二十四節気「立春」も末候の「魚上氷(うおこおりをいずる)」です。気温が上がり、割れてきた氷の間から魚が飛び出る頃とのことですが、「掘割」の”鯉”も、氷の下(写真上方)にはあまりいないで、氷が解けたところに多くいますが、まだまだ動きは緩慢な感じです。
「商家の町並み」の「稲荷境内」の、2月最初の”午(うま)の日”(2月7日)の”お稲荷様のおまつり”「初午(はつうま)」の展示です。昔の暦では日にちも”十二支”で数えるので、”午の日”もあります。もともと農耕の神であった”稲荷神”は、町場でも”商売繁盛””病気平癒”などにご利益があるとされて広く信仰を集めました。「初午」は子供が中心の行事で、前日には”ヨミヤ(宵宮)”に子供たちが旗を売り歩て”小遣い”にしたり、太鼓を叩いたり歌を歌って楽しく過ごしたそうです。”お稲荷様”の”お供え”は、”大根””人参”と定番の”油揚げ”です。”昔のくらし”の勉強に来ていた小学生が参拝していました。
「商家の町並み」「お茶の店」と「本・瓦版の店」の間の「お地蔵さん」です。奥まったところに”いらっしゃいます”ので気づかないかもしれません。2月8日には、折れたり、曲がったり、錆びて使えなくなった”針”を豆腐にさした「針供養」の再現です。2月8日が”事始めの日”なので、この日に行います。12月8日の”事納め”で仕事を休み、”事始め”から農耕や裁縫が始まるとされ、この日は”針仕事”を休み、”使えなくなった針”を神社等に納めたり、豆腐や蒟蒻のように柔らかいものに刺して供養して、裁縫の上達を祈りました。
”鯉”(写真:上左)は、昔から最も”高価な魚”とされ、”鯉”が成長すると”龍”になる伝説(”登竜門”の語源)もあり、”鯉”は”力強い勇気の象徴”、さらには”立身出世”などにも結び付けられ、”端午の節句”の”鯉のぼり”にもなっていることはご存知のとおりです。”鯉”は、春と冬が旬で特に冬の”寒鯉”は美味とされ、利根川流域でも昔から食べられてきました。そこで、「商家の町並み」「川魚の店」の冬季の実演・体験の「鯉料理」です。指導者は、茨城県稲敷市の「髙城良平」さん(写真:中左)です。「房総のむら」では、佐原の”麻兆”さんとともに「すずめ焼き」の指導もしていただいてきた”川魚料理の達人”です。まず、”鯉”の大きな”うろこ”を落としてから料理ははじまります(写真:上中=”うろこ”を落とす前、右=”うろこ”がかなり落ちたところ。私はこの”うろこ”も好きなのですが)。”鯉料理”で大切なことは、”脾臓”を潰すと”体全体”に”苦み”がまわってしまうので、潰さないように”脾臓”をとることだそうです。頭を落とし、そこから指を入れて内臓を探り、”いとも簡単に””脾臓”を取り出しながら話してくれました(写真:中中=右下のブルーの丸い塊)。長年の”経験と技”です。実演・体験では、利根川流域に伝わる「うま煮」「鯉こく」「洗い」(写真:下右)を作っていただきました。「うま煮」作り(写真:下左)で、”落とし蓋”をして弱火で煮ている時に、「髙城」さんが「いつ火を止めるかが難しい」と、「焦げないところで火を止めるタイミングは先輩も教えてくれなかった、”落とし蓋”の間から出る泡の大きさをみているとわかる」と。またまた、経験ですね。さらに、「海魚は毎日食べると飽きてくるが、川魚は飽きない」とも。でもそれは”おいしく料理ができることが前提”だと思います。大変おいしくいただきました。
「安房の農家」の「茅屋根葺替え」の様子です。”茅葺屋根”の改修は屋根の傷み具合によって、”茅屋根全体の葺替え”、”茅屋根”の”表層の葺替え”、そして”差茅”などの局所的な修理などを行います。「安房の農家」では、南面と東面は”表層の葺替え”、北面と西面は”差茅”で修理しました。これまでに”表層の葺替え”と”棟造り”も終わり、最後の作業は部分的に”茅”を追加する”差茅”です。屋根をよく観察し、”ガンギ”と呼ばれる道具で”茅屋根”の表面を整えながら、屋根の傷んでいるところを探します(写真:上左)。小さな修理は、手で”隙間”を作り新しい”茅”を差し込んで修理します(写真:上右)。傷みが激しく窪んだ箇所などは、”支柱で支えた棒”で既存の”茅”を持ち上げ、古くなった”傷んだ茅”や”表面に出てきた下層の茅”を取り除き(写真:中左)、”空間”を作って(写真:中右)、そこに新しい”茅”を差込み(写真:下左)、隙間なく十分に押し込んでいきます(写真:下右)。
”差茅”をしては屋根を調べ、また傷んだ部分に”茅”を差し込んでいます(写真:上左)。”差茅”も完了が近づき、”軒先”も刈り込んで揃えられました(写真:上右)。”表層を葺替えた部分”と”既存の茅屋根”に”差茅”修理した屋根では、”茅”の厚さに”差”ができるので”段差”ができます。その”段差”も”バリカン”(写真:中左)や”先端に向かってゆるくカーブした大きな鋏”(写真:中右)で切り揃えます。屋根の表面には”差茅”した”茅の束”が突出しています(写真:下左)が、最後に上方からこの”茅”を刈り込んで平らしていきます(写真:下右)。
「葺替え」作業が終了し、”足場丸太”がすべて外されました。”茅”材の違いによる縞模様も鮮やかです(写真:上左)。棟の両端もきれいに仕上がりました(写真:上右=東端)。”表層葺替え”と”差茅”修理の境目の”段差”も整えられました(写真:中左、下左)。屋根の隅(南西)の部分の”軒先”です(写真:中右)。写真中央から右側が”表層葺替え”、左端は”差茅”をしましたが、”差茅”修理をした部分は、上方の”茅”が落ちてきて軒先の”水切り茅”もはっきりわからなくなっています。”主屋”の裏側の北面と西面の”差茅”修理をした屋根を見ると、その部分は”茅”が薄く一段低くなっています(写真:下右)。「安房の農家」の屋根は、屋根の”中腹が膨らみ”、屋根全体が少し”丸み”を帯びているのも特徴です。
「安房の農家」の「茅屋根葺替え」のために”軒先”の高さに設置された”足場”からの写真も、これが最後になります。屋根西面の新たに造られた”棟”の下の”差茅”修理をした既存の屋根面との”段差”は、新たな”茅”が刈り揃えられ、種類の違う”茅”の断面がきれいです(写真:上左)。南面の軒先先端の”水切り茅”が少し出ているところです。きれいに切り揃えられています(写真:上右)。雨上がりのこの日は、日が当たらない北面には刈り込まれた屋根の表面に水滴が残り(写真:下左)、日が当たり始めた南面からは”湯気”が上がっていました。写真奥の昨年度屋根を葺替えた「台所」の屋根の湯気がよくわかります。隣の「馬小屋」と「灰小屋」の茅屋根からも、湯気が上がっていました(写真:下右)。
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