房総のむらでは年1回、左官の仕上げの技を応用した「光る漆喰どろだんご」の体験を行っています。今回指導してくださる木村光博氏は、香取市を拠点に、県内の文化財の修復工事をはじめ、一般住宅の外構工事なども行っています。
木村光博氏 |
漆喰どろだんごは、砂・消石灰・スサ(藁を細かくしたもので、つなぎのためのもの)を混ぜ、核を作ります。このだんごの表面には漆喰が塗られていて、写真ではわかりにくいですが3層でできています。このあと、ノロを塗ることで4層になります。
漆喰だんごの断面の様子 |
このだんごにノロ(色粉と水を混ぜたもの)を漆喰の上に薄く塗っていきます。これを瓶でひたすら磨いていきます。ノロを塗っては磨いていくの繰り返しです。
この工程は左官の技の1つ「磨き」という技法を簡易的に体験しています。「磨き」は左官技術の中でも最高で、手間がかかるだけでなく、材料の入手経路や、石灰の配合も職人によって様々です。壁に「磨き」をすることで、顔が映るほどになり、光沢も出ますが、現在では全国でも数少ない職人ができる技術で、古い土蔵などで今でも一部残っています。
漆喰はお城や寺社などで見かける白い壁のことですが、表面を白くするだけでなく、鏝を使って立体的に表現することもできます。
管理棟の天井部分です。ロケ写真館で見ることができます。 |
漆喰の白は石灰で作られます。石灰は国内で自給できる数少ない資源の1つとされています。国内で石灰を1番使うのは鉄を作る際に使われますが、このほかにもパンやこんにゃく、ソーセージなどにも含まれています。最近では鳥インフルエンザが発生した後処理では必ず石灰が消毒用として撒かれる映像がたびたび流れています。
石灰はわたしたちの生活に身近にあって、古代から、現代まで使われ、応用が利く素材です。
今年10月に予定している「左官の技」ではそんな石灰に焦点をあて、体験を進めていこうと考えています。(I)
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