今年度から始まった商家の町並み「変化朝顔の展示説明会」は、9月8日(日)をもって終了しました。週末の土日、午前と午後の2回、興味のある方に聞いていただきました。来年に向けて変化朝顔を継続して咲かせていく工夫を簡単にまとめていきます。
朝顔は種で子孫を増やします。その種の中から細切れの花びらや縮れた葉などの変わった朝顔が時々出現します。そのような朝顔を「出物」(でもの)と呼びますが、この花は種を結びません。ラッパ状の見慣れた花を咲かせ種のとれる朝顔は「正木」(まさき)と呼びます。これらは「遺伝の法則」が作用していると言われています。
解説の様子 |
「出物」からは種が取れません。そこで「出物」を咲かせるには、その親の朝顔から取れる種を選別して咲かせる必要があります。親の朝顔には変化の出やすい株と変化の出にくい株がおよそ半分ずつできます。朝顔の咲き終わる秋に株ごとに種を収穫し、それぞれの株の種を各20粒ほど試し播きをして双葉の様子を観察します。
解説(左)と種の選別作業(右) |
変化するものは双葉がよじれたり、しわが出たりするため普通に咲くものとは区別できます。そこで変化の出た種だけを残しあとは間引きします。変化の出やすい遺伝子を持ち、種のできる朝顔を「親木」(おやき)として栽培し続け「出物」の種ができるように効率よく種を維持していきます。以上の栽培方法が変化朝顔を咲かせ続けた江戸時代の人々の知恵です。
茎と葉に特徴のある変化朝顔(左)と牡丹咲の変化朝顔(右) |
今年の変化朝顔の展示は終わりましたが、この秋は来年に向けて種の選別作業をしています。朝顔の世話をしていた職員は、「先輩から受け継いだ種の管理が大変です。だけどしっかりと次へつなげていきたい」と話しています。解説を担当した職員は、「少しでも変化朝顔に興味を持っていただき、多くの人に見てもらいたいです」と言っていました。
変化朝顔の展示説明会は来年も実施する予定です。江戸の人々が愛好した特徴あるかわいらしい朝顔をぜひ見ていただきたいと思います。(い)
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