2018年4月24日火曜日

穀雨(二十四節気)霜止出苗(七十二候)4月25日~29日 ”稲の種蒔き”で「水口祭り」「ボッチ笠」「藍染」「サクラソウ」

 「穀雨」で、田にも十分な水が入りました(写真:左)。動物などに荒らされた”クロ”もきれいに直され(写真:右)、田植えの準備が整ってきました。
 七十二候は、「霜止出苗(しもやんでなえいづる)」です。霜も終わり稲の苗が生長する頃です。でも、「房総のむら」「上総の農家」では、21日に体験者とともに、”苗床”を作り(写真:上左)”稲の種”を蒔いたところです(写真:上右)。稲の苗の生長はこれからです。例年は、水田の”苗代(なわしろ)”に蒔くのですが、今年は”箱”に蒔きました。今回は、正月飾りなどに使う背が高くなる”ヤマトニシキ”と、天皇陛下のお手植えにも使われる”マンゲツモチ”を蒔きました。事前に1週間ほどを”種籾”を消毒液につけておきましたが、”マンゲツモチ”は小さな”芽”が出て(写真:下右)、”ヤマトニシキ”も”芽”とともに”芒(のぎ)”も出ています(写真:下左)。種を蒔いた後には、田に水を入れる場所で”水口祭り”を行いました。一番上の水田近くの”イボタノキ”に、保管しておいた”正月飾り”を立て”季節の花”や”焼き米”を供え、豊作を祈りました(写真:下)。
 農家の畑でも作物の芽が出始めています。”ホウレンソウ”(写真:上左)、”ダイコン”(写真:上右)、”長ネギ”(写真:下左)、”子安三寸人参”(写真:下右)です。
 「上総の農家」の”江戸野菜””のらぼう菜”が大人気です。数年前からの”江戸野菜プロジェクト”の一環で栽培を始めた”のらぼう菜”ですが、”甘みがありくせがない”ためか非常に人気で、朝収穫するとすぐに購入希望者が集まってきて完売してしまいます。もう花も咲き始めています(写真:右)が、花が咲く前にも太めの茎と葉(写真:左)を食べます。生で食べても、”エグミ”もなく”甘さ”を感じます。今月中くらいは収穫できそうです。”江戸野菜”の”食の体験”もしてみてください。
 「下総の農家」の「ぼっち笠」作りです。前にも紹介しましたが、今回は少し細かく紹介します。①”イグサ”を親指と人差し指でつかめる量をとり、根もとを揃えます(写真:上左)。根もとから36cmのところで針金を二巻し、1.5cmのところで切る(写真:上右)。③”ぼっち”の真ん中に編み台の竹棒を刺して、”ぼっち”の部分から編み始めます。3段目ができたら竹棒を抜き上から押しつぶし、3段目のところを”イグサ繩”で縛ります(写真:下右)。これで”ぼっち”ができました。
 次は、笠の部分になります。傘を広げるためには”イグサ”を足していきますが、先が笠の裏側になるように新しい”イグサ”を入れていきます。④4段目からは、笠が広がるように”イグサ”の取り方を少なくしてしていきます(写真:上右)。⑤ボッチの縛ったところから20cmのところまで編み、そこに補強のための”竹ひご”を”イグサ”でとめていきます(写真:中)。⑥最後に、編み残った”イグサ”を三つ編みの要領で編み、内側に出た”イグサ”を切り揃えます(写真:下)。
 ⑦笠ができたら、緒をつければ完成です。笠をきれいに広げるのはなかなか熟練の作業です。”ぼっち笠”を使っている「房総のむら」の女性の方は、「布製の農作業用帽子だと顔にまとわりつくが、”ぼっち笠”だと軽くて風通しもいい」といいますが、最近は”ぼっち笠”を被って農作業する姿もあまり見られなくなりました。でも、この”ぼっち笠”作りの技術は継承していきたいものです。
 「下総の農家」の「足踏み式製繩機」での”繩綯い”の様子です。農家の作業には欠かせない”藁繩”ですが、”縄綯い”はある程度の熟練技術と経験が必要で、大量の縄を作ることは大変な作業にもなります。そこで、明治時代末期に開発されたのが”製繩機”です。”藁縄”は、手作業の場合、”藁”を”よじり”、”ねじり”、さらに”引っ張る”作業を連続することで作られますが、その作業をこの機械が行ってくれます。右側の2つの”ラッパ管”から数本の藁を入れ、2本の”ペダル”を交互に踏むと”クランク軸”、”クランクシャフト”に組み込まれた”歯車”が回転し、”ラッパ管でよじり”が行われ、そののちに”回転でねじり”が加えられながら1本の”よじり繩がねじられます”。出来上がった”縄”は、”引っ張り”ながらドラムに巻き上げられる構造になっています。”製繩機”は足踏み式の後に動力式のものも開発されていますが、”繩綯い”の手作業を忠実に再現するこの機械は優れものです。
 「商家の町並み」「呉服の店」の「藍染」です。これまでも、「呉服の店」で”藍を建てている”ことは紹介してきました(「大寒 款冬華」を参照)が、今回はその”藍”を使った”藍染”の紹介です。店先には、”藍”で染めた布などが展示されています(写真:上左)。今年の1月に建てた”藍甕”に生地やシャツなどを浸して染めます(写真:上右、中左)。その後、水洗いをします。今回はこの作業を2回繰り返しました。”藍染”したシャツなどが干されています(写真:下左)。”藍”も芽をだしています。夏には”藍の生葉染”などに利用します(写真:下右)。
 「上総の農家」では、”孟宗竹”の”節”のところを利用した「竹のぽっくり」作りです。自分で竹を切りますが、”鋸”をまっすぐに引くことが大変そうでした。早速出来上がった「ぽっくり」を履いて、”ポカポカ”歩いていましたあ(写真:上、中)。中には、「ぽっくり」が気に入って、商家の町並みまで歩いてきた子どもさんもいました(写真:下)。初めは”こわごわ”のようですが、慣れてくると楽しそうに歩いていました。
 「商家の町並み」「めし屋」の「せりご飯」の体験です。”かまど”で炊いたご飯に、季節の”セリ”を使ったご飯を作りました。「おいしそうですね」と声をかけると、「ここで作るものはみんなおいしいよ」との回答でした。
 「商家の町並み」では「サクラソウ」の展示も始まりました。今年は、全ての草花の開花が早いようですが、「サクラソウ」もすでに満開状態です。「辻広場」には16種の「サクラソウ」が展示されています(写真:上)。それぞれの店先にも数鉢づつ展示してあります(写真:中)。写真下は左から「大朝日」「重遊の宴」「瑠璃殿」「有明」です。是非、実物をご覧ください。
 「房総のむら」の雑木林の中は、どこを見ても”キンラン”が咲いています。その中でも、今年一番でしょうか、5株が固まって咲いていました(写真:左、右上)。少し離れたところでは20株ほどが密集して咲いていました(写真:右下)。今が盛りの”キンラン”です。
 「上総の農家」の”シラン”が咲きました。見ていると”ハチ”がやってきて、中央の小さな筒の中に入ってしまいました。”ハチ”の大きさから”まさか”と思いましたが、”すっぽり”と頭から入り、少し経つと出てきて飛び去りました。

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