手慣れたもので、そんなに走らなくても「ときどき、糸を強く引けば凧は上がる」と”コツ”を教えていました。この日は、微風で、強い風が吹きませんでしたので上げるのにちょっと苦労していたようです。中には、木の下を走ったり、糸をあまり伸ばしすぎたりして”凧”が枝に引っかかった方もいました。こんな風景も昔ながらの風景かもしれません(写真:下右)。留学生の外国人の方々も”凧あげ”に挑戦していました(写真:上右)。気が付きましたか、”凧のしっぽ”は長いU字状になっていて切れていません(写真:中)。これは、「房総のむら」の”凧作り”の指導者「仲田一夫」さんから教えていただいたやり方ですが、1本や2本の”しっぽ”のよりも安定しています。是非試してみてください。これからも1月6日、13日、20日に”凧あげ”の体験はできます。「房総のむら」で、”凧あげ”を楽しんでみませんか。
 現在開催中の企画展「正月を迎える」をご覧になった方々に、一家(一家族)に一枚「房総のむら」オリジナルの”福笑い”をプレゼントしています。昔ながらの遊びですが、こちらも家族そろって会話が弾む楽しい遊びです。
 ”福笑い”は、”おかめ”と”ひょっとこ”の二種類があります。お好きな方をお選びください。サイズは、A4版です。下についている口や目、鼻などを切り抜いて遊びます。目隠しをして、口や目などのパーツを顔の上に置いていくだけですが、出来上がった顔がお楽しみですね。上手にできるよりも、少しずれたほうがおもしろい顔になりますよね。ご家族でお楽しみください。なお、”福笑い”は数に限りがありますので、なくなり次第プレゼントは終了となります。申し訳ありません。
 こちらは、11月24日に「商家の町並み」「瀬戸物の店」で「製陶(蹴ろくろ)」を体験しているご家族の様子です。”ろくろ”を自分の足で蹴って回転させて、粘土塊から円形の器などを作る体験です(写真:上左・中)。娘さんとお父さんは皿状の器を、息子さんは湯飲み茶わんを作りました。体験者にしていただく”蹴ろくろ”はここまでです。
 出来上がった作品は、生乾きの内にスタッフが”高台”を削り出します(写真:上段)。さらに乾燥させてから、”素焼き”をします。1日目は、8時間くらいかけて”あぶり”をします。室温の15度くらいから300~400度くらいまで上げて水分を蒸発させます。その後、焼成をいったん止めて、翌日は190度くらいから焼き始め8時間ほどかけて最後は750度まで温度を上げていきます。”素焼き”をして、器の色は肌色になりました(写真:二段目)。次に”素焼き”した器を”釉”をつけて”釉がけ”し、”高台”の端の部分は”釉”を拭い取ります(写真:三段目)。今回は、左端の娘さんの作品は”天目(黒)”、真ん中の息子さんの作品は”そば(茶)”、お父さんは”るりなまこ(青)”の”釉”をかけました(写真:下段)。
 そして、いよいよ”本焼き”です。大きな”電気窯”の中に、出来上がった作品を並べて入れていきます(写真:上左)。”窯”の温度は、初めは15度くらいですが、まる一日半かけて1,245度まで上げていきます。焼成がおわったら、ゆっくり温度を下げるためにそのままの状態で2日間放置しておきます。そして、”窯出し”です。蓋を開けて作品を確認します(写真:上右)。いかがですか、発色もよくうまく焼けたようです。スタッフは、「湯飲み茶碗の茶色がいい感じにでた」とのことでした。”天目の黒”も、”コバルトブルーのるりなまこ”もすてきですよ。体験から一か月近くお待たせしましたが、やっと出来上がりました。お正月には、自分の足で”ろくろ”を回して作ったこの器に”おせち料理”をのせてみてはいかがですか。次は、”手びねり”などいかがですか。
 ”茅葺屋根”の葺き替えも最終段階です。前回に続き、”棟”が完成したら、上から足場の”竹棒”を外して”軒先”に向かって屋根の表面を仕上げながら下りてきます(写真:上)。表面の最後の仕上げは”バリカン”を使っていました。きれいにしては、下から横から見て突出しているところは”ガンギ”で押え(写真:中左)、へこんでいる所には”カヤ”を追加していきます(写真:中右)。この作業を何度か繰り返しながら”軒先”まで下がっていきます。最後に”軒先”と”軒”の内側(下)の”カヤ”も刈り込みます(写真:下)。
 足場の”竹棒”もすべて外され、残るは屋根の下方と”軒先”、それに”軒先”の下の仕上げです。”ガンギ”で押え、”カヤ”を追加しながら表面を平らにし、最後の仕上げは”バリカン”です。大きな”鋏(はさみ)”で仕上げると大きな凹凸ができやすいそうですが、”バリカン”ならば広い面積を仕上げることができるので表面を平らにしやすいようです。”軒先”の下は、作業中は見難い所ですが、足場が外されて下から上を見上げると一番目立つところなので、かなり神経を使うようです。”軒先”は真っすぐに仕上げられ、下から見ると、内側から”ワラ”、”シマガヤ”、そして表面の”ヤマガヤ”がきれいな層を作っています(写真:下)。
 作業が終了しました。昨年の「安房の農家」「主屋」では1か月半ほど時間がかかりましたので、作業工程を追いやすかったのですが、今回は作業開始から9日で終了です。あっという間に完成してしまい、現地を確認できない日があると、作業がかなり進んでいて作業の全工程を記録できてないところもありました。仕事中はほとんど口を開くこともなく、まさに”阿吽の呼吸”でチームワークよく作業を続けた職人さんに話を聞くと、毎年10棟ほどの”茅葺屋根”の葺き替えを行っているそうです。なるほど、その経験があるからできる”職人の技”を見せていただきました。ご苦労様でした。
 「風土記の丘資料館」中2階では、写真展「レンズをとおした房総のむら」が始まりました。ことしも、多くの方々から出展いただきました。いずれも四季折々の「房総のむら」の景観を、カメラのレンズをとおして切り取ったすばらしい映像です。中にはめったに見られない花などの写真や、普通の見る角度とは違った視点からの映像などもあり、出展者の目の付けどころには感心させられました。写真展は、来年の2月24日まで開催しておりますので、是非ご覧ください。
 「上総の農家」の横の林の中で”コセリバオウレン(小芹葉黄連)”が開花しました。三本開花しましたが、どれも”雄しべ”と”雌しべ”がありますので、”両性花”のようです。花が咲いたものは、背も低く葉のかげだったのでしょうか蕾は気が付かなかったので、いきなり咲いた感じです。去年もそうでしたが、「房総のむら」では”コセリバオウレン”の花が咲くのは、”ソシンロウバイ(素心蝋梅)”(写真:下右)の開花とほぼ同じ頃です。今年の開花は、ともに昨年よりは1週間ほど早いようです。”冬の白い妖精コセリバオウレン”の見頃はこれからです。

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